心療内科・精神科は怖い?行ってはいけないと言われる理由

監修者紹介
河邊眞好
大学病院、単科精神科病院などを経て、現在は総合病院精神科で地域の精神科医療に従事。 精神保健指定医 / 日本精神神経学会専門医・指導医 / 公認心理師 / 厚労省認定認知症サポート医 / 日本精神神経学会認知症診療医 / 臨床研修指導医 / 緩和ケア研修会修了 / コンサータ処方登録医
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河邊眞好
大学病院、単科精神科病院などを経て、現在は総合病院精神科で地域の精神科医療に従事。 精神保健指定医 / 日本精神神経学会専門医・指導医 / 公認心理師 / 厚労省認定認知症サポート医 / 日本精神神経学会認知症診療医 / 臨床研修指導医 / 緩和ケア研修会修了 / コンサータ処方登録医
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「心療内科に行ったら薬漬けにされるのでは」「薬に依存してしまうのが怖い」など、心療内科は行ってはいけないのかもと思ってしまい、心療内科の受診を先延ばしにしていませんか。

そもそも、「心療内科に行ってはいけない」というのは本当なのでしょうか。

本記事では、心療内科に行ってはいけないと言われている理由、早期発見・早期治療の重要性、気をつけたほうがいい心療内科の特徴、心療内科の選び方、そして受診する際に気をつけるべきポイントを解説します。


心療内科・精神科に行くのが怖い……どんな話や治療をするのか解説

心療内科・精神科に行くのが怖い……どんな話や治療をするのか解説

心療内科・精神科は、精神的な不調を抱える方をサポートするための専門機関です。はじめて受診するときは、医師が現在の症状・生活状況・これまでの病歴などをていねいに伺い、患者さまに合った治療法を提案します。

「心療内科・精神科に行くのが怖い」と思っている方もいるかもしれませんが、安心して相談できる場所なので、1人で抱え込まずにご相談ください。


そもそも心療内科・精神科とは何をするのか?

心療内科と精神科は、どちらも心身の健康に関わる診療科です。実は心療内科と精神科は専門とする症状が異なるのですが、今は形骸化しているため、心療内科と精神科が併設されているクリニックに受診するのがおすすめです。


心療内科・精神科に行く基準

心療内科・精神科に行くか迷う場合、以下の症状が2週間以上続くようであれば、受診を検討しましょう。

・気分の落ち込み・不安・イライラが強く、日常生活に支障が出ている
・仕事・学業・家事など、今までできていたことができなくなったり、意欲が湧かなかったりする
・人に会うのが億劫・人目が気になりすぎる
・眠れない・夜中に何度も目が覚める・過眠など、睡眠の質に変化がみられる
・食欲不振・過食など、以前と比べて食欲に変化がみられる
・頭痛・腹痛・吐き気・めまい・動悸・息切れなど、原因不明の身体症状が続いている
・実際にはない音・声が聞こえたり、実在しない人・ものが見えたりする
・「消えてしまいたい」「いなくなってしまいたい」と感じる

これらの症状が悪化する前にサポートを受けることで、より早く回復につながる可能性があります。「気のせいかもしれない」「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、早めに専門医に相談してみましょう。


初めての心療内科・精神科の受診で話すこと

初めて心療内科・精神科を受診する際は、まず、どのような症状で困っているのか・いつから症状が出ているのかを、できるだけくわしく話しましょう。たとえば、「1か月前から気分の落ち込みがひどく、朝起きるのがつらい」「夜なかなか眠れず、仕事に集中できない」といった具合です。

さらに、睡眠や食事・仕事・学校・家庭環境など、日常生活の状況を話します。ストレスの原因となっている出来事や、生活リズムの変化なども伝えてみてください。

心療内科・精神科では、過去の病歴や治療歴・つらかった経験などを話すこともあります。話したくないことを無理に話す必要はありませんが、話せる範囲で伝えると、医師があなたの状態をより深く理解できるでしょう。

治療法に対する疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談してみてください。診察中は、ありのままの気持ちを話すことが大切です。事前に医師に伝えたいことや相談したいことをメモしておくのもよいかもしれません。


心療内科・精神科での主な治療法

心療内科・精神科での治療法は、患者さまの症状や状態に合わせて多岐にわたります。主な治療法として、薬物治療や精神療法が挙げられます。

薬物療法は、症状の程度や種類・患者さまの希望などを考慮しながら、どの薬物を使用するかが決まります。なお、薬物療法はすべての方に適用されるわけではありません。精神療法やそのほかの治療法で治療が行われるケースもあるためです。

精神療法では、医師と話をして気持ちを整理したり、問題解決の糸口を見つけたりします。これまで気づかなかったご自身の感情や思考パターンに気づく場合もあるでしょう。

ほかにも、作業療法やデイケアなどの精神科リハビリテーション、環境調整、生活習慣の改善なども、心療内科・精神科の治療法として用いられる場合があります。医師と相談しながら、あなたに合った治療を進めていきましょう。


心療内科・精神科は怖い?行ってはいけないと言われる理由

心療内科・精神科は怖い?行ってはいけないと言われる理由

「心療内科・精神科に行ってはいけない」という声を耳にする場合もあるかもしれません。結論からお伝えすると、心や身体に違和感や症状が現れた場合は、早めに心療内科・精神科を受診して治療することが大切です。

ここでは、心療内科・精神科に行ってはいけないと言われている理由を3つご紹介します。


心療内科・精神科の薬は飲みたくない……副作用や依存性に怖さを感じる方も

「薬を飲まず、自然に回復したい」と思う方もいるかもしれません。

脳に働きかける薬剤に対して不安を感じるのはおかしいことではありません。「副作用が怖い」「依存性があるのでは?」といった不安から、受診をためらってしまうケースもあります。

しかし、医師の指示を守って適切な量を服用し、急な自己中断を避ければ問題ありません。近年の心療内科・精神科では、依存性の強い薬を処方せず、できるだけ少量の薬で治療していく傾向にあります。薬を飲みはじめたあとも、定期的に副作用がないか、体調はどうかなどを確認しながら、医師が薬の量を調整していきます。

もし薬の副作用を感じた場合は、担当医に相談してください。医師が症状をくわしく聞き取り、副作用なのかどうかを判断し、必要に応じて薬の量を調整したり、別の薬への変更を検討したりして対処します。

自己判断で薬の服用を中止したり、量を変更したりすると、心身に影響がでる場合があります。減薬の希望がある場合には、必ず医師の指示に従いましょう。


クリニック・医療機関が自分に合わない場合につらくなることがある

心療内科・精神科の数は年々増加しており、患者さまの数も以前より増加しています。

心療内科・精神科は、内科とは異なり目に見えない心身の病気を扱う診療科ですので、どの病院が自分に合っているのか不安になることも多いかと思います。通院をしていても、治療の効果をすぐに感じないことはめずらしくありません。効果が出るまでに時間がかかるのは自然なことなので、焦らず続けていきましょう。

また、心療内科・精神科は自分に合った病院を選択するために、転院することも1つの選択肢です。そもそも病院に通うのがストレスだった・医師が合わなかった・治療方法に満足していないなど、治療自体にストレスを感じることもあります。

セカンドオピニオンを行い、ほかの医師の意見を聞くことも1つの方法です。


医師とのコミュニケーションがうまくいかず不安になる

医師とうまくコミュニケーションが取れないと不安に感じている方も多いかもしれません。薬物療法がメインで治療する場合は、「思ったよりも淡々と治療が進められるな」と思ってしまうこともあるかもしれません。

あくまで薬での治療という前提はありつつも、心身の病気を改善するには患者さまが自身の情報をどれだけ話してくれるかが大事になります。そのため、安心して自分の悩みを話せる医師とのコミュニケーションの取りやすさは非常に重要です。

心療内科・精神科クリニックを選ぶ際のポイントものちほど解説します。


心療内科・精神科に行ってはいけないと言われる3つの理由



【心療内科・精神科が怖い方へ】早期発見・早期治療は重要

【心療内科・精神科が怖い方へ】早期発見・早期治療は重要

心療内科・精神科を受診するにあたり、処方薬や心療内科の選び方などについて不安はつきものです。

「この症状くらい受診しなくても平気」
「体調が悪いけど心療内科は怖いから受診しない」
「薬を飲むのが怖いから受診は避けよう」

もしこのように考えて受診をためらってしまうと、結果的に治療が長引いてしまう可能性もあります。心や身体に違和感を感じたら、まずは受診をご検討ください。

精神疾患の早期発見・早期治療の重要性について、くわしく見てみましょう。


重症化・慢性化

症状を放置しておくと重症化・慢性化のリスクが高まる傾向にあります。とくにメンタルの病気は「この程度なら我慢できるだろう」と思って受診を先延ばしにしていると、健康状態に戻るまでの治療時間がどんどん長くなってしまうかもしれません。

うつ病をそのままにした場合、どうなってしまうのか解説します。日本の研究によると、治療を受けなかった患者さまのうち、一度回復した方の約4割は6年以内に再発しています。また、再発した場合、重症化する可能性が高まり、そのあと治療を受けても病気が改善せず、慢性化する場合があります。

適切な治療を受けることは、早い回復が期待できるだけでなく、症状の重症化・慢性化の予防につながるのです。


再発リスク防止

うつ病は症状が回復しても60%の確率で再発すると言われています。

また、厚生労働省の調査によると、2回うつ病になった方は70%、3回かかったら90%と再発回数が多いほど、再発リスクの確率が高まると示唆されました。

この原因としては、再発が高まると、ストレスとは関係なく抑うつ状態に陥り、再発の原因が特定できなくなってしまうことが挙げられます。

とくに、うつ病の症状を放置してしまい治療が遅くなった方は、一度回復しても約4割の方が6年以内に再発し、再発を繰り返すほど次の再発率も高くなりやすいといわれています。そのため、早めに治療を受けるのが大切です。

心療内科・精神科に行くべき基準については、下記の記事でくわしく解説しています。併せてお読みください。

【関連記事】精神科・心療内科へ行くべき症状とサイン:迷われている方へ行く基準を解説!


迷ったら早めに心療内科を受診しましょう

うつ病は、早めに発見・治療するのが大切です。症状をそのままにすると、病状が重くなってしまったり、再発を繰り返したりする場合があります。

一方で、早めに治療をはじめると、症状の改善が早く、回復にぐっと近づくでしょう。少しでも心身に気になる症状がある場合は、早めの心療内科・精神科の受診をご検討ください。

心療内科・精神科の予約が取れずにお困りの方は、以下の記事をご参考にしてください。

【関連記事】予約が空いていない!心療内科の現状と早く受診するためのポイントを解説

自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、無料の症状チェッカーで確認するのも1つの選択肢です。

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精神疾患の早期発見・早期治療が重要な理由




心療内科・精神科に行くのが怖い人がクリニック選びで気をつけたいポイント

心療内科・精神科に行くのが怖い人がクリニック選びで気をつけたいポイント

心療内科・精神科の治療において、クリニック選びは大切です。すでに通院している患者さまのなかにも、「今のクリニックで本当によいのかな……」と感じている方もいるかもしれません。

ここからは、心療内科・精神科のクリニック選びで気をつけたいポイントについて解説します。気になる点があれば、別のクリニックも視野に入れるのもよいでしょう。


薬の内容や効果をきちんと説明してくれるか

薬の内容や効果についてきちんと説明してくれる医師を選ぶことが大切です。心療内科や精神科では、症状に応じて、薬の量を調整したり、複数の種類の薬を組み合わせたりすることがあります。

薬の効果が現れるまでには時間がかかる場合があるため、なぜこの薬を飲むのか、どんな効果があるのかを理解して納得することが、治療を続けるうえで重要です。

副作用がつらいときは、主治医に相談しましょう。飲み方の変更や薬の調整で改善する場合もあります。ていねいに説明してくれる医師なら、疑問や不安を解消しながら治療を続けられるでしょう。


薬の量や種類が自分に合っているか

薬の量や種類は、患者さまの病状・ペースに合わせて調整されることが大切です。薬の効果が現れるまでには一定期間が必要で、副作用にも個人差があるため、ていねいな経過観察が欠かせません。

たとえば、同じ効果の薬を3種類以上処方したり、効果を確認せずに頻繁に薬を変更したりするクリニックには注意が必要かもしれません。2016年4月以降、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師が処方する場合を除き、抗精神病薬・抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬は、それぞれ原則2種類までしか処方できないルールになっています。

効果の確認もなく、薬の量がどんどん増えてしまう場合には、ほかのクリニックの受診を検討するのも1つの方法でしょう。


話をじっくり聞いてもらえるか

心療内科・精神科は心理カウンセリングとは異なり、薬物療法での治療がメインです。心理カウンセリングは1人ひとりの悩みや相談に乗り、課題の整理を一緒におこない、悩みの問題解決を目的としています。

心療内科・精神科は薬の処方を主におこなう場所であるため、長時間のカウンセリングはありませんが、それでも患者さまの話をまったく聞いてくれない場合や、医師からの一方通行の治療となっている場合は気をつけたほうがいいかもしれません。

心身の病気は目に見えないため、患者さまからの情報が治療するうえで大切です。医師とのコミュニケーションを大事にすることが、より適切な治療につながります。


心療内科・精神科のクリニック選びで気をつけたいポイント




心療内科・精神科を受診する際に気を付けるべきポイント

心療内科・精神科を受診する際に気を付けるべきポイント

これから心療内科・精神科の通院をはじめる際は、以下の点に注意しましょう。

①薬の処方は医師の指示に従い、自己判断で薬の服用をやめたり、服用時間を変えない
薬を飲むタイミングを自己判断で変えたり、医師に相談せず断薬したりすることは控えてください。

副作用かもしれないと感じたり、薬の効果を感じられないなどの原因から、自己判断で薬の処方をストップしてしまった際に起こりうる症状には、以下のようなものがあります。

・症状の再発
・離脱症状
・薬を内服していない不安

自己判断での断薬は控え、必ず医師に相談するようにしましょう。


②気になることは医師にすぐ相談
治療方法や薬など、不安なことは医師にご相談ください。

メンタルの病気の治療において、複数の薬を長期間飲み続けたり、完治するまでに時間がかかったりする場合があります。そのため、感じた違和感や不明点をそのまま放置しておくと、治療効果に影響が出るおそれがあります。

もし、上手く伝えられるかわからないという場合には、気になる点、伝えておきたい内容を事前にメモし、医師に渡すことも1つの方法です。


まとめ:心療内科・精神科は怖い?

まとめ:心療内科・精神科は怖い?

「心療内科や精神科に行くと必ず薬を飲まないといけないのでは?」といった不安から、受診をためらう方もいるかもしれません。しかし、つらい気持ちや心身の不調をそのままにしておくと、症状が重くなったり、長引いたりすることがあります。早めに気づいて対処するのが大切です。

とくにうつ病は、早く治療をはじめるほど回復に近づく傾向にあり、再発の予防にもつながります。

また、自分に合ったクリニックを選ぶのも大事なポイントです。薬の説明をきちんとしてくれるか、こちらの話に耳を傾けてくれるかなどを基準に選びましょう。

心療内科・精神科は、ストレスによる身体の症状や心身の不調をサポートする専門機関です。少しでも気になる症状があれば、専門医に相談してみてくださいね。

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