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境界性パーソナリティ障害の原因や治し方について解説
- はじめに
- 境界性パーソナリティ障害の主な症状
- 境界性パーソナリティ障害の人間関係
- 境界性パーソナリティ障害の原因
- 境界性パーソナリティ障害の治療法
- 境界性パーソナリティ障害を持ちながら、人とうまく接していくために自分でできること
- 境界性パーソナリティ障害に関するまとめ
はじめに
境界性パーソナリティ障害とは
社会の中で、誰もが様々な性格をもっていますが、その中には極端に偏った性格を持ち、社会生活を送る上で自分だけでなく他人も苦しませてしまうようになる人がいます。
そのような人のことを「人格障害」と呼びます。
人格障害の中でも、気分の波が激しく感情が極めて不安定で、良い・悪いなどを両極端に判定したり、情緒不安定で強いイライラ感が抑えきれなくなったりする症状をもつ人は「境界性人格障害」に分類され、近年では「境界性パーソナリティ障害」とも呼ばれるようになりました。
非常に不安定で衝動的な行動を伴う人間関係を築くことが主な症状とされています。
「境界性」という言葉は、「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状を示すことに由来していると言われています。
例えば、「強いイライラ感」は神経症的な症状で、「現実が冷静に認識できない」という症状は統合失調症的ものです。
境界性パーソナリティ障害は100人のうち約2人に見られ、若い女性に多いといわれています。
境界性パーソナリティ障害の主な症状

情緒不安定
社会や他人の複雑さをうまく理解できていないので、常に不安で情緒不安定です。
1日の中でアップダウンが激しいことが多いです。
喧嘩をしてとても怒っている時は、怒りしか頭の中にないのですが、1人になった瞬間にそれがガラッと変わって「自分はダメなんだ」「恥ずかしいんだ」と泣いていたりします。
気分や感情がめまぐるしく変わるため、周囲の人々がついてこられないことが多くあります。
憂鬱感
いつも空虚な気持ちを抱き、幸せを感じにくいことがあります。
生きることに対して辛さや違和感を持ち、自分が何者であるかわからないような感覚を抱くこともあります。
衝動的な行動
買い物をしすぎたり、過食をしたり、不特定多数との性行為をしてしまうといったことがあります。
衝動性に身を任せている間は、複雑さや混乱から救われ、落ち着きます。
そのため、その瞬間はそれに没頭してしまうのです。
薬物やアルコールにも依存しやすくなります。
自傷行為
自傷行為も一度覚えるとやってしまいまいがちな行動です。
これも衝動性から来るとも言えますが、自傷行為をしている瞬間は少し頭の混乱が減るのです。
スッと冷静になれます。痛みや血を見ることで冷静になれるのです。
一度そうした体験をすると、どんどん癖になってしまい、「これをすれば楽になる」と思ってどんどんやってしまいます。
またあるときは、傷を見て心配してくれる人がいます。
心配してくれる人がいると今度はそれを間違った学習をしてしまい、「これをすれば人に心配してもらえるのだ」と思いそれを見せびらかしたりしてしまいます。
そうすることで人から見捨てられなくなると思うのです。
「人から見捨てられないために自傷をしなければいけない、傷ついているところを見せなければいけない」という思いに囚われてやってしまいます。
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自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、症状チェッカーで確認してみましょう。
境界性パーソナリティ障害の人間関係

境界性パーソナリティ障害の方々はどのような対人関係を持つことが多いのでしょうか。大きく分けて二つに分かれます。
理想化とこき下ろし
ある人に対して、一つ良いところを見つけた途端、その人の人物像が理想化され、理想的な人間とみなすようになります。
「この人は欠点が何もない人で、この人についていけば私は救われるんだ」と思ってしまうのです。
例えば恋人だったら、「今までの彼氏は最悪だった。あなたみたいな人はいなかった!」と過度に相手を好きになり甘えたりしてしまいます。
しかしその状態は長く続きません。少し嫌なことがあると、評価が180度変わります。
そしてその相手を罵倒したり、悪口を言います。
それによって、この人はすごく悪い人なのだと自分でも思いたいし、相手を怒らせるまで言います。
そうして怒らせることで、この人は最低なのだという自分の思いを確信に変えたくなってしまいます。これこそが「こき下ろし」です。
境界性パーソナリティ障害の方々はこのように相手を理想化したと思ったら次はこき下ろす、といったアメとムチをどんどん使い分けていきます。
そうしてパートナーは振り回されてしまい、アメとムチをうまく使われた結果、ある種の洗脳状態のようになり、共依存のように相手のことしか考えられないようになってしまいます。
見捨てられ不安
「他人に嫌われたくない」という恐怖に支配されている状態です。
他人から見捨てられることに非常に敏感なため、そうなりそうな状況をなりふりかまわず避けようとします。
相手の感情に敏感で、相手と離れることに強い不安や恐怖、怒りを覚えます。
理想化してこき下ろしている割には、こき下ろしている相手にも見捨てられたくないと言う思いが強くあります。
アメとムチを使われた相手が「もう僕のこと嫌いなんだ、バイバイ」と言うと、「見捨てないで!」となりふり構わぬ努力をします。
これは、一人でいること、孤独になることへの耐え難さに起因しているとも言えます。
境界性パーソナリティ障害の原因
ではどうしてそのようなことが起こるのかというと、境界性パーソナリティ障害の方々は基本的に人間理解が比較的不十分なことが多いです。
人間には良いところもあれば悪いところもある、社会には良いところもあれば悪いところもある、あるときは味方だけど時に応じて敵になったり、利害関係が一致しているから協力し合うこともある、など複雑です。
ですがそうした複雑さを理解するのに困難をきたします。
その複雑さを理解する部分がすっぽり抜けてしまっているというのが、境界性パーソナリティ障害の方々の人間理解であり世界観です。
子供が大人の中に混ざっているような感じで、社会の複雑さや多重性がうまく理解できていない状態なのです。
そのようになってしまう背景としては以下のものが挙げられます。
境界性パーソナリティ障害の要因
・遺伝的要因:
遺伝的な傾向が境界性パーソナリティ障害の発症に関与することがあります。
家族内で境界性パーソナリティ障害の性格傾向をもって生まれてくる人が複数見られることがあり、遺伝的な要因が影響していると考えられています。
・環境的要因:
環境的な要因も原因として重要です。
過去に虐待、乱れた家庭環境、無規則な養育状況、トラウマ体験などがBPDのリスクを高める可能性があります。
基本的に幼少期の親との接し方は、人格形成に非常に密接に関わっています。
そうした時期に、十分な愛情を受けられずに育ったり、適切でない関わり方をしていた結果、境界性パーソナリティ障害になりやすい性格になってしまうと言うケースも少なくありません。
・過去のトラウマ:
過去に経験したトラウマやフラッシュバックによって起こってしまったり、自分自身の理想から遠く離れた現実に直面したことによる悲壮感などが原因により発症する可能性もあります。
基本的には詳しいメカニズムははっきりとわかっていませんが、上記のような様々な要因が合わさった結果発症することが多いです。

境界性パーソナリティ障害の治療法

弁証法的行動療法
弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT)は、マーシャ・M・リネハン博士により開発された、境界性パーソナリティ障害の診断基準をみたす自殺行為常習者のための包括的な治療法であり、最もエビデンスのある認知行動療法と言われています。
DBTは一般的に、個人精神療法とグループ・スキルトレーニング、電話によるスキルコーチング、セラピストのコンサルティングの4つから構成されています。
グループ・スキルトレーニングでは、マインドフルネス、情動調節スキル、効果的な対人関係スキル、苦悩耐性スキルが、6ケ月のプログラムの中で実施されます。
DBTにおいて、マインドフルネスは中核的スキルとして位置づけられています。
マインドフルネスのトレーニングでは、情動調節不能で著しく衝動的な行動パターンを軽減し、ストレスな場面でも情動をコントロールでき、社会に適応した行動がとれるようになることを目指していきます。
メンタライゼーション
メンタライゼーション(Mentalization)は、「自分自身や他者の行動の背後にある心理状態・精神状態を理解する」ことで、境界性パーソナリティ障害の治療として専用的に考案されました。
自己効力感を高めた結果、情動や対人関係が安定することによって、行動制御力の向上、行動による影響を調整する能力、より親密な人間関係、人生の目的に邁進する能力を達成することを主たる目標としています。
最近では、様々な疾患の治療に用いられるほか、自己理解を深めたり他者に共感することによって、コミュニケーション能力や自己効力感の向上が期待できるため、教育現場などにも活躍の場を広げています。
薬物療法
上記のような認知行動療法に加え、「気分の落ち込み・強い不安感・怒りの感情・冷静でいられない」といった症状に対しては、抗うつ剤や抗不安薬などの薬を用いて治療します。
治療において重要なことは、患者さんが感じていることや気持ちを言語化するように手伝うことです。
相手はどう思っていたのか、社会はどのようになっているのか、これらをきちんと言語化するのを手伝うことが必要となってきます。
こういったことをすることによって、大人の社会のルールをきちんと覚えてもらいます。覚えてもらうことで、衝動性を落ち着かせ、不安を小さくしていくのです。

境界性パーソナリティ障害を持ちながら、人とうまく接していくために自分でできること
人とうまく接していくためのポイント
この記事などを読んで、自分が境界性パーソナリティ障害を持っているかもしれないと気づいた時に、今後人とうまく接していくために自分でできることを紹介していきます。
まず大事なのは、「別の人格になろうとしない」ことです。
根本的に性格を変えていく必要があるのではないか、と思いがちなのですが、それはよくある落とし穴なのです。大事なのは、うまく自分の中でブレーキをかけてあげることです。
境界性パーソナリティ障害の方は、情に熱かったり、感情が豊かであることが多いです。
そのため、相手の人格を過度に理想化してしまうことがあります。
その結果、理想と現実の違いに落胆し、疲れて気分も沈むことになってしまいます。
そのため、まず相手に対する理想化にブレーキをかけてあげましょう。
そうすることで、嫌な気持ちになる場面も減ってきます。
次に、「上手に」支えてもらうことが重要です。
人間は誰しも支えてもらう相手は必要なものです。
しかし、そうした相手に過度に寄りかかると、相手が音を上げてしまうのです。
そのため、手を差し伸べてくれる相手におんぶに抱っこ状態になるのではなく、上手な距離感で頼ることが大事です。
実際に発作が出て、心の中でモヤモヤが嵐のようになってしまった状態においての対処法を紹介します。
まず、30分ほど他人に当たらずじっと我慢することが大事です。
音楽を聞いていてもいいし、散歩しても、好きなことをしてください。
そうなると、自分の中で高まった感情は落ち着いてくるはずです。
次に、「現実世界で何も起こらないこと」を確認しましょう。
発作が出ている時は感情の整理がつかず、不安で不安で仕方なくなります。
しかし、いざ周りを見てみると、なんら日常に変わりありません。
このことに気がついていると、心のモヤモヤの発作がいざきた時に、何も起こらないということを実体験として感じ、徐々に不安が減ってきます。
さらに、気持ちや行動を書き出したり、話したりして、外に曝け出すことは非常に効果的です。
ある感情が起こった時のきっかけやその時の感情、自分がとった行動を書き出します。
これはなんのためにするかというと、自分を突き動かしているものが何かを可視化するためです。
そして自分の行動原理を客観視します。そうすることで、今の自分に向き合うことが可能となるのです。
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境界性パーソナリティ障害に関するまとめ

ここまでに記事で特に重要なポイントをまとめていきます。
- 境界性パーソナリティ障害は、気分の波が激しく感情が極めて不安定で、良い・悪いなどを両極端に判定したり、情緒不安定で強いイライラ感が抑えきれなくなったりする症状をもつ
- 主な症状として、情緒不安定や憂鬱感、衝動性やそれに伴う自傷行為などがある
- 人間関係の一番の特徴は「理想化とこき下ろし」と「見捨てられ不安」。相手を過度に理想化する性質から、期待が裏切られたと思った途端嘘のように嫌な態度をとってしまう。それにもかかわらず、過度に相手に嫌われることを拒絶する。
- 人間関係をうまく整えるには、人格を変えようとするのではなく、徐々に自分の期待にブレーキをかけてあげて、同時に上手な頼り方をすることが大事。
一般的に治療は数ヶ月で終わらず、1年、2年と続くこともあるので、短期決戦にはせず、焦らず治療を進めていくことが重要です。
[1]野崎泰伸 ; 境界性パーソナリティ障害の障害学
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