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大人の発達障害とは?診断について解説
はじめに
「発達障害」「ADHD」という言葉をよく耳にするようになった昨今、今一度発達障害について知っておくことも良い機会だと思われます。「発達」の障害をいう名前から、子供に特有の病気であると誤解されがちですが、大人にも一定の割合でこの傾向を抱えている人はいます。
発達障害は、生まれつき脳の機能の一部分に偏りがあることで周りの人と比べて生きづらさやズレを感じやすい障害の総称です。
その中でもADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動・衝動性」といった偏りを主な特徴とする発達障害のひとつです。発達障害の中でも、ADHDは子供で20人に1人、大人で40人に1人いると言われており、近年その数はさらに増加していると言われています。しかし、全員に診断がついているわけではないため、本人も、周囲の人も、「なんとなく違う 」と感じ、お互いに違和感を感じたり、ストレスになったりすることもあります。
また、通常は子供の頃から抱えているもので、大人になってから突然発症するものではないのですが、子供の頃は目立たなかったり自覚がなかったりするものの、社会に出て周囲と比べても自分が違う部分があると感じ、発達障害と診断されることがあります。このようなケースを、大人の発達障害と呼びます。
発達障害の治療方法とは
発達障害の治療法として、一般的に採用されているものに「薬物療法」「環境調整」「認知行動療法」などがあります。
薬物療法
ADHDの症状を改善するために薬を服用していきます。発達障害はドーパミンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質の量や反応性に関与していると言われています。そのため、薬物療法神経伝達物質のバランスを整えるものなどがあり、人によって合うものが違うため、主治医と一緒に続けていきます。
「コンサータ錠」をはじめとした、メチルフェニデートという薬剤がADHDの不注意・多動-衝動性を軽減する可能性があるとして保険適用されています。これは脳内のドーパミンという物質を増やすことで、脳の覚醒度を上げ、ADHDの症状を改善します。合併症を持つ患者さんに対して副作用もあるため、登録された医師や専門医療機関でのみ処方が可能で、薬局の登録も必要です。
その他、アトモキセチン(ストラテラ)という治療薬も使用され、脳内のノルアドレナリンという物質を増やすことで、症状を改善します。特に、過集中に対して視野を広げる効果があると言われています。
環境調整
環境調整とは、自分の特性(得意・苦手なこと)を理解したうえで、苦手分野を補うために生活環境や人間関係などを見直す方法のことです。教室での机の位置や掲示物などを工夫して、本人が少しでも集中しやすくなる方法を考える物理的な介入法や、勉強や作業を10~15分など集中できそうな最小単位の時間に区切って行わせる時間的介入法などが有効です。このように環境を調整することで自分の苦手な特性をカバーできるようにしていきます。
認知行動療法
認知行動療法とは、認知(考え方や価値観)のゆがみを改善し、状況や場面にふさわしい行動がとれるよう、トレーニングを行う方法です。認知行動療法を通して、本人のストレスへの対応の仕方を学び、社会に適応できるようにしていきます。こうした取り組みに関して、主に子どもに関わる保護者が学ぶトレーニングが「ペアレントトレーニング」として知られています。また各地で実際に当事者の保護者が活動するペアレントメンターという制度も整ってきています。
発達障害の診断基準とは?
発達障害をはじめとした主な精神疾患は、アメリカの医学会で用いられる「DSM-5」と呼ばれる指標をもとに診断されます。「DSM」とは「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の略で、精神疾患の診断基準・診断分類を指します。
グレーゾーンの状態であることも
発達障害の診断は簡単にできるわけではありません。
グレーゾーンとは、発達障害と定型発達の境目、いわば「発達障害の傾向がある人」を指します。DSM-5の診断基準のうち一つでも満たしていなかった場合、発達障害の診断はおりず、グレーゾーンという形になります。
発達障害グレーゾーンの人は、その日の体調によっても症状が左右される傾向にあります。診断を受けた日がたまたま体調がよく、目立った症状が見られないという場合には、医師は発達障害の診断を下すことができないのです。グレーゾーンの人は診断基準を満たすか満たさないかのボーダーラインにいるため、ちょっとした体調の違いでも症状に差がついてしまうことがあります。
発達障害は、精神障害者保健福祉手帳という手帳の対象となります。初診日から六ヶ月後経過して初めて診断書をもとに手帳申請をすることが可能となります。これは正確な診断のために必要なことですので、勤務先などに提出する日程も併せてあらかじめ想定しておくとよいでしょう。
診断書発行の費用は各医療機関が独自に決めるもので、一律の料金設定があるわけではなく、用途によりさまざまです。なお、診断書発行は医療保険の対象外であるため、全額自己負担となります。勤務先に診断書を提出する場合、企業によっては診断書の費用を負担してくれることもありますので、一度確認してみるとよいでしょう。
発達障害の方が受けられる支援とは
地域で受けられる公的な療育や支援としては、児童発達支援、放課後等デイサービスのほか、医療型児童発達支援や保育所等訪問支援もあります。その他にも、障害福祉サービスには障害児入所支援や外出や生活の自立を支援する自立支援給付等など、さまざまな制度があります。
また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律により、行政、学校、企業に対して障害のある方々の人権が保障され、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう配慮を行うことが求められてきており、会社や学校の中でも支援を受けることができます。
ADHDやASDに関してはこちらの記事でも解説しています。併せてお読みください。
発達障害の診断に関するまとめ
ここまでの記事のポイントを見ていきましょう。
・発達障害は、生まれつき脳の機能の一部分に偏りがあることで周りの人と比べて生きづらさやズレを感じやすい障害。子供の頃は症状が目立たなかったり自覚がなかったものの、社会に出て周囲と比べても自分が違う部分があると感じ、発達障害と診断されるケースを、大人の発達障害と呼ぶ
・発達障害の診断はアメリカの医学会で用いられる「DSM-5」と呼ばれる指標をもとに診断される。発達障害の診断は簡単にできるものではない
・地域で受けられる公的な療育や支援としては、児童発達支援、放課後等デイサービスのほか、医療型児童発達支援や保育所等訪問支援がある。また教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう配慮を行うことが公的に求められてきている。
日常生活で失敗の繰り返しや人間関係のもつれが多くて生きづらさを感じていたり、「自分は他の人と何かが違うのかも」、「自分は発達障害かもしれない」と悩んでいたりするなら、身近な専門相談窓口や医療機関に相談してみるのが良いでしょう。
専門家に相談することで、専門家や行政による就労・医療に関する支援を受けたり、さまざまな生活上の工夫の仕方を知ることができたりして、より生きやすい環境を作れる可能性が広がります。
自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、以下のリンクから症状チェッカーで確認してみましょう。あなたの気になる症状から該当する心の病気を調べます。
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