オンライン診療の初診時に処方できない薬とは?薬の受け取り方法についても解説

監修者紹介
別府拓紀
大学病院、精神科病院、専属産業医などを経て現在精神科病院で地域の精神科医療に従事 精神保健指定医、精神科専門医、臨床精神神経薬理学専門医、老年精神医学会専門医、公認心理師、スポーツドクター
別府拓紀
大学病院、精神科病院、専属産業医などを経て現在精神科病院で地域の精神科医療に従事 精神保健指定医、精神科専門医、臨床精神神経薬理学専門医、老年精神医学会専門医、公認心理師、スポーツドクター

1.はじめに

 オンライン診療の場合、「初診では処方できない薬がある」ということをご存知ですか?

従来の心療内科と違い、オンライン診療が初診の場合は、処方できる薬に制限があります。

なぜオンライン診療の初診では処方できる薬に制限があるのでしょうか。

理由として、「初診から電話や情報通信機器を用いた診療を行う場合は、患者のなりすましや虚偽の申告による濫用・転売の防止が困難であることを考慮」と厚生労働省が発表しています。*1)

本記事では、オンライン診療を初診で受診する場合に処方できない薬、オンライン診療で薬を受け取る方法などについて解説します。



1)”「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いに関するQ&A」の改定について(その3)”,厚生労働省,2023 年9月30日,https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?
dataId=00tc7051&dataType=1&pageNo=1
, (参照2024-1-31)

2.オンライン診療とは

オンライン診療とは

 オンライン診療とは、遠隔診療のうち、スマホやパソコンなどを通じてリアルタイムで受診ができるクリニックのことです。
実際にクリニックに行かなくても、オンライン上で受診、会計、薬の処方等を行うことができます。

まずは、オンライン診療の流れと、メリットについて簡単に解説します。

オンライン診療の流れ

オンライン診療の流れは以下の通りです。

① 予約
② オンライン問診を記入
③ オンラインで受診
④ 会計
⑤ 薬の受け取り



予約はオンライン上で受診したい日時を選択します。
予約の際には保険証が必要なので用意しておきましょう。

また受診前に、オンライン上で問診票を記入する必要があります。
オンラインで診察を受けるためには、指定アプリをインストールする場合や、LINE、Zoom での診察など受診方法がクリニックによって異なります。


オンライン診療のメリット

①通院時間や待ち時間を軽減
オンライン診療では、自宅や外出先で受診することが可能なため、病院に行く時間を省くことができ、待ち時間の負担も軽減されます。
ご自身の生活に合わせて通院を継続することができます。


②予約が取りやすく、24時間予約可能
通常の心療内科は予約が非常に取りにくいと言われています。
1ヶ月先まで予約が取れないこともあり、仕事の都合で受診時間を確保できず、受診を先延ばしにしてしまうというケースもあります。

オンライン診療では、24 時間いつでも予約を取ることができるため、比較的予約が取りやすく、生活のちょっとした空き時間に診察を受けることが可能です。


③通院がバレない
心療内科に通うこと自体を他人に知られることに不安を感じている人も多いのではないのでしょうか。
自宅で受けることもできるので、他人に知られず安心した状態で受診することができます。

オンライン診療のメリットと効果について、以下の記事でも詳しく解説しています。

併せてお読みください。

精神科・心療内科におけるオンライン診療のメリットとその効果



医療保険は適用される?

オンライン診療であっても保険が適用されます。
負担割合は3 割ですが、オンライン診療手数料等は保険適用外で加算されますので注意が必要です。
オンライン診療に関する詳しい解説は以下の記事をご確認ください。









3.初診で処方できない薬とは?


 オンライン診療では、初診で処方できる薬に制限があります。
ここでは、オンライン診療の処方制限の基本ルール、そして初診で処方できない薬の種類について解説します。




オンライン診療での処方制限の基本ルール

①初診からオンライン診療を受診する場合、麻薬や向精神薬は処方できない
向精神薬とは、抗うつ剤、睡眠薬、抗不安薬等の中枢神経作用する薬のことを指します。
初診からオンライン診療を受診する場合、患者さんのなりすまし、乱用、転売等の防止が難しいためです。
また、免疫抑制剤等の安全管理が必要な薬も処方ができません。




②初診の処方日数は7日間を上限とする
オンライン診療が初診である場合、新しい薬は7日分までしか原則処方しません。*2)
同じ薬を処方する場合は、最大30 日分まで処方が可能です。










初診で処方できない薬の種類

 ここでは、初診で処方できない薬をご紹介します。*3)
以下の薬以外のものであれば、初診時に処方することが可能です。


第一種
・セコバルビタール(アイオナール・ナトリウム注
・メチルフェニデート(リタリン散・錠、コンサータ錠)
・モダフィニル(モディオダール錠)

第二種
・アモバルビタール(イソミタール原末)
・ブプレノルフィン(ノルスパンテープ)
・フルニトラゼパム(サイレース錠・静注、ロヒプノール錠・静注用)
・ブプレノルフィン(レペタン注・坐剤、ノルスパンテープ、ザルバン注)
・ペンタゾシン(ソセゴン 錠・注射液、ペルタゾン錠、トリスパール注)
・ペントバルビタール(ラボナ錠)

第三種
・アルプラゾラム
・エスタゾラム
・エチゾラム
・オキサゾラム
・クアゼパム
・クロキサゾラム
・クロチアゼパム
・クロナゼパム
・クロバザム
・クロラゼプ酸二カリウム
・クロルジアゼポキシド
・ジアゼパム
・ゾピクロン
・ゾルピデム酒石酸塩
・トリアゾラム
・ニトラゼパム
・ハロキサゾラム
・フェノバルビタール
・フェノバルビタールナトリウム
・フェノバルビタールの配合剤
・フルジアゼパム
・フルラゼパム塩酸塩
・ブロチゾラム
・ブロマゼパム
・ペモリン
・マジンドール
・ミダゾラム
・メダゼパム
・レミマゾラムベシル酸塩
・ロフラゼプ酸エチル
・ロラゼパム
・ロルメタゼパム



再診であれば処方可能?

初診で処方制限がある薬をいくつかご紹介しましたが、再診であれば処方が可能な薬もあります。
いつも処方している同じ薬(睡眠薬や向精神薬等)であれば、再診時に受け取ることができます。
新規で別の薬を処方する場合は、最大7日分のみの処方となります。









2)”オンライン診療等の診療報酬上の評価見直しについて”,厚生労働省保険局,https://
www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_04medical/231218/
medical01_02.pdf
, (参照2024-1-31)
3)”向精神薬取扱いの手引”,東京都保健医療局,2023-5,
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/iyaku/sonota/toriatsukai/tebiki/
hokou.files/R0507_tebiki_kousei.pdf
, (参照2024-1-31)





4:薬の受け取る方法とメリット、デメリット


 オンライン診療を受ける際、薬の受け取り方法が気になるところです。
処方された薬は、医療機関が薬局に処方箋を送り薬局で薬を受け取る「院外処方」、医療機関が直接薬を処方し病院で受け取る「院内処方」があります。

受け取り方法と、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。




院内処方

 オンライン診療における院内処方とは、受診したクリニックが直接薬を処方し受け取る方法です。
クリニックが診察後に直接自宅に薬を郵送してくれます。
デメリットとしては、郵送されてくるのに時間がかかるため、即日薬を使用することが出来ず、治療が遅れることがあります。







院外処方

 オンライン診療における院外処方とは、クリニックから処方箋を発行してもらい、その後、自分の行きたい薬局で薬を受け取る方法です。


オンライン診療の場合は、以下の3つの方法で薬を受け取ることができます。

①薬を薬局に受け取る
②薬を郵送で送ってもらう
③処方箋が自宅に郵送され、薬局で受け取る
④薬を薬局に取りに行く



①薬を薬局に受け取る



・オンライン診察を受けたクリニックが、FAX などで指定した薬局に処方箋を送る
・薬局が患者に薬の準備ができた旨を連絡する
・患者が薬局に行き薬を受け取る






②薬を郵送で送ってもらう


・オンライン診察を受けたクリニックが、FAX などで指定した薬局に処方箋を送る
・オンラインで薬剤師から薬の説明を受け、薬局が自宅に薬を郵送する





③処方箋が自宅に郵送され、薬局で受け取る


・受診したクリニックから処方箋のみ郵送で自宅に送る
・ご自身で薬局に行き薬を受け取る



受診するオンラインクリニックごとに、薬の受け取り方法が定められていることが多いです。
受診予定のクリニックに確認しておくことをおすすめします。




オンライン診療で薬を受け取る際の注意点


・料金
通常診療とは異なり、オンライン診療を受診する場合は、オンライン手数料や薬の配送料、システム料を別途支払う必要があります。
通常の病院と同じように診察料は保険適用がされますが、処方箋・薬の配送料等が必要になります。



・処方箋の有効期期限
通常処方箋の有効期限は、4日間です(発行日を含める)
これは、オンライン診療も同様です。
薬をご自身で薬局に取りに行く場合は、処方箋を受け取った日から4日以内に薬を受け取りに行くことをおすすめします。






5:まとめ


 本記事では初診がオンライン診療の場合、処方できない薬がある、ということを説明しました。

本記事の重要ポイントです。
・初診からオンライン診療を受診する場合、麻薬や向精神薬は処方できない

・初診の処方日数は7日間を上限とする

・オンライン診療での薬の受け取り方は大きく3つある。
①クリニックが直接自宅に薬を郵送(院内処方)
②薬局で受け取る(院外処方)
③クリニックから処方箋が自宅に郵送され、薬局で受け取る(院外処方)



オンライン診療であれば、わざわざ病院まで体調が悪い中通院する必要もありません。

薬も郵送で自宅に届けてくれる場合もあるので、薬局に行く負担を省けます。

薬の処方説明もオンラインで行ってくれる場合もあるため、自宅で受診、会計、薬の受け取りを全て済ませることが可能です。

受診を検討中のクリニックの治療方法や薬の受け取り方等を確認し、安心して受診しましょう。


オンライン診療「エニキュア」はこちらから


自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、症状チェッカーで確認してみましょう。
あなたの気になる症状から該当する心の病気を調べます。

症状チェッカー


オンライン診療からセルフケアまで。あなたの心を支えるエニキュア診察を予約する
記事をシェアする
関連記事
精神科オンライン診療の料金はどうやって決まってる?仕組みと注意点も解説
精神科で予約が取れない理由とオンライン診療の活用について詳しく解説!
精神科オンライン診療の問診票に書くべきことは?問診票を書いたあとの流れも紹介
「息苦しい」と感じる原因はストレス?精神科・心療内科のオンライン診療にご相談を
オンライン診療で診断書はもらえる?診療予約から診断書発行までの流れについて解説
オンライン診療からセルフケアまで。あなたの心を支えるエニキュア診察を予約する
24時間予約可能、当日診察も可能
公式LINEで予約する