精神科の薬、やめどきは?いつまで飲まないといけない?治療の経過や副作用について詳しく解説
精神科の薬を飲んでいると不調が改善し、生活をより快適に送ることができます。しかし症状が落ち着いてきたら「いつまで飲まないといけないの」「やめどきがわからない」といった不安を感じる方は少なくありません。この記事では、精神科の薬をやめるタイミングや進め方、リスクについて解説します。
薬を減らすことで起きるリスク
薬を急に減らすまたはやめることは、大変危険です。具体的には、以下のようなリスクが生じます。
症状が再発する
症状が安定していない時に減薬を試みると、症状が悪化してしまうおそれがあります。まずは心身の状態を安定させることが必要です。
とくにうつ病や統合失調症・双極性障害といった病気では、症状が再発しやすくなるため、前提として心身の状態が安定していることが重要となります。
離脱症状が現れる
離脱症状とは、薬があることに慣れていた状態で、薬を減らす・やめてしまうことで起きる症状です。めまいや頭痛・吐き気・倦怠感・耳鳴りといった身体的な症状に加え、イライラや不安・不眠などの精神的な症状も現れます。
離脱症状が起きてよくあるのが「薬に依存してしまった」と落胆してしまうことです。たしかに不安になりますが、医師から決められた量を守って服用していれば依存になることはなく、薬物依存ではありません。
離脱症状は1週間から2週間で落ち着くことが多いですが、必ず医師に相談しながら減薬を進めましょう。
薬を減らしたことによる不安が現れる
薬が減ってしまったということで過度に不安を感じてしまうことがあります。薬が心の支えとなっている方は少なくありません。症状の経過をみながら少しずつ減らしていくことで、薬がなくても大丈夫だという自信をつけることが必要です。
どのくらいで薬をやめられる?
精神科の薬は、効き始めるのに時間がかかるものがあります。たとえば抑うつ症状を改善する抗うつ薬は、薬が効き始めるのに2週間から4週間かかるため、その期間は薬の継続が必要と言えます。
うつ病の場合は6か月から2年くらい継続することが多いです。双極性障害や統合失調症は再発防止のための服薬があるため、長期に薬を継続するケースが多くみられます。いつになったらやめられる、という基準はなく、個人差があります。
また、薬を自己判断で調整することは様々な症状をきたす可能性があるため危険であり、薬の調整は医師と相談しながら行うことが重要です。
薬をやめたいときはどうしたらいい?
薬をやめたくなったら、まずは医師に相談しましょう。ここで気をつけなければならないのは、自分の判断で薬を減らしたり中断したりすることです。精神科の薬は、急に飲むのを減らすことでさまざまなリスクを引き起こします。
症状が落ち着いてきたからといって、自己判断で薬をやめるのは避けましょう。
薬を減らすときのポイント
薬を減らすことでさまざまな症状が現れる可能性があるため、適切な方法で進めることが重要です。以下のポイントを理解しておくとよいでしょう。
必ず医師にみてもらう
薬を減らす場合、自己判断で薬を減らしたり、急に服用をやめたりすることは非常に危険です。薬の服用を減らす理由や方法を医師とよく話し合い、指示を受けながら進めなければなりません。とくに長期的に薬を服用している場合は、急に薬を減らすことが体に悪影響を及ぼすこともあるため、慎重に進める必要があります。
基本的にはかかりつけの医師に相談することが重要です。
ゆっくり進める
薬を減らす際には急激な変更を避け、徐々に進めることが大切です。薬を急に減らしたりやめたりすると、症状が悪化したり、新たな副作用が出てきたりすることがあります。症状が安定していることを確認したうえで、少しずつ減らしていくことで、体がその変化に適応しやすくなります。
医師と相談しながら、計画的に減薬を進めましょう。
生活習慣を整える
生活習慣を整えることは、治療において薬と同じくらい重要な役割を果たします。早寝早起き・バランスの取れた食事・適度な運動といった基本的な生活習慣を守ることで、体内のリズムが整い、ホルモンバランスや精神状態が安定します。
これにより、身体的にも精神的にも健康が保たれ、薬に依存しない状態を作り出すことができるでしょう。さらに、自己管理能力が向上することで、自信を持って生活できるようになり、薬の減量に対する不安やストレスも軽減されます。心身のバランスが取れることで、薬を減らす過程がスムーズに進むことが期待できますよ。
薬を飲むことで起こりやすい副作用
精神科の薬は辛い症状を和らげてくれる大切なものですが、一方で副作用のリスクも存在します。これは精神科の薬に限ったことではなく、どの薬にも副作用があるため、心配しすぎる必要はないでしょう。しかし、副作用が生じた場合は医師に相談することが必要です。
以下では精神科の薬を飲むことによる副作用を解説します。
抗精神病薬の副作用
抗精神病薬とは、統合失調症を中心に使われる薬です。幻覚や意欲の低下などの症状を和らげるだけでなく、再発防止としての効果を持ちます。
主な副作用は、手が震える・うまく歩けない・呂律がまわらない・よだれがたくさん出るなどです。まれに悪性症候群という、38度以上の高熱が出るリスクがあり、速やかに受診することが必要です。
また、抗精神病薬のなかには食欲が進んで体重が増えてしまうものがあります。肥満にならないよう、規則正しい食生活と適度な運動で体重をコントロールしましょう。
抗うつ薬の副作用
抗うつ薬とは、主にうつ病の治療をする薬です。
食欲の低下や下痢・便秘といった消化器症状のほかに、不安や焦りなどの精神的な不調や眠気・頭痛などの副作用が現れるリスクがあります。主に薬の服用をはじめた初期に副作用が出ることが多く、必要に応じて医師に相談し、薬の変更を検討してもらいましょう。
まとめ 医師の診察を受け少しずつ減らす
精神科の薬を自己判断で減らしたり、急にやめたりすることは、心身に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。急激な減薬は症状の悪化や新たな問題を引き起こすことがあるため、少しずつ慎重に減らしていくことが大切です。
薬を減らす際には、必ず医師の診察を受け、専門的なアドバイスを受けながら進めることが重要です。エニキュアでは、薬を開始した際、医師が服薬について患者さんの状態に合わせた計画を立て、医師と相談しながら調整を行う方針としております。