心療内科・精神科へ行く基準を解説！受診の目安や行った方がいい人とは？

はじめに

「何だかしんどい……」と感じる日々が続き、気持ちや体調の変化に迷いや不安を感じる方は少なくありません。

精神的な悩みは目に見えにくいため、どのタイミングで医師に相談するか判断が難しいと思います。「本当に病院に行くべきなのか？」と悩んでいる場合、我慢せずに心療内科や精神科を受診し、専門医に相談してみましょう。

うつ病や不安障害などの精神疾患も、ほかの病気と同じように早期発見・早期治療が重要です。放っておくと重症化や慢性化のリスクがあります。

この記事では、心療内科・精神科に行くべきか迷っている方へ向けて、受診する際の基準やサインについて解説します。

心療内科・精神科に行く基準｜受診の目安や主な症状例を解説

心療内科や精神科への受診を考える際、「これくらいの症状で行ってもいいのだろうか」と悩む方は多くいらっしゃいます。しかし、心の不調は身体の病気と同じように、早期に対処することが重要です。どのような症状があるときに受診すべきかを具体的に見ていきましょう。

心療内科・精神科とは、そもそもどんな所？

心療内科と精神科は、どちらも心の健康を扱う医療機関です。

心療内科は、ストレスが原因で身体に症状（胃痛・頭痛・動悸）が現れる心身症を専門とする診療科で、精神科は、うつ病や統合嫉妬油症などの心の病気を専門的に診断・治療する診療科です。

現在では、多くのクリニックが心療内科と精神科の両方を標榜しているため、患者さんが心療内科と精神科の違いを気にする必要はありません。症状に応じて適切な治療を受けることができますので、両方を標榜しているクリニックで相談してみることをおすすめします。

心療内科・精神科を受診すべき症状例

心療内科・精神科の受診を検討すべき症状は、主に以下の4つのカテゴリーに分けられます。

①心の症状
・やらなければいけないことに意欲がわかない
・なにをしていても楽しめず、気分転換ができない
・特別な理由がなくても落ち込む
・人目が気になり、怖いと感じる
・ちょっとした他人の言葉が気になる
・ひどく緊張したり不意な出来事に動揺する
・自分に自信がもてず、他人に迷惑をかけているように感じる
・以前のように集中できず、思考力が働かない

②睡眠に関する症状
・ベッドに入って長い時間経過しても眠れず、目が冴えてしまうこともある
・夜中に頻繁に目が覚める。アラームの鳴るだいぶ前に勝手に起きてしまう
・常に眠い状態で、日中にひどい睡魔が襲ってくる。一日中眠ってしまうこともある
・少しの刺激（物音や光など）で目が覚めてしまう

③身体的な症状
・下痢や便秘を繰り返している
・めまいがする
・人前に出ると動悸がしたり、冷や汗が止まらなくなったりする
・出勤する時刻になるとお腹が痛くなる
・以前より疲れやすくなった
・原因不明の頭痛がする
・生理が止まってしまった
・電車に乗るときや人前に出ると、ドキドキする、吐き気がする

④食事に関する症状
・食欲がまったくおこらない
・周囲から強く勧められないと、まったく食べられない
・食事をおいしいと感じない
・食べても食べてもお腹いっぱいにならない
・何かを食べてもすぐにもどしてしまう

これらの症状が2週間以上続いている場合は、心療内科・精神科への受診を強く推奨します。

うつ病の初期症状チェック

個人によっても様々ですが、うつ病の初期症状は、気分の低下、興味喪失、無気力といった明確なものから、疲れやすさ、集中困難、睡眠障害といったさりげない変化まで幅広く現れます。
日常の活動や仕事、学業のパフォーマンスに影響が出始めることも多いです。

また、食欲の変動（過食または食欲不振）、過度な自己批判、無価値感や罪悪感を抱くことが増える、 物事に対する興味喪失や楽しむことができなくなる、楽しかった趣味や活動に対する関心が薄れるのも一つのサインです。症状が軽くても、持続する場合は早めの受診をおすすめします。

うつ病についての内容は以下の記事で詳しく解説してします。併せてお読みください。

【関連記事】うつ病の症状とその特徴・治療について解説

しんどいだけで病院に行くべきか？

病院に行くのに躊躇っている理由として、「この程度で病院に行っても良いの？」と多くの人が感じてしまっていることがあります。

しかし、自分では「この程度」と考えている症状でも客観的に見るととても重症であったり、自分では解決できないことが医師のアドバイスや治療でスッと解決することもあり、症状を軽く感じることを心配する必要はありません。

むしろ医師は日々そういった悩みに耳を傾け続けているので、病気かどうかわからないという不安を含めて、治療が必要な状態かどうかを医師が判断します。受診の結果、治療が不要だと分かる事にも十分に意味があります。

心の病では心身どちらの症状もあるため、現状の正しい理解や治療が必要がどうか何の病気のなのか判断は簡単ではありません。だからこそ、いつもと違う心身の不調を感じたらまずは医師に相談しましょう。

現在では、初診からオンラインでの診療を行うクリニックが増えてきましたので、忙しくても外出に不安があっても自宅から気軽に相談できます。

心療内科・精神科における早期治療の重要性

精神的な不調は、「まだ大丈夫」「もう少し様子を見てから」と考えがちですが、実は早期治療が非常に重要です。心の病気も身体の病気と同様に、早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、より良い予後を期待できます。

早期受診が導く早期治療の効果

・症状の進行を遅らせる、または阻止する
どんな病気でもできるだけ早く症状に気づき（早期発見）、速やかにきちんとした治療（早期治療）を受けることができれば、症状の悪化を防ぐことができ、回復も早く、軽症で済むことが多いといわれています。

近年、心の病気についてもできるだけ早くその症状に気づき、正しい対処や治療が速やかになされれば、回復も早く軽症で済む可能性があることがわかってきました。

心の病気は未治療期間が短ければ短いほど予後が良いといわれています。逆に未治療期間が長ければ長いほど、症状や障害が重症化・慢性化する可能性が増えます。

未治療期間を短くし、病初期に適切な治療を継続的に受けることが大切になってきます。

・心の苦痛の軽減
心の問題は、放置すればするほどその痛みや苦しみは増大します。

早期に対処することで、不必要な苦痛やストレスを最小限に抑えることができますが、放っておけばさらに重い症状に苦しむことになる可能性があります。

症状が進行すると、仕事や学業などの日常生活における支障が生じる可能性が高まります。 ふだんと異なる症状が現れている方は、ガマンせずに精神科・心療内科で一度相談してみることをお勧めします。

精神的なつらい症状は、できるだけ早く治療を開始することが早期回復につながります。

うつ病の治療期間や治療経過

うつ病を発病してから治療開始までの期間はけっして短くありません。

さらにうつ病の治療は、治療をすればすぐに良くなるというような治療ではありません。良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、徐々に改善していきます。

うつ病は、進行すればするほど回復までに時間のかかる病気です。未治療の場合、症状が長引くこともあり、治ったとしても再発する可能性が高いとされています。

初期症状の段階でお医者さんに相談し、症状を改善しストレスのある社会生活の中でも安定している「回復」状態になることが重要です。

心療内科・精神科に行った方がいい人はどんな人？セルフチェック

・心の症状チェック
□ 長い間、憂うつな気分が続いている 
□ 以前楽しんでいた活動に興味を失った 
□ やる気が出ない、意欲が湧かない 
□ 集中力が続かない、決断力が低下した
□ 自分を責めることが多くなった
□ 将来に対して悲観的になっている 
□ 死について考えることがある

・睡眠に関する症状チェック
□ 寝つきが悪く、なかなか眠れない 
□ 夜中に何度も目が覚める 
□ 朝早く目が覚めてしまう 
□ 日中に強い眠気がある 
□ 睡眠時間は十分なのに疲れが取れない

・身体症状チェック
□ 原因不明の頭痛やめまいがある 
□ 動悸や息切れを感じることが多い 
□ 胃腸の調子が悪い（下痢・便秘など）
□ 肩こりや首の痛みが続く 
□ 食欲がない、または異常に食べてしまう 

・日常生活への影響チェック
□ 仕事や学業の能率が著しく低下した 
□ 人との関わりを避けるようになった 
□ 外出することが億劫になった 
□ 家事や身の回りのことができなくなった 
□ 趣味や娯楽を楽しめなくなった

チェック結果の目安：
・5個以上該当：早急に受診を検討してください
・3-4個該当：症状が2週間以上続く場合は受診をおすすめします
・1-2個該当：症状が悪化したり長期化する場合は相談してみましょう

該当する項目が多い方、または症状が日常生活に支障をきたしている方は、一度専門医にご相談ください。

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心療内科・精神科に行く基準や受診の際によくある質問と回答

よくある質問に５つ回答していきます。ぜひ参考にしてみてください。

初診の場合は何から話せばいい？

初診では、以下の内容を医師に伝えることが重要です。

1.現在の症状：いつから、どのような症状があるか
2.症状の変化：症状が始まってから現在までの経過
3.日常生活への影響：仕事、学業、人間関係への支障
4.睡眠・食事の状況：睡眠パターンや食欲の変化
5.ストレス要因：思い当たるきっかけや環境の変化

完璧に話す必要はありません。医師が質問をしながら必要な情報を聞き出してくれるので、自分の言葉で話せる範囲で大丈夫です。

うまく話せない場合はどうすればいい？

話すことが苦手な方や、緊張して上手く伝えられない場合は、事前に症状や気になることをメモに書いておくことをおすすめします。症状が現れる時期や頻度、薬の服用歴やアレルギーの有無なども整理しておくと良いでしょう。また、初診ですべてを話さなくても大丈夫です。通院を重ねながら、少しずつ詳しく話していくという方法もあります。

心療内科・精神科に行くべき基準や症状がわからない

「このくらいの症状で受診していいの？」と迷う方は多いですが、症状が2週間以上続いている、日常生活（仕事、学業、家事など）に支障が出ている、症状が悪化している、または改善しない場合は受診を検討してください。また、家族や友人から「様子が変だ」と指摘された場合や、自分でも「いつもと違う」と感じる場合も受診の目安となります。

迷ったら受診することをおすすめします。症状が軽くても、専門医の視点から適切なアドバイスを受けることができます。

心療内科・精神科に行った方がいい人はどんな人？

うつ症状や不安症状、睡眠障害、食欲不振、原因不明の身体症状がある方は受診を検討してみてください。また、転職、引っ越し、結婚、離婚などの大きな環境の変化があった方や、大切な人を亡くした、病気になった、職場や学校でのトラブルがあるなど、ストレスの多い状況にある方も対象となります。

さらに、過去に精神的な病気の治療を受けたことがある方、家族に精神疾患の既往がある方なども、早めの相談をおすすめします。

心療内科・精神科に行ってはいけない人はいる？

基本的に、心療内科・精神科に行ってはいけない人はいません。ただし、医師との相性が合わない場合は医師を変更することを検討したり、セカンドオピニオンを求めたりすることも可能です。

薬物依存や暴力的な行動がある場合は、専門的な対応が必要になることがあり、適切な医療機関への紹介を受けられます。また、自殺念慮が強いなど緊急性が高い場合は精神科救急の対応が必要な場合もあります。

心療内科・精神科に行く受診の基準　まとめ

心療内科・精神科への受診は、「症状が重くなってから」ではなく、「気になる症状があるとき」に検討すべきです。

受診の基準として重要なポイントは、症状が2週間以上続いている、日常生活に支障をきたしている、自分でも「いつもと違う」と感じる、症状が改善しない、または悪化しているといった状況です。

早期受診には多くのメリットがあります。症状の悪化を防げること、治療期間を短縮できること、日常生活への影響を最小限に抑えられること、そして適切な治療法を早期に見つけられることなどが挙げられます。

「この程度で病院に行ってもいいの？」という迷いは、多くの人が感じる自然な気持ちです。しかし、心の健康も身体の健康と同じように、早期の対処が重要です。

症状が軽いうちに専門医に相談することで、より良い治療結果を期待できます。一人で抱え込まず、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。