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【出産後のメンタルケア】産後うつの予防と治療について解説!
- 0.産後うつとは?その特徴と症状
- 1.産後うつの原因と発症しやすい人の特性
- 2.産後うつの治療方法と対処法を解説
- 3.産後うつの乗り越え方と家族の役割
- 4.産後うつのチェックと予防法
- 5.産後うつに関するまとめ
0.産後うつとは?その特徴と症状

出産後、母親のメンタルは非常にデリケートになります。
新しい生命を迎えた喜びと同時に、多くの母親が産後うつに苦しんできました。
産後うつとはどんな病気?
産後うつ病とは、
母親になった女性が出産後に経験することがある、精神的な障害です。
一般的な症状としては、憂鬱・興味喪失・無気力・過度の疲れ・睡眠の問題・集中困難・自分自身や生まれたばかりの子供への無関心や過度な不安を感じることが挙げられます。*1)
生まれたばかりの子どもとの新しい生活の変化や、ホルモンバランスの変動が主な要因として考えられてきました。*2)
しかし、この病気の原因は単純ではありません。
社会的な孤立や経済的な問題などの複数の要因が、身体的な疲労や出産後のホルモンの変動、新生児のケアに関するストレスと絡み合って発症します。*3)
一部の研究では、産後うつの発症は、出産前の精神的健康や以前にうつ病の経験があるかどうかに関連していることが示唆されています。*4)
そのため、これらのリスク要因を持つ女性は特に注意が必要です。
大切なことは、産後うつは母親になった女性のせいではないということです。
多くの母親が経験するものであり、適切なサポートと治療を受ければ克服することができます。
もし、自分が産後うつの症状を感じている場合、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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*1)O'Hara, M. W., & Swain, A. M. (1996). Rates and risk of postpartum depression—a meta-analysis. International review of psychiatry, 8(1), 37-54.
*2)Kendell, R. E., Chalmers, J. C., & Platz, C. (1987). Epidemiology of puerperal psychoses. The British Journal of Psychiatry, 150(5), 662-673.
*3)Beck, C. T. (2001). Predictors of postpartum depression: an update. Nursing research, 50(5), 275-285.
*4)Robertson, E., Grace, S., Wallington, T., & Stewart, D. E. (2004). Antenatal risk factors for postpartum depression: a synthesis of recent literature. General hospital psychiatry, 26(4), 289-295.
産後うつ病の症状
産後うつ病の症状には、広範な範囲の感情的、認知的、そして身体的変化が含まれます。*5)
①憂鬱
持続的な悲しみや憂鬱は、最も一般的です。 些細なことで涙ぐんだり、感情的になりやすくなったりもします。
②興味や喜びの喪失
以前は好きだった活動や趣味に対して、興味や喜びを感じなくなることがあります。
③疲労
過度の疲労感やエネルギーの不足を経験することが多いです。これは、新生児のケアや夜間の授乳によるものだけでなく、産後うつ病の症状としても表れることがあります。
④無価値感
自分自身に罪悪感をもつことや、無価値だと感じることもあります。
⑤睡眠障害
睡眠の困難や、過度な眠気などの変動が見られることがあります。
⑥体重の変動
食欲の喪失や過食により、急激な体重の減少または増加が生じることがあります。
⑦身体症状
頭痛・胃の不快感・筋肉痛などの、身体的症状を経験することがあります。*6)
⑧集中困難
日常のタスクや決定を行うことも困難に感じることがあります。
⑨自傷や自殺の考え
産後うつが重度の場合、自分や赤ちゃんに対する有害な考えや衝動を持つことが報告されています。
産後うつ病の症状は、人によって異なります。
自分がこれらの症状のいずれかを経験している場合、専門家に相談することが重要です。
そして、産後うつ病は治療が可能であり、適切な介入によって症状は改善されることを忘れないでください。*7)

参考文献
*5)O'Hara, M. W., & McCabe, J. E. (2013). Postpartum depression: current status and future directions. Annual Review of Clinical Psychology, 9, 379-407. *6)Wisner, K. L., Parry, B. L., & Piontek, C. M. (2002). Clinical practice. Postpartum depression. The New England journal of medicine, 347(3), 194-199. *7)Stewart, D. E., Robertson, E., Dennis, C. L., Grace, S. L., & Wallington, T. (2003). Postpartum depression: Literature review of risk factors and interventions. University Health Network Women’s Health Program for Toronto Public Health.
マタニティーブルーとの違い
マタニティーブルーとは、一時的な感情の落ち込みのことです。
母親になった女性の多くが経験すると言われます。出産直後の最初の数日から1週間の間で、通常は数日で自然に消えていきます。
マタニティ―ブルーの症状としては、憂鬱や不安・感情の起伏・涙もろさ・睡眠障害・焦燥感などであり、軽症の産後うつ病と大きな違いはありません。
一方で、産後うつ病はより深刻で持続的な状態です。
産後、数週間から数ヶ月後に症状が出始め、長期間続くことがあります。
症状が2週間以上続く場合、医師の診断と治療が必要とされることが多いです。
産後うつ病とマタニティーブルーという2つの状態は、混同されることがよくあります。主な違いを表1に比較します。
表1 産後うつ病とマタニティーブルーの比較

産後うつ病とマタニティーブルーの違いを理解することは、適切なサポートや治療を求める上で非常に重要です。
辛い状態が続く場合や、判断に迷う場合には、専門家に相談することをお勧めします。
1.産後うつの原因と発症しやすい人の特性

産後うつの原因は単純ではありません。複数の要因が組み合わさって発症します。
何が産後うつの原因?
産後うつ病を理解するためには、それが何であり、何がその原因となるのかを知ることが重要です。産後うつの主な原因をまとめます。
①ホルモンの変動
出産は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの急激な変動をもたらします。これらのホルモンの変動は、女性の気分や感情に影響を与えます。*8)
②睡眠の不足
新生児の世話は、睡眠不足を引き起こします。睡眠不足は、精神的健康に悪影響を及ぼします。*9)
③体の変化
出産後には、痛みを伴うような様々な身体的な変化があります。また、体重の増加や身体の形の変化は、自己評価や自尊心に影響を及ぼす可能性もあります。*10)
④精神的なストレス
新しい母親になることは、多くの精神的ストレスを伴います。
この新しい役割に適応すること、そして家族やパートナーとの関係の変化は、産後うつ病のリスクを増加させる要因となる可能性があります。*11)
⑤経済的・社会的要因
家族の経済的な状況や社会的なサポートの不足は、産後うつ病のリスクを増加させます。
特に、社会的な孤立やサポートの不足は、産後のメンタルヘルスの課題を増加させる要因となります。*12)
結論として、産後うつ病は、複数の要因が組み合わさって発生する複雑な状態です。

出産後のメンタルとうつ病
出産は、多くの女性にとって生涯で最も重要な出来事の一つであり、それと同時に多くの感情やメンタルの変化を伴うことも少なくありません。
出産後、多くの新しい母親は喜び・愛情・期待といった感情を感じる一方で、不安・疲労・怒りなどのネガティブな感情も同時に経験します。
このような感情の波は、ホルモンの変動や生活習慣の大きな変化に起因していると考えられます。*13)
出産後のメンタルの変動やうつ病の症状を感じた場合、専門家に相談することが最も重要です。
早期に対処することで、より良い結果を得ることが可能となります。
カウンセリング、認知行動療法、薬物療法などが有効な治療法として知られています。*14)
産後うつを発症しやすい人の特徴
産後うつ病は、出産後に一部ではありますが少なからずの女性が経験する精神的な障害です。
では、どのような特徴を持つ女性が産後うつを発症しやすいのでしょうか。
まずは、生理的な要因として、ホルモンの変動と睡眠不足があります。
産後の女性は全てといって良いほどに経験するものの、個人差はあります。
また、家族や社会のサポートが十分に得られず、孤立感を感じる場合も産後うつのリスクが高まります。*14)
経済的困難や生活環境の変化も、産後の精神的健康に影響を与える要因として考えられています。*15)
更に、難産や緊急帝王切開を経験したり、新生児に何らかの健康問題があったりすると、母親の精神的ストレスが高まります。*16)
最後に、既往歴として以前に抑うつ症状やうつ病を経験した女性は、産後うつを発症するリスクが高まることが示されています。*17)
これらのリスク要因を持つ女性は、出産前からメンタルヘルスのケアを重視することが大切です。
周囲のサポートを積極的に求めるとともに、出産後のメンタルケアに関する情報を入手しましょう。
そして必要に応じて、早期に専門家に相談して適切なケアを受けることで、産後の心の健康を守ることができます。

参考文献
*8) Harvard Health Publishing, 2019 *9)National Sleep Foundation, 2020 *10)American Psychological Association, 2018 *11)World Health Organization, 2017 *12)The Lancet Psychiatry, 2016 *13)O'Hara & McCabe, 2013 *14)Cooper & Murray, 2014
*15)Collins et al., 1993 *16)Lancaster et al., 2010 *17)Robertson et al., 2004 *18)Pearlstein et al., 2009
2.産後うつの治療方法と対処法を解説

産後うつの回復への鍵は、早期発見・早期治療です。
産後うつの治療法とは?
産後うつ病は、出産後の女性に現れる可能性がある精神的な障害であり、適切な治療が必要とされています。
では、産後うつの主な治療法は何か、その内容と効果について説明します(表2)。
ただし、治療を始める前に医師としっかり相談し、適切な方法を選ぶことが大切です。
表2 産後うつの治療法
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産後うつは、早期に適切な治療を開始することで、症状の改善や回復が期待されます。
そのため、症状を感じた際は早めに専門家に相談しましょう。
産後うつの薬を用いた治療の注意点
薬物療法は効果的な選択肢の一つですが、授乳期の母親と赤ちゃんにとっての安全性や、その他のリスクを考慮する必要があります。
授乳中の母親が抗うつ薬を使用する場合、医師としっかり相談することが重要です。
1. 授乳と薬物の影響
授乳中の母親が薬物を摂取すると、一部は母乳を通じて赤ちゃんに伝わる可能性があります。
抗うつ薬の中には、赤ちゃんに影響を与えるリスクが低いものもあります。
しかし、母乳移行により赤ちゃんにも何かしらの作用が現れる薬もありますので、処方医や薬剤師に確認するなどの注意が必要です。*19)
2. 薬物の選択
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という種類の薬は、産後うつ病の治療で最も一般的に使用される薬物です。
しかし、全てのSSRIが授乳中の母親に適しているわけではありません。
医師との相談のもと、最もリスクの低い薬物を選択することが重要です。*20)
3. 薬物の副作用
抗うつ薬は効果的である一方、副作用を伴う場合もあります。
口腔内乾燥・便秘・眠気・体重変動などの身体的な副作用や、不安感・動悸・不眠などの精神的な副作用が起こる可能性があります。*21)
症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが推奨されます。
4. 薬物治療の開始と中止
薬物治療を開始する際や中止する際には、徐々に量を増減することが勧められる処方薬が多いです。
急な中止や投与量の増減は、離脱症状や再発のリスクを高める可能性があるため、医師の指示に従い、段階的に変化させることが大切です。*22)
一方で、そうではなく一定の量を飲み始め、一度に飲み止めた方が良い薬や状況もあります。主治医に相談して、指示に従って下さい。
5. 薬物療法以外の選択
薬物治療が必ずしも全ての患者に適しているわけではありません。
また、薬物療法のみよりも、カウンセリング・サポートグループ・ライフスタイルの変更など、他の治療法を組み合わせることで、より効果的な治療が期待されます。*23)

産後うつの対処法と専門機関への相談
薬物治療よりも基本的で、まず取り組めることとしては、日常生活のリズムを整える・十分な休息・趣味やリラクゼーションを取り入れるといったことがあります。
それらは、薬物治療を開始した後でも、もちろん重要です。
それでは、産後うつへの対処法と、どのような時にどのように専門家へ相談するかについて、まとめておきます。
1. 産後うつの自己対処法
休息をとる:産後の身体的・精神的な変化は、十分な休息を必要とします。適切な休息をとることが重要です。*24)
サポートを求める:夫や家族、友人とのコミュニケーションは、ストレスを軽減するために有効とされています。*25)
身体活動:軽い運動やウォーキングは、気分を明るくし、うつ症状を緩和する助けとなります。*26)
2. 専門機関への相談
主治医:産後の健康診断時や、それ以外でも気分の変化や不調を感じた場合は、まず主治医に相談することをおすすめします。
心理カウンセリング:話すことによるストレスの緩和や、心理的なサポートを受けるために、カウンセリングも有効です。*27)
専門的治療:産後うつが重篤である場合や、症状が長引く場合は、精神科医や心理学者といった専門家の治療を受けることが考慮されるべきです。*28)
3. サポートグループ
産後うつを経験する母親同士でのサポートグループは、経験を共有し、励まし合うことで精神的な支えとなることが多いです。*29)
4. 薬物療法
ある程度以上の症状があれば、薬物療法も選択肢の一つとして考慮されることがあります。
医師の指示のもと、適切な薬物を用いることで症状の改善が期待されます。*30)
産後うつに対しては、セルフケアも有効ではあります。
しかし、適切なサポートや専門家の助けを求めることを躊躇せず、早めに行動に移す勇気も必要です。
それにより、症状が重症化したり長期化したりすることを防ぎ、母子ともに良い結果をもたらすでしょう。
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参考文献
*19)Weissman et al., 2004 *20)Wisner et al., 2007 *21)Anderson et al., 2008 *22)Cohen et al., 2006*23)Dennis & Allen, 2008
*24)Pearlstein, 2008 *25)Dennis & Ross, 2006*26)Daley et al., 2007 *27)Coates et al., 2017 *28)Sit et al., 2009 *29)Milgrom & Ericksen, 2006 *30)Wisner et al., 2006
3.産後うつの乗り越え方と家族の役割

産後うつは、出産した女性と赤ちゃんだけの問題ではありません。家族全員でサポートすることで、回復への道は開けます。
産後うつを乗り越えるための方法
まずは、母親の感情を認識し、プロフェッショナルなサポートを求めることが大切です。
それは、母親自身のみに求められることではありません。
家族が、新しく母親になった女性の感情を慮り、赤ちゃんの世話に忙しかったりセルフケアに手が回らなかったりする女性に代わって、サポートしてくれる外部に連絡をとることが必要です。
家族ぐるみで取り組むべき、以下のステップや推奨事項を紹介します。
1. 休息を確保する
新しい生活リズムや赤ちゃんのケアは、多くのエネルギーを消費します。
十分な休息を確保することは、身体的・精神的な回復をサポートします。*31)
そのために、家族ができる赤ちゃんの世話は少なくありません。
2. サポートネットワークの活用
母親になった女性にとって、近くの家族や友人とのコミュニケーションは非常に重要です。
彼らのサポートを活用し、必要な時に助けを求めることが有効です。*32)
そのため、家族からも働きかける必要があります。
3. 適度な運動
散歩や軽いストレッチなどの適度な運動は、気分を明るくするのに役立ちます。
特に、外の光を浴びることは、セロトニンの分泌を助け、気分を安定させます。*33)
家族が赤ちゃんを預かったり、母子の散歩に同行したりして手伝うことが必要です。
4. 栄養バランスに気を付ける
偏った食生活や不足している栄養素は、気分の変動を引き起こす可能性があります。
特にオメガ3脂肪酸やビタミンDは、うつの症状を和らげるとされています。*34)
赤ちゃんの世話をしているお母さんは、自分の食事を準備する余裕がないことが多いです。
一方で、代わりに食事を準備することは、家族にもできる大切なことになります。
5. グループセラピー・心理療法・薬物療法の検討
グループセラピーは、産後うつを経験する他の母親たちと共に、感じていることや困難を共有することです。
そうして、相互の支援や理解を深めることができます。*35)
心理療法、特に認知行動療法は、産後うつの治療において効果的であると示されています。*36)
産後うつの症状が重い場合や、他の方法での改善が見られない場合は、薬物療法の検討も必要です。
ただし、授乳中の母親の場合は、医師との相談が不可欠です。*37)
いずれの方法も、多忙な子育てや産後うつにより、判断や行動ができなかったりする母親に代わって、家族がその機会を提案することが良いでしょう。
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家族の対応とママをサポートする方法
産後うつは、家族全体に影響を与えます。
家族としての対応やサポートは、の回復を早める重要な要因となります。*38)
1. 理解と受け入れ
まず、産後うつは一時的なもので、多くの母親が経験するということの理解が大切です。
罪悪感や非難の念を持たず、ママが感じていることを受け入れる姿勢を持つことが求められます。*39)
2. 積極的なコミュニケーション
ママが感じていることや悩んでいることを定期的に尋ねて傾聴し、話をじっくりと聞きます。
言葉にすることで、感じているストレスはある程度まで軽減されます。*40)
3. 生活のサポート
家事や育児のサポートは家族が積極的に提供しましょう。
特に夜間の授乳や赤ちゃんのケアは、ママの疲労を増加させる要因となります。*41)
4. 休息時間の確保
ママは十分な休息時間を取ることが大切です。
家族や友人に赤ちゃんのケアを一時的に頼むことで、ママはリラックスし、質の良い睡眠をとることができます。*42)
家族のサポートは、産後うつのママが回復するための鍵となります。
家族全体の絆も深まることでしょう。大切なことは、母親の感情を否定せずに、理解しサポートすることです。

産後うつと子供の関係
産後うつは新しい母親に影響を及ぼすだけでなく、赤ちゃんやその他の家族にも影響が及ぶびます。
特に、新生児や幼児の発育や心理的な健康に関して、産後うつの影響については多くの研究が行われています。*43)
子供自体が産後うつの原因ではないことを理解し、母親と子供の絆を深めるサポートが重要です。
1. 母子のアタッチメント
産後うつの症状を持つ母親は、赤ちゃんとの絆を形成することに困難を感じることがあります。
このような母親は、赤ちゃんの要求に対して適切に反応することが難しく、これが後のアタッチメントの問題につながる可能性があります。*44)
2. 赤ちゃんの発育への影響
産後うつの症状が重い母親の子供は、言語や運動の発達が遅れる可能性があるとの研究結果も報告されています。*45)
3. 子供の情緒的な問題
長期にわたって産後うつの症状が続く母親の子供は、将来的に情緒的な問題や行動の問題を示すことが多いとの研究が指摘されています。*46)
4. 母親の症状の影響
産後うつにより母親が感情的に不安定であると、子供は母親の感情の変動に敏感に反応することが知られています。
そして、子供が自身の感情を安定させる適切な方法を学ぶことが、難しくなる要因となります。*47)
産後うつと子供の関係を理解することは、子供の発育や心理的な健康をサポートするために重要です。
早期の介入と治療は、母親と子供と双方の健康や幸福に寄与します。

参考文献
*31)O'Hara & McCabe, 2013 *32)Dennis & Ross, 2006 *33)Armstrong & Edwards, 2003 *34)Rechenberg & Humphries, 2013 *35)Milgrom & Ericksen, 2006 *36)Sockol et al., 2011 *37)Goodman, 2004 *38)Beck, 2001 *39)Leahy-Warren et al., 2012 *40)Dennis & Ross, 2006 *41)Goyal et al., 2007 *42)Field, 1992 *43)Grace et al., 2003 *44)Hay et al., 2008 *45)Stein et al., 2001 *46)Cox et al., 1987 *47)Stuart et al., 2003
4.産後うつのチェックと予防法

予防と早期発見が、産後うつとの正しい戦い方です。
産後うつの症状をチェックする方法
日常の変化や心の動きを日記に書くことで、自分の状態を把握することができます。
1. 症状の自己チェック
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2. 質問紙を利用
「エディンバラ産後うつ尺度(EPDS)」は、産後うつのスクリーニングツールとして広く使用されています。*48)
この質問紙は、自分の感情や状態を評価するのに役立ちます。
10個の質問から構成されており、その得点によって産後うつのリスクを評価することができます。
3. 専門家とのカウンセリング
もし上記の症状がある場合、精神科医やカウンセラー、出産で関わった産科医や助産師などとの面談を受けることお勧めします。
それらの専門家は、症状の深刻度を評価し、必要に応じて治療を提案することができます。*49)
産後うつを予防する生活習慣
産後の期間は、母親の心身ともに多くの変化が起こる時期です。
この変化の中で、産後うつという心の疾患が発症するリスクが増えますが、適切な生活習慣を取り入れることで、このリスクを低減することが可能です。*50)
1. 適度な運動
適度な運動は、身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスの向上にも効果的です。
散歩やストレッチなど、過度な負担をかけずに行える運動を日常に取り入れると、ストレスの軽減や気分の向上が期待できます。*51)
2. 栄養バランスの良い食事
鉄分やビタミンD、オメガ3脂肪酸などの栄養素は、メンタルヘルスの維持に重要です。
バランスの取れた食事を意識して、これらの栄養素を摂取することで、産後うつのリスクを低減することができるとされています。*52)
3. 十分な休息
新生児のお世話は、睡眠の中断を伴うことが多いです。
睡眠不足は、産後うつのリスクを高めます。可能な限りの休息をとること、家族や友人にサポートを求めることで、メンタルヘルスの維持につながります。*53)
4. ストレスのマネジメント
リラックスするための方法を見つけ、日常生活に取り入れることは、ストレスの軽減に有効です。
瞑想や深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション技法が、産後の心の健康をサポートします。*54)
5. ソーシャルサポートの確保
産後の孤立感は、うつ症状を引き起こす大きな要因となります。
親しい人とのコミュニケーションを保ち、感じている不安や悩みを共有することで、メンタルヘルスの維持に役立ちます。*55)
産後の時期は、身体的にも生活にも、そして心理的にも多くの変化や課題があります。
上記の生活習慣を取り入れることで、産後うつのリスクを低減し、心の健康を維持することに努めましょう。
日常生活の中での小さな工夫や変化が、大きな違いを生むことを忘れずに、自分の心と体を大切にしてください。

産後うつの事例と注意点
実際の事例を通じて、産後うつの実態とそれに関連する注意点について理解しましょう。
事例1
Aさんは、第一子を出産後、よく泣く赤ちゃんのお世話に追われ、夜も十分に眠れない日々が続きました。
ある日、突然、赤ちゃんに対する愛情を感じなくなり、自分自身が無価値であると感じるようになりました。
事例2
Bさんは、出産後、家族や友人からのサポートを受けていましたが、自分自身が完璧な母親でなければならないというプレッシャーを感じていました。
その結果、自分の感情を抑え込むようになり、うつ症状が表れました。
注意点
これらの事例を見ると、産後うつの原因や背景は様々であることがわかります。*56)
いずれにしても、症状が軽いうちに医師や専門家に相談することで、早期に適切な治療やサポートを受けることができます。*57)
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参考文献
*48) Cox et al., 1987 *49)Stuart et al., 2003 *50)Dennis & Dowswell, 2013 *51)Daley et al., 2007 *52)Leung & Kaplan, 2009
*53)Dørheim et al., 2009*54)Uguz et al., 2007 *55)Dennis et al., 2009 *56)O'Hara & Swain, 1996 *57)Stewart et al., 2003
5.産後うつに関するまとめ

この記事では、産後うつの基本的な情報から、予防、治療、家族のサポートについて説明しました。
産後うつの症状を早期に認識し、適切なサポートを受けることで、母親自身の回復だけでなく、赤ちゃんや家族との関係もより良好になります。
自身の心の変化をチェックし、必要であれば専門家の意見やアドバイスを求めることは、産後のメンタルヘルスケアの一環として非常に重要です。
産後うつは一時的な状態であり、適切なサポートと治療を受ければ、多くの人が回復します。
何よりも、自分自身の健康と気持ちを大切にし、必要なサポートを受けることが、回復への鍵となります。
産後うつは、個人の選択や努力とは関係なく発症するため、自己責任感を持たずに専門家のアドバイスを求めることが大切です。
*58)
産後うつは、家族やパートナーの理解とサポートが大きな助けとなります。症状や感じていることを正直に話すことで、適切なサポートを受けることができます。*59)
産後のホルモンの変動や疲労により、一時的な気分の低下を経験することがありますが、それが長期間続く場合は産後うつの可能性が考えられます。*60)
産後うつは一人で抱え込むものではありません。家族や専門家のサポートを受けながら、一歩一歩回復の道を歩んでください。
自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、症状チェッカーで確認してみましょう。
参考文献
*58) Milgrom et al., 2008 *59)Dennis & Ross, 2006 *60)Wisner et al., 2002
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