境界性パーソナリティ障害(BPD)とは?症状や治療法、生活での注意点について解説

監修者紹介
反町佳穂子
都立病院精神科、精神科病院、心療内科クリニック、企業産業医、大学校医などで精神科医師として従事
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反町佳穂子
都立病院精神科、精神科病院、心療内科クリニック、企業産業医、大学校医などで精神科医師として従事
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「人間関係がうまくいかない」「不安や孤独感がつらい」そんな悩みをかかえていませんか?もしかすると、それはパーソナリティ障害かもしれません。

この記事では、パーソナリティ障害の中の境界性パーソナリティ障害の主な症状や原因、治療法、日常生活での工夫、家族や周囲の人の関わり方まで、わかりやすく解説します。

自分や大切な人の心の揺らぎに「大丈夫かな?」と不安に感じているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。


境界性パーソナリティ障害とは

境界性パーソナリティ障害とは

境界性パーソナリティ障害とは、感情の波が激しかったり、人との関係が不安定になりやすかったりなどの特徴があります。根底にある見捨てられることへの強い不安から、や衝動的な行動や情動不安定が続き、日常生活や仕事に影響を及ぼすことも少なくありません。ここではどんな特徴があるのかをわかりやすく解説します。


境界性パーソナリティ障害の症状・特徴

境界性パーソナリティ障害には、次のような特徴が見られます。


・感情の波が激しい
 ちょっとした出来事で怒ったり、急に落ち込んだりする

ほんの少しの出来事でも、気持ちが大きく揺れ動いてしまうことがあります。たとえば、相手からの返信が遅れただけで嫌われたと感じて激しく落ち込んだり、急に怒りがこみ上げたりしてしまうこともあります。自分でも気持ちのコントロールできないことで疲弊してしまい、つらい思いを抱えてしまうこともあります。

・対人関係が不安定
 理想の人だと思っても、翌日には嫌悪感を抱いてしまう

人間関係では、親しくなりすぎたり、突然突き放してしまったりと両極端な行動が出やすいのも特徴です。最初はこの人しかいないと思うほど強く頼っていたのに、少しでも期待が外れると裏切られたと感じてしまうことがあります。

悪気がないのに、強く責めてしまいあとから自己嫌悪に陥ることも。信頼関係を築くことが難しくなり、自分も相手も苦しんでしまうことがあります。

・自分に自信がない
 自分には価値がないと感じて落ち込むことが多い

自己評価が低く「どうせ自分なんて」と考えてしまう傾向があります。小さな失敗や他人からの指摘を必要以上に重く受け止め、自分はダメな人間だと思い込んでしまいがちです。

自分のよさや成果を認められず、長い間劣等感にとらわれる状態が続くことも少なくありません。

・見捨てられることに不安を感じる
 見放されたと感じ、不安から衝動的な言動に出てしまう

相手の態度が少し冷たく感じられたり、連絡がおくれたりすると「嫌われたのでは?」「自分は必要とされていないのでは?」と強い不安を抱くことがあります。その不安を和らげようとして、感情的になってしまい、必要以上に相手に連絡をしてしまいがちです。

また、相手を試すような行動をとってしまい、相手には負担を感じさせてしまうため、関係悪化につながることもあります。

・衝動的な行動をとることがある
 過食や浪費などに走ってしまうことがある

強いストレスや不安を感じたときに、気持ちを紛らわせようとして必要以上に食べてしまう過食や、予定していない高額な買い物など、衝動的に行動してしまうことがあります。衝動的な行動中は気持ちが落ち着くものの、あとから後悔や自己嫌悪に陥ることも少なくありません。

気持ちが大きく揺れ動くため、日常生活や対人関係に支障をきたすことがありますが、適切なサポートや理解を得ることで、少しずつ落ち着いた毎日を目指せる可能性があります。


境界性パーソナリティ障害の症状・特徴



境界性パーソナリティ障害と双極性障害・うつ病などの違い

境界性パーソナリティ障害は双極性障害やうつ病と区別がつきにくいことがあります。ここではそれぞれの違いを説明します。

双極性障害との違い

双極性障害は躁状態とうつ状態を周期的に繰り返すのが特徴で、気分の波にはある程度のリズムがあります。一方、境界性パーソナリティ障害は感情の変化が短い期間で起こり、LINEの既読スルーなどちょっとした出来事で強い不安や怒りを感じることがあります。

うつ病との違い

うつ病は、気分がずっと沈んだままで、何をしても楽しいと感じられない状態が続くのが特徴です。一方、境界性パーソナリティ障害は、感情の波がとても大きく、少し前まで笑っていたのに、ちょっとした出来事や人との関わりで突然落ち込んでしまうこともあります。

境界性パーソナリティ障害では、対人関係や自己イメージの不安定さが大きな特徴ですが、こうした傾向は双極性障害とうつ病にはあまり見られません。

境界性パーソナリティ障害には、感情・対人関係・自己イメージに関するさまざまな症状が見られます。

ここでは代表的な3つの症状について詳しく解説します。

・感情の波が大きく気持ちが安定しない
・人との関係でぶつかりやすい
・自己肯定感や自分への評価が変動しやすい


自分に対する見方が日によって大きく変わることがあります。あるときは私なら大丈夫と思えていたのに、別のときにはなんで生きてるんだろうと強く落ち込んでしまうのです。人の何気ない一言や、SNSでの反応などで気持ちが沈んでしまい自己否定が強まる傾向があります。


境界性パーソナリティ障害を発症するリスクや原因

境界性パーソナリティ障害を発症するリスクや原因

境界性パーソナリティ障害の発症の主な2つの視点から原因を解説します。


遺伝的・生物学的要因

境界性パーソナリティ障害は、家族に同じような精神疾患がある場合に発症しやすい傾向があります。これは、生まれつきの気質や性格に影響する遺伝的な要素が関係していると考えられています。

また、脳の働き方に違いが見られることも報告されています。たとえば、感情を落ち着かせる前頭前野の働きが弱く、不安や怒りに関わる扁桃体が敏感に反応しやすいケースがあります。こうした脳のしくみは本人の意思だけではコントロールが難しいため、気持ちの問題や性格の弱さとは別のものとして理解することが大切です。


環境的要因

境界性パーソナリティ障害は、虐待や育児放棄・過干渉・家庭の不安定な関係など、子ども時代に安心できる環境が得られなかったことが影響している場合があります。親からあたたかい愛情を受け取れなかったり、厳しく否定されて育った場合、自己肯定感が育ちにくくなり、感情が不安定になりやすくなります。

また、いじめや失恋、恋人からの暴力といった強いストレスを受けた経験も影響することがあります。そうした体験を通して、自分は大切にされる存在なのか、人を信じていいのかなど悩む気持ちが強くなり、人との関わりに不安を感じやすくなることがあります。


境界性パーソナリティ障害の診断基準

境界性パーソナリティ障害の診断基準

境界性パーソナリティ障害の診断は、アメリカ精神医学会が作った「DSM-5-TR」というマニュアルの基準に基づいて下されます。

以下の項目の5つ以上に当てはまる場合、境界性パーソナリティ障害の可能性がありますが、最終的な診断は医師の総合的な判断に基づいて行われます。

・見捨てられることへの強い不安があり、それを避けるために極端な行動をとることがある
・理想化と否定を繰り返すなど、人間関係が不安定になりやすい
・自己イメージや自己認識が不安定で、気分によって変わりやすい
・自分にとって危険な衝動的行動を複数とることがある
・自殺のそぶりや、自傷行為、脅しなどを繰り返す
・気分が数時間~数日で激しく変動する
・慢性的に「空っぽ」「何も感じない」といった空虚感を抱えている
・怒りをコントロールするのが難しく、突然怒り出したり、キレやすかったりする
・強いストレス下で、現実感がなくなったり、疑い深くなることがある

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境界性パーソナリティ障害の治療法

境界性パーソナリティ障害の治療法

ここでは、境界性パーソナリティ障害に主に行われている2つの治療法についてご紹介します。


カウンセリング・行動療法

境界性パーソナリティ障害の治療では、感情のコントロールや人間関係の改善を目的とした心理療法が重要です。なかでも、弁証法的行動療法と認知行動療法が効果的な治療法として広く用いられています。

・弁証法的行動療法
  感情のコントロールや対人関係の改善を目的とした方法です。たとえば、怒りが爆発しそうなときの対処法やうまく気持ちを伝える練習など、実践的なスキルを身につけます。個別面談やグループセッションで学んでいくのが特徴です。

・認知行動療法
  物事の受け取り方や考え方のクセに注目し、極端な思考パターンを見直す治療法です。どうせ自分なんてといったネガティブな思考を、現実的な見方に置き換えるトレーニングを行います。


薬物療法

薬物療法は境界性パーソナリティ障害の症状を和らげ、日常生活を送りやすくするためのサポートとして行われます。多くの場合、心理療法と併用することで効果がたかまり、気分の落ち込みや衝動性、不安感などのコントロールを助けます。

・抗うつ薬(SSRI系のパロキセチン、フルボキサミンなど)
 気分の落ち込みや不安感をやわらげる目的で使用されます。

・気分安定薬(バルプロ酸、ラモトリギンなど)
 感情の波を安定させるために使われることがあります。

・抗精神病薬(クエチアピン、オランザピンなど)
 強い怒りや衝動性がコントロールできないときに、少量が処方されることがあります。


【自分が発症してしまったら?】境界性パーソナリティ障害との付き合い方

境界性パーソナリティ障害との付き合い方

境界性パーソナリティ障害と診断された場合、治療と並行して日常生活での工夫が回復への1歩になります。ここでは、自分自身と向き合うためのヒントを紹介します。


日常生活での工夫

境界性パーソナリティ障害の症状を和らげるには、日々の生活で無理なく続けられる習慣作りが大切です。ちょっとした工夫でも、気持ちを落ち着かせたり、安定させたりする助けになります。

・生活リズムを整える
 毎日決まった時間に起きて、決まった時間に寝る習慣をつける。

・刺激の少ない環境づくり
 騒音や強い光、SNSの使いすぎなど、過度な刺激を減らす。

・食生活に気をつける
 栄養バランスを意識し、アルコールやカフェインの摂取は控えめにする。

・感情日記をつける
 日々の気分や出来事を書き出すことで、自分のパターンを把握しやすくなる。

・小さな目標を設定する
 10分だけ散歩する、夜11時にはスマホをやめるなど、達成しやすい行動から始める。



日常生活での工夫



ストレスを感じた際の対策

強い不安や怒りを感じたときは、その場の感情に流されず、落ち着きを取り戻すための行動が大切です。自分に合った方法を知っておくと、ストレスと向き合いやすくなります。

・その場から少し離れる
 感情が高ぶったときは、いったん席を立つ・場所を変えるなどして距離を取る。

・五感を使った落ち着け方を試す
 深呼吸、冷たい水で手を洗う、アロマの香りをかぐなど、体に意識を向ける。

・信頼できる人に話す
 感情を言葉にして伝えることで、気持ちを整理しやすくなる。

・反応を少し待つ練習をする
 怒りや不安を感じたときは、すぐに返事をせず少ししてから伝える習慣をつける。

・自分の反応をメモに残す
 ストレスを感じた状況や、そのときの気持ちを書き出すと、あとから冷静に振り返りやすくなる。


ストレスを感じたときの工夫



適切な医療機関の受診

境界性パーソナリティ障害は、継続して治療を受けることが大切です。とくに症状が激しくなったときは、早めに精神科や心療内科に相談しましょう。衝動的な言動がある場合は、すぐに専門医の診察を受けることが必要です。

通院が難しい場合には、自宅でも受診ができるオンライン診療という選択肢もあります。医師との信頼関係を大切にしながら、安心して通える体制を整えていきましょう。

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【家族や身近な人が発症】境界性パーソナリティ障害の方への接し方

境界性パーソナリティ障害の方への接し方

境界性パーソナリティ障害の方と関わる家族やパートナーは、理解や対応に悩むことが多いかもしれません。ここでは、日々の接し方のポイントをご紹介します。


否定せず、本人の気持ちに寄り添う

本人の言動が激しく感じられても、まずはその感情を否定せず受け止めることが大切です。「そんなことで怒らないで」などの否定的な言葉は、本人の不安をさらに強めてしまうことがあります。

「つらかったね」「そう感じたんだね」と共感を伝えるだけでも、安心感につながります。感情的に揺れやすい方にとって、理解されていると感じることは心の安定に大きな意味があります。冷静さを保ちながら、相手の気持ちに丁寧に寄り添うことを心がけましょう。


境界性パーソナリティ障害について正しく理解する

適切な関わりには、障害への理解が大切です。気分屋、わがまま、などの誤解を抱いたまま対応すると、関係が悪化しやすくなります。境界性パーソナリティ障害は、本人の努力だけで感情をコントロールするのは難しい状態です。

信頼できる情報源を通じて、病気の特徴や行動の背景を学び、なぜそうなるのかを理解することで、冷静に接することができるようになります。


家族や周囲の方もカウンセリングや相談窓口を活用する

境界性パーソナリティ障害の方を支える中で、家族も疲れやストレスを感じやすくなります。1人で抱え込まず、カウンセリングや相談窓口を利用して気持ちを話すことが大切です。

専門家に相談することで、対応のヒントが得られたり、関係の整理にもつながります。支える側が心の余裕を持つことで、本人にもより安定した関わりができるようになります。


適切な距離感を保つよう心がける

一生懸命に寄り添おうとする気持ちは大切ですが、すべてに応え続けると、支える側が疲れてしまうこともあります。境界性パーソナリティ障害の方は、強い不安から依存的になることがあり、距離の取り方が難しい場面もあります。

できること、できないことをはっきり伝え、一定の距離を保つことが、お互いのためになります。自分自身の心の安定も忘れずに、大切にしながら関わっていきましょう。


境界性パーソナリティ障害の方への接し方



境界性パーソナリティ障害と向き合いながら暮らすコツ

境界性パーソナリティ障害と向き合いながら暮らすコツ

ここでは、仕事・恋愛・社会生活などで心がけたいポイントを紹介します。


仕事面で心がけたいこと

職場の人間関係で嫌われたかもと感じてストレスになることがあります。気持ちが揺れることも。自分に合った働き方を選ぶことで、気持ちが安定しやすくなります。柔軟な勤務、1人作業の多い仕事など、無理のない環境を選ぶことが大切です。


恋愛面で気を付けたいこと

不安から相手に強く依存してしまったり、急に突き放してしまうことがあります。安心できる関係を築くには、ゆっくり距離を縮めていくことがポイントです。自分の気持ちを素直に伝え、信頼できる相手と対話を大切にしましょう。


その他、社会生活での工夫

日常生活で不安で気持ちが乱れるときは、深呼吸したり少し距離を取ると落ち着きやすくなります。無理に多くの人と関わらず、信頼できる人と少しずつつながる工夫も、自分を守るうえで大切です。


境界性パーソナリティ障害でのよくある質問(Q&A)

境界性パーソナリティ障害でのよくある質問

ここでは、境界性パーソナリティ障害に関するよくある疑問について解説します。


境界性パーソナリティ障害でみられる特徴的な症状はどのようなものですか?

境界性パーソナリティ障害の特徴には、見捨てられる不安・感情の起伏の激しさなどがあります。急な怒りや孤独感におそわれ、自分を傷つけてしまうなど、日常生活に支障をきたす場合は専門医の診察が必要です。


境界性パーソナリティ障害の方の口癖はありますか?

「どうせ私なんて」「見捨てないで」「全部私のせい」など自分を責めるような言葉や、相手を試すような言葉が挙げられます。口癖は症状の一部であり、本人も言った後に後悔することが少なくありません。相手に理解されないことがさらに孤独感を深める要因になるため、専門的な支援を受けることが大切です。


境界性パーソナリティ障害は治りますか?

境界性パーソナリティ障害は治療によって改善が期待できます。治療には時間がかかることが多く、途中で不安定になることもありますが、継続して支援を受けることで感情や行動のコントロールが可能になります。


境界性パーソナリティ障害は薬以外でも治療できますか?

はい。境界性パーソナリティ障害の治療は、薬物療法よりも心理療法が中心です。不安や気分の波に対応するために処方されることがありますが、根本的な治療は対話を通じた心理的アプローチが基本となります。薬に頼らず、自分の感情や行動のパターンを理解していくことが重要です。


境界性パーソナリティ障害かもしれないと不安…受診しても良いでしょうか?

もちろん受診して構いません。もしかして自分もそうかもと感じた段階で受診することが大事な1歩です。診断の有無にかかわらず、困りごとに対して適切な対応策を一緒に考えてもらえます。


境界性パーソナリティ障害はオンライン診療でも診察してもらえますか?

多くの精神科ではオンライン診療にも対応しています。対面下での心理療法のほうが有効なことも多いですが、通院が難しい方や人との接触に不安がある方でも、安心して相談できる方法として利用されています。まずはオンライン診療に対応している医療機関に問い合わせてみるのがおすすめです。


境界性パーソナリティ障害で悩んだらエニキュアに相談を

境界性パーソナリティ障害で悩んだらエニキュアに相談を まとめ

 

境界性パーソナリティ障害は、感情や人間関係の不安定さに悩むことが多い疾患ですが、適切な治療や支援によって回復を目指すことができます。「もしかして…」と感じたら、それは自分を大切にするサインです。オンライン診療なら、自宅からでも専門医へ相談できます。1人で抱え込まず、まずは話してみることから始めてみませんか?


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