職場の人間関係に悩む原因・対処法を解説。メンタル不調を感じるときは精神科・心療内科へ

監修者紹介
別府拓紀
大学病院、精神科病院、専属産業医などを経て現在精神科病院で地域の精神科医療に従事 精神保健指定医、精神科専門医、臨床精神神経薬理学専門医、老年精神医学会専門医、公認心理師、スポーツドクター
別府拓紀
大学病院、精神科病院、専属産業医などを経て現在精神科病院で地域の精神科医療に従事 精神保健指定医、精神科専門医、臨床精神神経薬理学専門医、老年精神医学会専門医、公認心理師、スポーツドクター

はじめに

職場での人間関係は、私たちの日常生活において大きなウェイトを占めています。良好な関係は仕事の効率を高め、職場を明るくする一方で、職場の人間関係のトラブルは深刻なストレスの原因となり得ます。

この記事では、職場での人間関係に悩む原因と対処法について詳しく解説します。また、人間関係によるストレスが心身におよぼす影響や、忙しいなかでも気軽に利用できる精神科・心療内科のオンライン診療のメリットについてもご紹介します。


職場の人間関係で悩む人は多い

職場での人間関係に悩む人は非常に多く、ストレスからメンタル不調を引き起こすケースもあるでしょう。2022年におこなわれた厚生労働省の調査によると、人間関係が原因で退職した人は18.7%を占めています。また、別の調査でも、新入社員の約3割が、人間関係が原因で早期退職していることがわかっています。

社内の窓口や上司への相談で改善できる場合や、転職活動ができる余裕がある場合は、問題ありませんが、人間関係の悩みを我慢してストレスを溜めてしまうと、メンタルの不調につながります。不安がある方や、すでに少しでもメンタルや体調に影響が出ている方は、ぜひ本記事を参考に早めの対処をしてください。



職場の人間関係にストレスを感じる原因

職場の人間関係にストレスを感じる原因


職場の人間関係にストレスを感じる原因はさまざまです。労働環境や仕事内容などの環境的要因もあれば、コミュニケーション不足や価値観の違いなどの心理的要因も、ストレスに大きく関わっています。ここからは、職場の人間関係にストレスを感じる原因を5つ紹介します。



社員同士のコミュニケーションが不足しているから

職場の人間関係にストレスを感じる原因として、社員のコミュニケーション不足が挙げられます。理由として、社員同士のコミュニケーションが不足していると、誤解や不信感が生まれやすくなるからです。仕事の進め方に対する意見の食い違いや情報伝達ミスが原因で、不要なトラブルが発生することも少なくありません。

さらに、人と人とのつながりが希薄になり、孤立感を覚えることもあります。近年はリモートワークや在宅勤務が普及し「社内コミュニケーションが減った」「上司・部下・同僚とのコミュニケーションがとりにくい」と感じている方も多いです。

会社ができる改善策として、イベントや個人面談などの社内コミュニケーションの機会を作る方法があります。また、個人としても、自分からコミュニケーションを取るよう心がけましょう。

労働環境や仕事内容に不満を感じているから

労働環境や仕事内容に対する不満も、人間関係の悩みにつながることがあります。過重労働や苦手な業務などの仕事そのものに対するストレスが人間関係に影響をおよぼす場合もあるのです。仕事そのものに大きなストレスを感じていれば、負の感情が伝わり、社内全体の雰囲気が悪くなるため、人間関係も悪くなりがちです。

心に余裕がない状態では、よい人間関係を保つことに意識を向けられません。仕事に対してストレスを抱えている場合、社内の産業医や専門の相談窓口に相談してみましょう。専門家によるアドバイスやカウンセリングが受けられます。

価値観が違う人が集まっているから

職場の人間関係にストレスを感じるのは、価値観が違う人たちが集まっているためかもしれません。社員同士の意見の違いは、ときに衝突を生む場合もあります。なかでも、常に自分の考えを妥協せず押し付ける人が社内にいると、精神的に疲弊しやすくなるでしょう。

また、管理職と部下で世代が離れていると、働き方に対する価値観が異なる場合もあります。そのため、お互いの価値観を受け入れられないと、信頼関係を築けないどころか人間関係の悪化につながる可能性もあります。

対策として、価値観が合わない人とは一定の距離を置きましょう。具体的な方法として、職場以外での付き合いを避けたり、相手と話すときは聞き役に徹したりなどが挙げられます。

長時間同じ空間にいるから

職場の人間関係にストレスを感じる人が多い理由は、多くの人が1日の大半を職場で過ごしているためです。とくに残業や休日出勤などでプライベートな時間が少なくなると、ストレスが溜まりやすくなるでしょう。

さらに、長時間同じメンバーとばかり過ごしていると、お互いの悪い面も見えてきます。相手の言動や行動に対するストレスがたまると、人間関係にも悪影響をおよぼします。とくに残業や休日出勤などでプライベートな時間が少なくなると、ストレスが溜まりやすくなるでしょう。

対策として、適度に休暇を取って仕事から離れる時間を作りましょう。また、フレックス制度やテレワークを導入している会社であれば、利用を検討してみてください。

周りの人の反応を気にしすぎているから

職場の人間関係に疲れてしまうのは、周りの人の反応を気にしすぎている可能性もあります。自分の行動・発言を常に他人の目で評価すると、相手の本心を考えながら仕事をするため、心が摩耗してしまうでしょう。

また、なかには生まれつき刺激に対して人一倍敏感な人もいます。そのような気質の人は感受性がとても強いため、人間関係で悩み、疲弊することも多いです。周りの反応を気にする傾向のある人は、居心地のよい職場に転職したり、フリーランスとして働いたりするのも1つの方法です。


職場の人間関係にストレスを感じる原因 まとめ






職場の人間関係が心身におよぼす影響

職場の人間関係が心身におよぼす影響

職場の人間関係が悪くなると、心身に悪い影響をおよぼし、やがて仕事でのパフォーマンス低下にもつながります。以下より、職場の人間関係のストレスが心や身体に与える影響について、詳しく解説します。

心理的ストレスを感じる

職場の人間関係が悪いと、心理的ストレスを感じるでしょう。ストレスは不安やイライラ、落ち込みといった感情を引き起こし、職場での居心地の悪さや孤立感を感じさせます。また、休日も職場での悩みが気になってしまい、ゆっくり過ごせないかもしれません。

心理的ストレスを放置すると、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症するケースもあります。うつ病になると気分が落ち込むだけでなく、今まで好きだった趣味が楽しめなかったり、何もする気が起きなかったりします。精神疾患は早期発見・治療するほど回復が早く、軽症で済むケースも多いです。

早めに医師へ相談したい方は、オンライン診療がおすすめです。「エニキュア」では、公式LINEから診療予約が可能なため、まずは登録からはじめてみましょう。

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ストレスが体調に現れる

人間関係のストレスは自律神経のバランスを崩し、頭痛・胃痛・不眠・食欲不振などの身体的な症状を引き起こすこともあります。

自律神経は、体内外の環境に関する情報を受け取り、体内プロセスをコントロールする働きをしています。自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分けられ、機能を促進するには交感神経、抑制するには副交感神経が使われます。自律神経にストレスがかかると、副交感神経の働きが低下するため、なかなか疲労が回復しません。また、ストレスがかかると副腎皮質からステロイドホルモンが出て、血圧や血糖値の上昇など、身体に悪影響をおよぼします。

仕事のパフォーマンスが下がる

職場での人間関係の悪化は、仕事のパフォーマンスにも影響します。ストレスが高まると集中力が低下し、ミスが増えたり、判断力が鈍ったりするからです。

さらに、職場の人間関係が悪いとモチベーションの低下にもつながります。その結果、業務に対する興味・関心が薄れ、自分から積極的に行動しなくなり、職場からの評価も落ちるかもしれません。職場の人間関係が悪化すると、仕事へのやる気が低下するほか、ストレスがつづけば心身にも影響をおよぼす可能性があります。

職場の人間関係が心身におよぼす影響 まとめ






職場の人間関係に悩むときの対処法

職場の人間関係に悩むときの対処法


職場の人間関係の悩みを解消するには、自分から問題に対して行動を起こしたり、ストレスの原因から離れたりするとよいでしょう。具体的な対処法については、以下で紹介します。


苦手な人のよい部分を見つける

職場に苦手な人がいる場合、あえてその人のよい部分を見つけてみましょう。苦手な人に対しては、ついネガティブな面ばかりに目を向けてしまいますが、少し視点を変えると、ポジティブに捉えられる可能性があるからです。

苦手な人のよい部分を見つける方法として「リフレーミング」がおすすめです。リフレーミングとは、物事の枠組み(フレーム)を変え、別の視点を持つ方法です。たとえば、自己主張が激しい人はリーダーシップがある人、ふざけている人はムードメーカーという捉え方もできます。苦手な人に対してリフレーミングすると、職場でのコミュニケーション方法も変わり、人間関係も改善できるかもしれません。

自分からコミュニケーションをとる

人間関係の悩みを解消するためには、自分から積極的にコミュニケーションを取ることも重要です。相手に興味を持って質問をしたり、会話をしたりすると相互理解が深まり、関係性が深まる場合もあります。コミュニケーションが苦手な方は、あいさつからはじめてみるとよいでしょう。

また、自分の考えや感じていることをオープンにすると、誤解を解消し、信頼関係を築くきっかけにもなります。思い切って自分の考えをしっかり伝えると、相手も理解してくれるかもしれません。

信頼できる人に相談する

人間関係の悩みが発生した場合、誰かに相談し、1人で抱え込まないようにしましょう。第三者の視点からアドバイスをもらうと問題を客観的に捉えられ、解決策を見つけやすくなるからです。

また、アドバイスをもらわず、ただ話を聞いてもらうだけでも心の負担が軽減される場合もあります。相談や話を聞いてもらう相手は、上司や同僚だけでなく、家族や友人などでも構いません。誰かに話をするとストレスが軽減されたり、抱え込んでいた悩みが解決したりするでしょう。

人事部・労務部に相談する

職場の人間関係が原因でメンタル不調を感じる場合、会社の人事部・労務部に相談するのも1つの手段です。人事部や労務部は社員の福利厚生や職場環境に関わる部署であり、社員の悩みに対して適切なアドバイスやサポートを提供する場合もあります。

とくに上司や同僚からハラスメントを受けた際には、社内のハラスメント対策・相談窓口に速やかに相談しましょう。場合によっては、配置転換や部署異動が認められ、職場環境を変えられるかもしれません。

転職を考える

第三者に相談しても人間関係が改善しない場合、転職を検討するのも1つの方法です。仕事を無理につづけてストレスを抱えると、心身にさまざまな悪影響が出るからです。環境を変えると人間関係のストレスから解放され、仕事に対するモチベーションを取り戻せる可能性もあります。

しかし、急に退職すると収入源を失うため、在職中に転職活動をするのがおすすめです。また、面接で転職理由を聞かれたときは「貴社の〇〇な雰囲気に魅力を感じた」など、ポジティブな回答をすると、面接官に好印象を与えられます。

休職する

職場の人間関係が原因でメンタル不調を感じる場合、休職をすることも必要です。休職期間中にストレス源から距離を置いて心身のリフレッシュを図り、健康を回復すると職場復帰への準備ができます。

ただし、企業によっては休職制度を設けていなかったり、主治医による診断書が必要だったりします。まずは就業規則の確認や上司への相談をしましょう。医師からの診断書をもらうには、精神科や心療内科を受診する必要があります。ただし、症状の度合いや医師の判断によっては、診断書が発行されない場合もあります。休職のための診断書をもらうには、医師へ作成を依頼し、症状をできるだけ詳しく説明しましょう。

休職に関しては以下の記事でも解説しています。併せてお読みください。
うつ病で休職するためには?申請方法、復帰の目安から休職中の過ごし方、経済的支援についても詳しく解説!



職場の人間関係に悩むときの対処法 まとめ




メンタル不調を感じる場合は精神科・心療内科のオンライン診療がおすすめ

仕事の忙しさや通院への抵抗感から、なかなか足を運ぶことができない方は、オンライン診療がおすすめです。オンライン診療では、自宅から医師と直接対話できるため、遠方に住んでいる方や対面診療に抵抗がある方にとっても、気軽に受診できます。

また、オンライン診療は予約した当日から遅くても3日以内には予約が取れる場合が多いです。対面診療のメンタルクリニックは、予約が1か月〜半年先まで埋まっていることも多く、なかなか受診できないかもしれません。

精神疾患は早期発見・治療をすれば、早く回復できる可能性が高まります。オンライン診療のメリット・よくある質問については、エニキュアの公式サイトでも説明しているため、ぜひご覧ください。

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まとめ:職場の人間関係に悩んだときの行動

まとめ:職場の人間関係に悩んだときの行動

職場の人間関係に悩んだときは、まずはみずから行動を起こしてみましょう。たとえば、苦手な同僚のよい点を見つけてみたり、あいさつを通じてコミュニケーションをとったりすると、関係が改善する可能性があります。

それでもストレスが解消されない場合は、部署異動や転職、必要であれば休職を検討することも1つの手です。とくにメンタルの不調を感じた際には、早めに精神科や心療内科のクリニックを受診し、適切な治療を受けましょう。

メンタル不調を感じている人で、自分の症状について知りたい方は「症状チェッカー」をご利用ください。症状チェッカー







【参考記事】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf 厚生労働省 令和4年雇用動向調査結果の概況 p15(2)転職入職者が前職を辞めた理由https://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html 独立行政法人 労働政策研究・研修機構調査シリーズNo.164 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)
図表2 「初めての正社員勤務先」を離職した理由(MA,性別,新卒3年以内離職者)
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000662173.pdf 厚生労働省テレワークを巡る現状について
p7 テレワークで感じた課題 【コミュニケーション・仕事とプライベートの区別】①
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html うつ病の特徴
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-002.html 厚生労働省 精神疾患の早期発見・治療の重要性
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3%E3%80%81%E8%84%8A%E9%AB%84%E3%80%81%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%87%AA%E5%BE%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%87%AA%E5%BE%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
MSDマニュアル 自律神経系の解剖
自律神経が乱れると、どうなる?ー自律神経が乱れて生じること
https://sanyokai-clinic.com/kokoro/4205/
うつ病の診断書はもらえないケースがある
https://clinics-cloud.com/column/26#61a83eef334d2f00bd6c4b28-1707799965152
通院負担が軽減される
https://clinics-cloud.com/column/26#61a83eef334d2f00bd6c4b28-1708413032743
遠方の患者さんの診療ができる
https://umemoto-homeclinic.com/psychiatry-cannot-make-an-appointment/
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