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適応障害の人への接し方|職場・家族がやるべきこととNGワード一覧
- 適応障害の人を支えるうえで、まず知っておきたいこと
- 言ってはいけないNGワード10選と、代わりに使う言葉
- 職場(上司・同僚)ができるサポート
- 家族ができること・気をつけたいこと
- 回復の段階に合わせて、接し方を変えていく
- 支える側が共感疲労に気をつけたい理由
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:適応障害の人を支えながら、精神科・心療内科のオンライン診療も選択肢に
「部下が適応障害と診断されて休んでいる。復帰したとき、どう接すればよいのかわからない」
「家族が適応障害と診断された。力になりたいけれど、何をするのが正解なのかがわからない」
これらは適応障害の人を支えたいと思っている方が抱える、とてもリアルな悩みです。
適切なサポートは回復を後押しし、逆に不適切な関わりは負担を大きくすることがあると指摘されています。そっとしておくことだけが正解とは限りません。
このページでは、家族と職場それぞれが「できること」「気をつけたいこと」を、具体的にお伝えします。あわせて、精神科・心療内科やオンライン診療への相談をどう支えるかについても、くわしく見てみましょう。
適応障害の人を支えるうえで、まず知っておきたいこと
適応障害の人を支えるときには、いくつか前提として理解しておきたいことがあります。ここからは、支える側が最初に知っておきたい3つのポイントについて、くわしく見てみましょう。
適応障害は「甘え」や「弱さ」ではない
適応障害は、特定のストレス因への反応として、気持ちの落ち込みや行動面の変化などがあらわれる状態です。国際的な疾病分類(ICD)にも位置づけられており、意志や性格の問題ではありません。
そのため、「気合いを出せば治る」「もっと前向きに考えれば」といった声かけは、本人をさらに追い込んでしまうおそれがあります。まずは医学的な状態であることを理解することが、支える側の第一歩になります。
特定の状況ではつらくなることを理解する
適応障害には、ストレス因から離れると比較的楽になるという特性があるとされています。そのため、職場では症状が強く出るのに、プライベートでは元気そうに見えることがあります。
「元気そうに見えるのに休んでいるのはおかしい」という思い込みは、いったん手ばなしてみてください。それは適応障害の特性であり、回復の過程にあらわれるサインの1つと考えられます。
支える側が正解を探しすぎないことも大切
「何をすれば治るのか」「どうすれば早く回復するのか」という正解探しが、かえって本人にプレッシャーを与えてしまうことがあります。
支える側の基本姿勢は、本人のペースを尊重することです。焦らず寄り添う姿勢そのものが、大きな支えになります。
言ってはいけないNGワード10選と、代わりに使う言葉
適応障害の人を支えるとき、よかれと思った言葉が本人を傷つけてしまうことがあります。ここからは、避けたい言葉と言いかえの例について、くわしく見てみましょう。
NGワードとその理由・代替表現
NGワード | なぜNGか | 代わりに言える言葉 |
|---|---|---|
「甘えているだけでしょ」 | 本人の苦しみを否定し、自己批判を強める | 「それは本当に辛かったね」 |
「みんな辛いのに頑張っている」 | 比較で苦しみを無効化する。競争・優劣を持ち込む | 「あなたの辛さはあなたのもの」 |
「早く治してね」 | 回復への焦りを生み、プレッシャーになる | 「医師の言うとおりにしていこう」 |
「こんなことくらいで」 | 症状の深刻さを軽視。「自分がダメ」感を強める | 「それだけつらかったんだね」 |
「仕事のことが心配じゃないの?」 | 罪悪感を植え付ける。回復を妨げる | 「回復を優先して。焦らなくていい」 |
「薬に頼るのはよくない」 | 治療への不信を植え付ける | 「先生を信頼して治療を続けよう」 |
「もっとポジティブに考えたら?」 | 思考の変化を本人の意志だけで求めている | 「今のままでいいよ」 |
「私の話を聞いてくれない、ずるい」 | 支える側の不満をぶつける。本人の罪悪感を増幅させる | 自分の感情は別の場所で処理する |
とくに大切な言葉かけの姿勢
「そうか、それはつらかったね」という一言が、とくに力をもつことが多いといわれています。
評価しない・解決しようとしない・アドバイスしすぎない。ただ「つらさを聞いた」という姿勢が、本人の孤立感をやわらげます。
職場(上司・同僚)ができるサポート
職場は、本人が安心して休み、無理なく戻ってくるための大切な環境です。ここからは、上司・同僚それぞれができることについて、くわしく見てみましょう。
上司ができること
上司の関わり方は、本人の回復や職場復帰に大きく影響します。休養前・休養中・復帰後の3つの時期に分けて考えると整理しやすくなります。
休養前の段階では、次のような対応が考えられます。
1.体調の不調を訴えてきた段階で、早めの受診をやさしく促す
2.業務負担の軽減や残業の削減を検討する
3.産業医やEAP(従業員支援プログラム)の利用を案内する
休養中は、次の点に配慮するとよいでしょう。
1.本人への連絡は、業務上必要な内容にとどめる
2.復帰を急かすような連絡は控える
3.周囲への共有範囲は、本人と相談しながら決める
復帰後は、次のようなサポートが役立ちます。
1.はじめの1か月〜3か月は、業務量を控えめに調整する
2.定期的に声をかけ、相談しやすい雰囲気をつくる
3.再発のサインに気づいたら、本人の同意を得たうえで産業医につなぐ
なお、休養や復帰の判断は、本人と主治医・産業医の意見をふまえて進めることが大切です。
同僚ができること・気をつけたいこと
同僚の何気ない関わりも、本人にとっては大きな支えになります。
できるとよいことは、業務のフォローをさりげなくおこなう・特別扱いしすぎず自然に接する・「いつでも話せるよ」という雰囲気を伝えるなどです。
一方で、気をつけたいこともあります。周囲に不満を漏らす・休んだ理由を詳しく聞き出す・職場の状況を本人に送り続ける、といった関わりは、本人の負担になりやすいため控えましょう。
家族ができること・気をつけたいこと
家族は、本人がもっとも長い時間をともにする存在です。ここからは、家族ができるサポートと気をつけたい点について、くわしく見てみましょう。
家族ができるサポート
家族のサポートは、生活面・精神面・医療面の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
生活面では、以下のサポートが挙げられます。
・食事・睡眠・生活リズムが乱れているときにさりげなく支える
・通院に付き添う(本人が希望する場合
・家事の分担を無理のない範囲で引き受ける
精神面では、ただそばにいることが大きな支えになることが多いです。本人が話したいときには耳をかたむけ、話したくないときには無理に引き出さない姿勢が大切です。
医療面では、主治医への受診を支える・必要に応じて家族向けの説明を主治医から聞く、といった関わりが役立ちます。
家族がとくに気をつけたいこと
家族を支えるうえでは、いくつか意識しておきたいポイントがあります。
まず、励ますこととプレッシャーをかけることの違いです。「応援しているよ」という励ましと「早く治してよ」という言葉は、本人にとって大きく異なります。伝え方だけでなく、タイミングにも配慮しましょう。急性期や回復初期には、前向きな言葉よりも静かな受容のほうが適していることが多いといわれています。
次に「なぜ元気なときもあるのか」という疑問への向き合い方です。「休日は外出できるのに、どうして」と感じることがあるかもしれません。これは、ストレス因から離れると楽になるという適応障害の特性を知らないことから生まれる自然な疑問です。主治医から家族向けに説明してもらったり、この記事のような資料を読んでもらったりすることが役立ちます。
回復の段階に合わせて、接し方を変えていく
適応障害の回復は、段階を追って進んでいくといわれています。ここからは、時期ごとの接し方について、くわしく見てみましょう。
急性期(休養の開始〜1か月ごろ):静かに見守る
この時期は、干渉を最小限にすることが基本です。連絡や訪問は本人から求めてくるまで控え、「元気になった」と回復を問う声かけも控えましょう。「ゆっくり休んでね」という言葉を、シンプルに繰り返すくらいがちょうどよい時期です。
回復期(1〜2か月ごろ):小さな変化を一緒に喜ぶ
本人が少しずつ活動を再開しはじめるこの時期は、小さな変化を一緒に喜ぶ姿勢が助けになります。「外出できたんだね」「ご飯を食べられるようになってきたね」といった声かけが、本人の自信につながります。
ただし、「もう治ったね」「そろそろ仕事の準備をしよう」など、先を急かすような反応はこの段階では控えましょう。
復帰準備期(復帰の1〜2か月前ごろ):具体的なサポートに切り替える
この時期からは、仕事に戻るためのサポートが役立ちはじめます。通勤の練習に付き添う・復帰の手続きを手伝う・「つらくなったら、また休めばいい」という安心感を伝えるといった関わりが本人を支えます。
なお、復帰の時期は本人と主治医の判断を大切にし、周囲が先に決めてしまわないよう気をつけましょう。
支える側が共感疲労に気をつけたい理由
人を支え続けることは、支える側にも負担がかかります。ここからは、共感疲労とその対処について、くわしく見てみましょう。
共感疲労とは
共感疲労とは、人の苦しみに寄り添い続けることで、支える側も疲れてしまう状態を指します。医療や福祉の現場だけでなく、家族や親しい同僚にも起こり得ます。
共感疲労のサイン
次のような変化は、共感疲労のサインと考えられます。
・「また同じ話か」といういらだちを感じる
・「もう関わりたくない」という気持ちが出てくる
・自分自身も、眠れない・疲れが取れない・気分が落ち込む
・「自分の生活が犠牲になっている」と感じる
共感疲労への対処
共感疲労を防ぐには、次のような工夫が役立ちます。
まず、できることとできないことを決めることです。サポートに限界を設けるのは、冷たさではありません。「1日1回は話を聞く」「送り迎えはできるが、夜中の電話は難しい」など、あらかじめ自分の範囲を決めておくことが、自分と本人の両方を守ります。
次に、自分のための時間を確保することです。趣味・友人との時間・運動など、リフレッシュできる時間を意識してつくりましょう。
そして、支援者向けの相談先を活用することも選択肢の1つです。本人のかかりつけ医に家族として相談したり、家族会を利用したりする方法があります。
「家族として相談したい」という場合も、エニキュアにご相談いただけます。
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よくある質問(FAQ)
適応障害の人を支えるなかでは、家族や職場ならではの疑問が出てくることがあります。ここからは、支える側からよく寄せられる質問について、くわしく見てみましょう。
Q. 本人が「話したくない」と言っています。それでもそばにいてよいですか?
A. はい。「話さなくていい、そこにいるだけでいい」という姿勢が、本人の安心につながります。沈黙のそばにいることも、立派なサポートです。
Q. 上司として、休養中の部下と連絡を取るべきですか?
A. 休養期間の確認や必要書類の連絡など、最低限の内容以外は、本人からのアクションを待つのが基本です。「いつ戻れるのか」「仕事が心配だ」といった連絡は、回復のさまたげになるおそれがあります。
Q. 部下が復帰しましたが、つらそうに見えます。どう声をかければよいですか?
A. 「無理しなくていい」「困ったことがあれば言ってね」という言葉を、定期的に伝えるとよいでしょう。症状のぶり返しが心配な場合は、本人の同意を得たうえで産業医に相談してください。
Q. 家族が適応障害ですが、本人が受診を嫌がっています。どうすればよいですか?
A. 受診を強く迫るのは、逆効果になることが多いです。「一緒に行こうか」という提案をやさしく繰り返す・かかりつけの内科などへの相談から始めるといった、本人のハードルに合わせた進め方が役立ちます。オンライン診療であれば、外出のハードルが下がり、相談しやすいと感じる方もいます。
まとめ:適応障害の人を支えながら、精神科・心療内科のオンライン診療も選択肢に
適応障害の人への接し方の基本は、受容・傾聴・本人のペースを尊重することです。避けたい言葉を知っておくことで、無意識のうちに傷つけてしまうことを防げます。
職場では、上司は休養中の連絡を必要最小限にし、復帰後は業務量を控えめに調整するとよいでしょう。家族は、生活面のサポートと「静かにそばにいること」が大きな支えになります。
そして、支える側も共感疲労に気をつけ、自分のための時間を確保することが大切です。「どう接すればよいのかわからない」という不安を抱えながらも、こうして調べていること自体が、すでに大きな支えになっています。
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