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漠然とした不安は不安障害の可能性も?過度な不安に苦しむ場合はオンライン心療内科に相談
- 1.はじめに
- 2.不安障害とは?症状や診断基準について解説
- 3.漠然とした不安の原因は?
- 4.不安障害の種類と特徴について解説
- 5.不安障害の治療法とは
- 6.自分でできる漠然とした不安への対処法
- 漠然とした不安 まとめ
1.はじめに
毎日の生活で不安や恐怖を感じるのは自然な現象です。通常、時間が経ったり、嬉しいことがあったりすれば、その不安はすぐに忘れてしまい、一時的な感情であることが多いです。しかしながら、この恐怖・漠然とした不安が生活に支障をきたすほど過度になり、常に精神的に苦しいと感じる場合は、不安障害という精神疾患の可能性が高いです。
本記事では、不安障害の症状・診断基準・原因や、不安障害の種類についてそれぞれ解説します。日常生活に支障をきたすほど重症化してしまう前に、軽症状の段階でどう対処していくのかについても解説します。
2.不安障害とは?症状や診断基準について解説
漠然とした不安を長期間感じ、日常生活にも支障をきたすような場合は、不安障害である可能性が考えられます。ここでは、不安障害に含まれる病気にはどういったものがあるのか、症状・診断基準について解説していきます。
不安障害の特徴
不安や緊張を日常生活で感じるのは自然なことです。しかし、身体面・精神面に強く症状が現れ、日常生活に影響を及ぼす場合は、不安障害の可能性が高いと考えられます。
たとえば、人前で話すとき緊張してしまうのは当たり前の感覚ですが、不安障害の方の場合は普通の人よりも過度に緊張や不安を感じるため、日常生活に支障をきたすことがあります。不安を感じる信号が過剰になっているため、危険でないものにまで不安を感じる傾向があるのです。
不安障害の症状
不安障害の症状は身体面・精神面に出るものに分けることができます。症状には以下のようなものが挙げられます。
身体面
・強い緊張と大量の汗をかく
・動悸や息切れ
・胸が苦しい
・めまい
・体のしびれ
・便秘や下痢
・震え
精神面
・慢性的な緊張感
・小さいことを気にしてしまう
・イライラしやすい
・フワフワして落ち着かない
・自分が自分でない感じがする
・理由不明の倦怠感
・死ぬことへの恐怖
不安障害の診断基準
不安に耐えられるレベルは個人差があるため、通常ではない不安状態を定義するのは、難しい場合があります。以下の項目は不安障害に含まれる全般性不安症の診断基準ですが、不安障害にはパニック障害、強迫性障害など様々な疾患が存在するため、診断を受けるには病院を受診し診察を受ける必要があります。
A.2つ以上の活動や出来事の領域(例:家族,健康, 経済的状況,仕事や学業などの困難など)についての過剰の不安と心配がある
B.少なくとも3か月間、過剰な不安と心配が起こる日のほうが起こらない日より多い
C.不安と心配は、以下の症状のうち1つまたはそれ以上の症状を伴っている
1.落ち着きがないまたは緊張感または過敏
2.筋肉の緊張
D.不安と心配は、以下の行動のうち1つまたはそれ以上の症状を伴っている
1.否定的な結果が起こりうる活動や出来事を著しく回避する
2.否定的な結果が起こりうる活動や出来事への準備に著しい時間と努力を費やす
3.心配のために行動や物事の決定を著しく延期する
4.心配のあまり繰り返し安心や安全を求める
E.社会的・職業的・またはほかの重要な領域における機能において、臨床上著しい苦痛と障害を引き起こしている
診断基準の一例を紹介しましたが、自己判断で決めつけてしまわず、まずはオンラインで診察を受けることができる、オンライン診療に相談してみることをおすすめします。軽い症状の段階で、スマートフォンから自宅で受診をすることができます。
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3.漠然とした不安の原因は?
とくに思い当たる節はないけれど、漠然と不安を感じつづけてしまっている原因はなぜでしょうか。ここでは、漠然とした不安の原因について解説していきます。
生まれ持った気質・遺伝
もともとの気質として、神経質・こだわりが強い・完璧主義などの性格が幼いことからある場合、不安を異常に感じる気質になりやすいと言われています。研究によると、30〜60%ほどの遺伝率で、不安障害と遺伝は深く関係していることが分かっており、幼少期に親の考えや価値観に触れることで、不安への感覚が遺伝すると言われています。
過去の経験(トラウマなど)
幼い頃のトラウマなどの経験から大人の不安障害に繋がっているケースです。幼少期の大事な人との別れ・生死に関わる災害の経験・親との離別・虐待などが考えられます。研究によると、虐待を受けた児童が大人になって不安障害を発症するケースが多いことが分かっています。1つのトラウマの衝撃が強すぎる場合や、小さなストレスが蓄積され、不安障害が引き起こされることがあります。
現在の環境によるストレス
仕事や家族問題など現在の環境によるストレスが引き金となり、不安障害に繋がるケースです。たとえば仕事で大事なプレゼンテーションを控えており、その出来事自体に大きなストレスを感じ過度に恐怖が生まれ、発汗・震え・心拍数の上昇など身体に症状が現れることがあります。
4.不安障害の種類と特徴について解説
不安障害といっても、どこに不安を強く感じるのかによってさまざまな病気があります。それぞれの不安障害の特徴について解説していきます。
パニック障害
突然強い不安に襲われパニックになってしまう病気です。心臓がドキドキし、脈が早くなり、めまいに襲われることがあります。ときには、自分は死んでしまうのかもしれないという考えに襲われ、このようなパニック発作が繰り返し起きてしまう病気のことをパニック障害といいます。通常、動悸・めまい・発汗・息切れ・吐き気・胸の苦しさ・死ぬことへの恐怖などの症状が10分以内にピークに達し、1時間以内に徐々に症状が消失してしまうと言われています。
例えば、いきなり発作に襲われ、救急外来を受診しますが、病院に着いたころには発作は治り、特に身体の検査にも異常はないといわれてしまうケースもあります。しかし、その後またパニックに陥り1時間後にはもうおさまっている、といった状態が繰り返されるため、また発作がおきるのではないかと過度な不安状態に陥ることがあります。
社会不安障害
人に注目されること、人に恥ずかしいと思われること、人と話すことに対する恐怖、人混みなどに恐怖を感じる不安障害です。ほかにも人前で食事をすること、人前で字を書くこと、目上の人と話すことに強く恐怖心を抱くケースもあります。ときには強い不安を感じ、パニック発作を発症することもあります。
過去の人前での失敗やトラウマが原因で社会不安障害が引き起こされることもありますが、子供時代、自分の価値を認められず自信を持つことができなかった経験も、不安障害に影響する場合があります。だんだんと人と会うことに恐怖を感じるため、人と会うことを避けたり、外出を控えるようになることがあります。
強迫性障害
自分の意思に反して、ある特定の考えが浮かび、その不安を打ち消すためにある特定の行動をくり返しおこなってしまう病気です。たとえば、いくら手を洗っても汚いという強迫観念に襲われくり返し手を洗ってしまう・戸締りを何度チェックしてしまう・自分で決めた手順でないと恐ろしいことが起きてしまうので、どのような状況でも自分で決めた手順で家事や仕事をおこなう・物の配置にこだわりがあり常にそろっていないと不安になる、などがあります。
自分は単なる神経質なのか、病気なのかという判断は難しいところがありますが、日常生活に支障をきたしていると感じる場合は、病院で早めに治療を受けることが望ましいです。たとえば、戸締りしたかどうかが気になり何度も家に戻り、集合時間に間に合わないといった問題が生じてしまいます。
ほかにも家族や周りの友人が困っている場合も、強迫性障害の可能性が高いため、早めの段階で病院に相談することが望ましいです。強迫性障害については以下の記事でも詳しく解説しています。併せてお読みください。
強迫性障害との向き合い方とは?対処法を解説
全般性不安障害
仕事・学校・家族・友人・生活・将来などありとあらゆる範囲で過度に不安を感じる状態が半年以上続く場合は、全般性不安障害かもしれません。常にいろいろなことに恐怖・不安を感じて生活しているため、落ち着きがない・筋肉が緊張している・集中できない・イライラする・眠れないなどの症状が現れます。
ここで紹介した病気は比較的重い症状のため、オンライン診療に向かないことがあります。そのため、軽度に気になる症状が出た段階で、なるべく早くオンライン診療を受診してください。軽い症状の段階で相談することで、パニック障害などの病気を未然に防ぐことに繋がります。不安障害かどうか不安な方は、こちらからご相談ください。
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5.不安障害の治療法とは
不安障害にはどのような治療法があるのでしょうか。過度な不安を抑え、どのように心身を健康状態に戻していくのか、治療法を解説します。大きく分けて薬物治療と認知行動療法の2種類あります。
薬物療法
薬を使って不安障害を治療していく方法です。主に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬を使用します。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、突然の不安を和らげるために使用されることがあります。ただし、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬はやむを得ない状態のときに使用する薬であり、頻繁に飲む薬ではありません。どちらの薬も離脱症状に注意する必要があります。減薬する際は、数週間〜数か月にわたって時間をかけて徐々に減らしていく必要があります。自己判断で断薬ことなく、医師の指示のもと減薬をおこないましょう。
自己判断で断薬すると、強い副作用が出たり、不安が返って強くなることもあるため、薬の処方は医師の指示に必ず従い、気になる点がある場合は必ず相談しましょう。
認知行動療法
認知行動療法とは、「認知」機能に焦点を当て、本人の凝り固まった思考を柔軟にほぐし、新しい物事の捉え方、気づきを発見してもらう治療法です。専門家と対話形式でおこなわれ、カウンセリングを通しておこなっていきます。
うつ病・パニック障害・強迫性障害などの精神疾患以外にも、頭痛や過敏性腸症候群などの心身症、ADHDなどの発達障害などにも効果があるといわれています。
具体的には、自身のストレスにまず気がつき問題を整理し、そしてその問題がどのような状況だと引き起こされどう感情が動くのかを認識します。
その後、自動思考のくせに気がつき、自動思考と現実のズレをどうしたら現実に沿った見方に変えることができるのかを考えていきます。医師やカウンセラーとの面談を30分ほどおこない、それを数か月続けていきます。
6.自分でできる漠然とした不安への対処法
ここでは、日頃から自分でできる過度な不安を和らげるための対処法についてご紹介します。
腹式呼吸をおこなう
強い不安を感じると息が上がり、汗が出たり、心臓がドキドキしてしまいます。そのような場合は、腹式呼吸を意識してみましょう。やり方は非常に簡単です。
背筋を伸ばし、お腹に手を当て、まずは意識して息を吐き出すことから始めます。1,2,3と数えながらゆっくり息を吐き、1.2.3と数えて今度は鼻から息をゆっくり吸いこみます。これを10分ほど繰り返します。息を吐き出すときにお腹がへっこんでいるか、息を吸うときにお腹が膨らんでいるかを意識することで、深い呼吸ができる腹式呼吸をすることができます。
マインドフルネス(めい想)
マインドフルネスとは、未来の不安や過去の失敗などネガティブなことを判断すること自体を一旦止め、心を今に集中させるやり方です。目を瞑り背筋を伸ばし、呼吸音やお腹や胸の収縮を感じます。雑念がよぎる場合は、雑念だと心の中でつぶやき、呼吸に集中を戻します。
ある研究で、不安障害の患者を対象に、マインドフルネスをおこなった人とそうでない人の不安の心理検査を行ったところ、実施したグループのほうが不安の強さが大きく軽減したことが分かっています。
漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)
漸進的筋弛緩法とは、筋肉の収縮を繰り返し行い、身体をリラックスさせる方法です。強い緊張から解放されると、体全体で脱力感を感じると思います。この感覚を利用し、筋肉を意図的に強く力を入れて緊張させ、その後一気に力を抜き筋肉を緩ませ、緊張状態からリラックス状態に変えることができます。
生活習慣を見直す
生活習慣の見直しは前提として非常に大切です。食生活においては、アルコールやカフェインの取りすぎは不安を加速させることが分かっています。不安から逃れたいがために、飲酒に走ってしまう人も少なくありませんが、不安が和らぐのは一時的であって、むしろ不安が加速することにつながってしまうのです。
ほかにも睡眠リズムを整えたり、適度に散歩するなど軽い運動をし、生活習慣を見直してみましょう。
今の不安や感情を書き出してみる
今感じている不安や感情をとにかくノートに書き出してみるのも、不安を和らげるための効果的な方法です。感情ノートといわれており、自分の考え方の癖や感情を第三者の目で冷静にみることができます。
また、ストレスへの自分なりの対処法を見つけることができ、自分と向き合う癖をつけることができます。ネガティブな感情をしっかり書き出すことはもちろんですが、毎日怒ったポジティブな出来事や、幸せを感じた出来事を書き出すことで、小さな幸せに目がいき、幸せを感じやすくなります。
感情ノートの具体的なやり方については以下の記事で解説しています。併せてお読みください。
【関連記事】感情ノートの書き方を解説!ネガティブ感情の整理とストレス軽減
オンライン診療も選択肢のひとつ
オンライン診療は、直接クリニックに行く必要はなく、自宅や外出先など好きな場所で診察を受けることができ、スマートフォンやパソコンで診察が完了します。自宅で受けることができるため、通院しているところを見られたり、待ち合わせ室でばったり知り合いと会ったりすることもないので、プライバシーが守られます。
もちろん、オンライン診療には処方制限があったり、重度の精神疾患に対応が難しかったりとデメリットもありますが、オンライン診療は精神科をはじめて受診したり、治療継続しやすいなどとメリットも多くあります。
パニック障害など重い病気はオンライン診療での治療に向いていませんが、なんとなく漠然と不安が続いている、など軽い症状の段階で早めにオンライン診療に相談することで、重いメンタル疾患を防ぐことにつながります。
漠然とした不安で心療内科の受診を悩んでいる方は、ぜひオンライン診療で相談してみてください。
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漠然とした不安 まとめ
漠然とした不安について解説しました。本記事の重要な点を以下でまとめました。
・不安や緊張を日常生活で感じるのは自然なことだが、身体面・精神面に強く症状が現れ、日常生活に影響を及ぼす場合は、不安障害の可能性が高いと考えられる
・不安障害の原因には、生まれつきの気質や遺伝・幼少期のトラウマ・現在の仕事や家庭でのストレスなどが考えられる
・不安障害には、パニック障害・社会不安障害・強迫性障害・全般性不安障害などさまざまな種類がある。
・不安障害には主に抗うつ剤や抗不安剤を使用する薬物治療と、「認知」機能に焦点を当て、本人の凝り固まった思考を柔軟にほぐし、新しい物事の捉え方・気づきを発見してもらう、認知行動療法の2種類がある
・自分で過度な不安を和らげるためには、腹式呼吸を意識する・めい想・漸進的筋弛緩法・感情をノートに書き出す、などの方法がある
・漠然とした不安が続くなど、気になる軽度の症状がある場合は、自宅でスマートフォンから受診ができる、オンライン診療がおすすめ
自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、以下のリンクから症状チェッカーで確認してみましょう。あなたの気になる症状から該当する心の病気を調べます。
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参考記事
・ 不安障害“” , 厚生労働省 こころもメンテしよう ,( 参照 2024-6-11)
・ 不安障害”” , 専門医部会シリーズ:内科医と災害医療 ,( 参照 2024-6-11)
・ 不安障害の病態と診断”” ,( 参照 2024-6-11)
・ 不安症の概要”” ,MSD マニュアル ,( 参照 2024-6-11)
・ 不安障害に対する認知行動療法”” ,( 参照 2024-6-11)
・ 腹式呼吸をくりかえす”” , 厚生労働省 こころもメンテ使用 ,( 参照 2024-6-11)
・ マインドフルネスについて”” ,KOMPAS,( 参照 2024-6-11)
・ 第” 2 章 心のケア 各論” , 文部科学省 ,( 参照 2024-6-11)