ADHDが眠れないのはなぜ?3つの原因と今夜からできる対策・治療法を解説

監修者紹介
反町佳穂子
都立病院精神科、精神科病院、心療内科クリニック、企業産業医、大学校医などで精神科医師として従事
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反町佳穂子
都立病院精神科、精神科病院、心療内科クリニック、企業産業医、大学校医などで精神科医師として従事
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ADHDの特性がある方で、「ベッドに入っても考えごとが止まらず眠れない」「つい夜更かししてしまい、朝起きられない」といった睡眠の悩みを抱えているケースは少なくありません。

質の高い睡眠は、心身の健康維持はもちろん、ADHDの特性とうまく付き合っていくうえでも非常に重要です。しかし、ADHDの特性そのものが睡眠を妨げる要因になることもあります。

この記事では、ADHDの方が眠れない理由や睡眠不足が症状に与える影響・今夜からできる対策や専門的な治療法について、くわしく解説します。


眠れていないときに試したいセルフチェックリスト

眠れていないときに試したいセルフチェックリスト

ADHDの有無にかかわらず、質のよい睡眠は大切です。ご自身の睡眠習慣が乱れていないか、以下のセルフチェックリストで確認してみましょう。


□ 平日・休日ともに起床時間・就寝時間は一定である
□ 寝る前にスマートフォンやパソコンを見ていない
□ 午後3時以降は、コーヒー・紅茶・エナジードリンクなど、カフェインを多く含む飲みものを摂っていない
□ 寝るためにお酒を飲んでいない
□ 寝室は静かで暗く、快適な温度・湿度である
□ 眠くなってから布団に入っている

できていない項目が1つでもあった場合、睡眠の質が下がっている可能性があります。これらの項目を見直しても改善が難しい場合や、ADHDの特性が強く関係していると感じる場合は、医師に相談してみましょう。

また、ご自身の眠れない状態が不眠症にあたるか気になる方は、エニキュアの診断症状チェッカーもご活用ください。

不眠症 診断症状チェッカー


ADHDが眠れない3つの原因

ADHDが眠れない3つの原因

ADHDの方が睡眠に関して問題を抱えやすい背景には、ADHDの特性が関係していると考えられています。主な理由は以下の3つです。


体内時計がズレやすいから

ADHDの方は、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が遅れる傾向があるとされています。メラトニンは、夜暗くなると分泌が増え、私たちを眠りへと誘導する役割を担っています。

メラトニンの分泌のタイミングが遅れると、自然な眠気を感じる時間も遅くなりがちです。その結果、ADHDの方は体内時計のリズムが崩れやすく、夜更かしになったり、寝つきが悪くなったりするリスクが高いといえます。


脳のスイッチが切れないから

ADHDの特性の1つに、頭のなかで思考やアイデアが次々に浮かぶ、脳内多動と呼ばれる状態があります。夜になっても脳のスイッチが切れず、布団のなかで今日のミスを思い出したり、明日のタスクについて考えが止まらなくなったりすることも珍しくありません。

脳が興奮・覚醒した状態のままでは、心身ともにリラックスできず、スムーズな入眠が妨げられてしまいます。


感覚過敏の傾向があるから

ADHDを含む発達障害の方は、聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚が過敏な傾向にあります。そのため、以下のようなささいな刺激が大きなストレスとなり、睡眠を妨げることも少なくありません。

・時計の秒針の音
・カーテンのすきまから漏れる光
・電化製品の待機ランプ
・布団やパジャマの肌触り
・シーツのシワ
・特定のにおい

これらの刺激が気になってしまい、夜眠れなかったり、夜中に目が覚めてしまったりするのです。


ADHDが眠れないのはなぜ?




睡眠不足がADHDの症状を悪化させることもある

睡眠不足がADHDの症状を悪化させることもある

ADHDの方が睡眠不足になると、脳の前頭前野の働きが低下し、不注意・多動性・衝動性がさらに悪化することがあります。前頭前野は、ものごとを順序立てて実行したり、感情に流されずに自分を律したりする機能を司る部分です。この機能が低下すると、以下のような問題が起こりやすくなります。

・日中のうっかりミスや物忘れが増える
・仕事や勉強への集中力が続かなくなる
・判断力が低下し、衝動買いや衝動的な発言が増える
・感情のブレーキが効きにくくなり、イライラしやすくなる

睡眠不足はADHDの症状を悪化させ、ADHDの症状がさらに睡眠を妨げるという悪循環を生み出す場合もあります。この悪循環を断ち切るためにも、睡眠の問題を改善していきましょう。


今夜からできる!ADHDの睡眠を改善する方法

今夜からできる!ADHDの睡眠を改善する方法

ADHDの特性を踏まえ、睡眠の質を改善するために今日から試せる方法をご紹介します。「これならできそう」と思える方法があれば、夜寝る前に取り入れてみてください。



1.考えが止まらない状態を終わらせる

布団のなかで考えごとが止まらないときは、ジャーナリングやマインドフルネスを試してみましょう。ジャーナリングとは、ベッドに入る約1時間前に、頭のなかにある心配ごと・不安・明日やるべきタスクなどをすべて紙に書き出す方法です。不安や考えを文字として外に出し、脳内多動を防ぐ効果が期待できます。

マインドフルネスとは、 瞑想して呼吸に集中し、今に意識を向ける方法です。就寝前に取り入れると、より深い眠りを助けることが知られています。近年はマインドフルネス用のアプリも多くあるため、活用してみましょう。


2. 入眠前のルーティンを取り入れる

身体と脳に「今から寝る時間だ」と合図を送るため、毎日同じ行動を繰り返すことが大切です。これらの行動をスリープルーティンと呼ぶ場合もあります。

たとえば、就寝時刻の1時間〜2時間前からはスマートフォン・パソコン・タブレットの使用を控えましょう。これらの電子機器から発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、脳を覚醒させてしまいます。

また、以下のようなリラックスできる行動をルーティンに組み込んでみましょう。

・ぬるめのお風呂にゆったり浸かる
・軽いストレッチやヨガで体の緊張をほぐす
・カフェインの入っていないハーブティーを飲む
・アロマの香りを楽しむ
・静かな音楽を聴く
・興奮しない内容の読書をする


3.寝室の環境を整える

感覚過敏の傾向がある方は、寝室の環境を見直すことが重要です。外部の騒音や時計の音が気になる場合、耳栓を使いましょう。ホワイトノイズを流すアプリを使い、気になる音を遮断する方法も効果的です。

また、寝室はできるだけ暗くすることが、睡眠の質を高める鍵です。遮光カーテンを導入し、外からの光が入らないように工夫しましょう。電化製品の待機ランプも、テープを貼って光を遮ることをおすすめします。

加えて、パジャマ・シーツ・布団カバーなどは、ご自身が心地よいと感じる肌触りの素材を選びましょう。


4.体内時計をリセットする

夜のメラトニン分泌を促し、体内時計のズレを修正するためには、朝の行動が重要です。起きたらすぐにカーテンを開け、太陽の光を15分程度浴びましょう。光の刺激がメラトニンの分泌を止め、体内時計をリセットし、約14時間〜16時間後に再びメラトニンが分泌されるよう促します。

朝食を摂ることも、体温を上昇させ、日中の活動モードのスイッチを入れるのに役立ちます。とくに卵・納豆・味噌汁・ヨーグルト・魚などのタンパク質は、メラトニンの材料になるため、意識して摂取しましょう。


ADHDの睡眠を改善する方法




睡眠がどうしても改善しないときは精神科に相談しよう

睡眠がどうしても改善しないときは精神科に相談しよう

ADHDの不眠には、専門的な治療が必要なケースもあります。セルフケアを試しても、寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める・朝起きるのがつらいといった状態が続く場合は、無理をせず精神科に相談してください。ここからは、精神科でできる主な治療法を解説します。


お薬での治療

不眠の状態や原因に応じて、薬を使った治療法がおこなわれることもあります。睡眠薬導入剤は、ADHDが原因の不眠や不安・抑うつによって眠れない状態が強く・日常生活への支障がある場合に処方される場合があります。

また、体内時計のズレを修正するために、メラトニンの受容体に作用する薬が処方されることもあります。自然な眠気を促すことで、睡眠リズムを整える効果が期待できます。


ADHD治療薬の調整

すでにADHDの治療薬を服用している場合、その薬が睡眠に影響している可能性もゼロではありません。とくにコンサータやビバンセなどは、効果が持続する時間が長いため、午後に服用すると夜眠りにくくなることがあります。

自己判断で薬を中断・減量すると、疲労感・抑うつ気分・過眠・食欲増加などの離脱症状が現れるリスクがあります。必ず主治医に睡眠の状況を伝え、服薬のタイミングや種類の変更が可能か相談しましょう。


認知行動療法

認知行動療法の1つであるCBT-Iは、不眠に対する専門的な精神療法です。睡眠に関する誤った思い込みや、知らず知らずのうちに不眠を悪化させている生活習慣を見直し、正しい睡眠習慣を身につけていきます。


ADHDの不眠に対する治療法




通院のハードルが高い場合は精神科オンライン診療・エニキュアにご相談を

通院のハードルが高い場合は精神科オンライン診療・エニキュアにご相談を

ADHDの特性により、「定期的に病院に通うこと自体が難しい」と感じている方もいるかもしれません。このような悩みをお持ちの方には、精神科オンライン診療のエニキュアがおすすめです。

エニキュアなら、ご自宅や自室など、あなたが安心できる場所からビデオ通話で診察を受けられます。通院のための準備や移動の手間は一切かかりません。診察は朝8時から夜24時までおこなっているため、平日の夜間や仕事の合間・家事が終わったあとなど、あなたのライフスタイルに合わせて治療を続けやすい体制が整っています。

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ADHDと睡眠に関するよくある質問

ADHDと睡眠に関するよくある質問

最後に、ADHDと睡眠に関してよくある質問にお答えします。ADHDの特性や睡眠についてお悩みの方の参考になれば幸いです。


Q1. 日中の眠気はADHDの特性ですか? ナルコレプシーと違いますか?

A1. ADHDの方が日中に感じる眠気とナルコレプシーの眠気は性質が異なります。ADHDの場合、興味のない会議や退屈な作業中など、受動的で刺激が少ない状況になると強い眠気に襲われることがあります。

一方で、ナルコレプシーは状況や場所にかかわらず、制御できないほどの強い眠気に突然襲われ、その眠りは意志の力では抵抗できないことがほとんどです。


Q2. ADHDの薬を飲むと余計に眠れなくなりますか?

A2. コンサータやビバンセなどの中枢神経刺激薬は、効果が持続する時間が長いため、午後に服用したり、夕方以降に効果が残ったりすると、夜の睡眠に影響が出ることもあります。睡眠への影響が気になる場合は、自己判断で中断せず、必ず主治医に相談してください。


Q3.大人のADHDの場合、不眠に対してどんな治療法がありますか?

A3. ADHDの特性が原因で生活リズムが乱れたり、日中のストレスや不安が溜まって眠れなくなったりしている場合は、睡眠導入剤や体内時計を整えるメラトニン製剤などが処方されることがあります。さらに、ADHD治療薬を調整したり、認知行動療法による特性への対処法を学んだりする場合もあるでしょう。

また、ADHDはうつ病や不安障害などを併発しやすく、不眠の原因となっているケースも少なくありません。その場合は、併発している疾患の治療も並行しておこないます。これらの治療と同時に、医師と生活習慣や睡眠環境の見直しをおこなうのが一般的です。


まとめ:睡眠を改善して、ADHDの悩みを軽くしよう

まとめ:睡眠を改善して、ADHDの悩みを軽くしよう

ADHDの方が眠れない背景には、体内時計のズレ・脳のスイッチが切れない・感覚過敏といった特性が深く関係しています。まずはこの記事で紹介した、考えごとを終わらせる工夫・入眠ルーティン・睡眠環境の整備・体内時計のリセットといったセルフケアを試してみてください。

しかし、ADHDの特性上、セルフケアを継続したり、定期的に通院したりすること自体が難しい場合もあるかもしれません。そんなときは、精神科オンライン診療のエニキュアを受診してみましょう。

エニキュアなら、自宅からビデオ通話で医師に相談でき、予約もオンラインで完結します。朝8時から夜24時まで診察をおこなっているため、日中の予定を調整しにくい方でも受診しやすい体制が整っています。

睡眠の改善は、日中のパフォーマンスを上げ、ADHDの悩みを軽くすることにもつながるでしょう。1人で抱え込まず、まずはエニキュアを受診してみませんか?

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