メンタルクリニックで改善!原因不明の体調不良は「不定愁訴」?ストレスが原因かも?

監修者紹介
別府拓紀
大学病院、精神科病院、専属産業医などを経て現在精神科病院で地域の精神科医療に従事
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別府拓紀
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はじめに

頭痛・体がだるい・イライラが止まらない、内科で検査したのに異常なしと言われた。このように、原因が全く分からない体調不良が続いていることはありませんか?

もしかしたらそれは、不定愁訴かもしれません。

本記事では不定愁訴とは何か、不定愁訴の原因、メンタル疾患との関連性や、改善ポイントなどについて解説します。



1.原因不明の体調不良が続くのは、「不定愁訴」かもしれません

原因不明の体調不良が続くのは、「不定愁訴」かもしれません

不定愁訴(ふていしゅうそ)とは?

そもそも愁訴とは、苦しみや違和感を口に出して訴えること、という意味です。
不定愁訴とは、原因がはっきりとは分からないけれど、なんとなく体調が悪い、という状態のことです。
検査をしても特に異常が見つからずはっきりとした原因が分からない、ということが多くあります。不定愁訴を感じている人は、成人で20〜30%いると言われています。*1)



いつも体調が悪い...不定愁訴の原因とは

不定愁訴とは、原因がはっきりと分からない体調不良のことを指しますが、不定愁訴には考えられる原因がいくつか存在します。

① 自律神経の乱れ
自律神経とは、呼吸や循環・生殖・排泄など生命維持に必要な機能を調整する神経の一部で、自分の意思とは関係なく自律的に動く神経のことです。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成り立っており、相互にバランスを取りながら体が正常な状態を保てるよう機能しています。

交感神経とは、緊張時・興奮時に機能し、体を活性化させる神経のことで、副交感神経とはリラックス時に働く神経のことを指します。

交感神経と副交感神経が乱れる一番の原因は、ストレスです。ストレスがかかると、緊急事態に対応するため、体が戦闘モードになり交感神経が活性化します。

リラックスできる状態を作り、交感神経を抑え副交感神経を働かせる状態を作ることが大事ですが、長期間ストレスがかかる状態が続くと体に不調が表れ始めます。交感神経が常に活性化している状態が続くと、心身が我慢できる限界を迎えてしまい、自律神経が乱れてしまうのです。



② 疾患
不定愁訴は、病気が原因で起こるケースもあります。内科で検査し異常がないと診断されたが、実は精神疾患が原因だった、というようなケースです。
医師から異常なし・原因が特定できないといわれ症状の治療を諦めてしまい、その間にメンタル疾患が進行していた、というようなことも考えられます。
内科等で異常が見つからなかった場合、心療内科・精神科に相談してみることをおすすめします。


不定愁訴が示す体の症状

不定愁訴の症状の特徴として、1つの症状が継続的に発症するケースもあれば、複数の症状が同時に発症するケース、日や時間帯・状況によって症状の程度が異なる場合もあります。
息が苦しくなったり、胸が痛くなったり、頭痛が止まらないなど同時に複数の症状が見られることもあります。

不定愁訴で現れる体の症状には以下のようなものがあります。

●身体的症状
・疲労感
・肩こり
・不眠
・冷え
・頭痛
・めまい
・発汗
・腰痛
・動悸

●精神的症状
・憂うつ・不安感
・イライラ
・集中力の低下
・注意力の低下
・食欲不振


不定愁訴の原因とは




2.不定愁訴とうつ病などメンタル疾患との関係

不定愁訴とうつ病などメンタル疾患との関係

不定愁訴の原因として考えられるメンタル疾患とは?

不定愁訴はメンタル疾患が原因のケースもあります。

不定愁訴の原因として、うつ病や不安障害などの精神疾患が発症しているケースもあります。*2)病院で身体には異常がないと診断された場合は、これらのメンタルの病気の可能性もあります。

うつ病についての記事はこちらから→→→
うつ病の症状とその特徴・治療について解説



また、病気ではありませんが、適応障害の可能性も考えられます。*3)

適応障害とは、日常で生じるストレスや、環境の変化に対して自分の心身が適応できる限度を超え、それによって心身の不調が生じる精神的な状態です。一般的に、特定のストレス要因がはっきりしていることが多く、ストレス要因が発症した後に、症状が強く現れる傾向があります。例えば、職場の問題、家庭の問題、引越し、入学、転職など、環境が変わる際に起こることが多いです。

症状としては、頭痛・胃痛・疲労感・筋肉の疲労・睡眠障害・呼吸困難などが挙げられます。適応障害は、特定のストレスが原因で発症しているので、原則その原因から離れれば改善する場合がほとんどです。

メンタル疾患や症状は、少しでも心身に違和感を感じたら病院に相談することが重要です。小さな変化でも良いので、原因が分からず不安を抱えている場合は、心療内科・精神科にすぐに相談してください。

適応障害についての記事はこちらから→→→
適応障害とうつ病の違いについて解説



うつ病と適応障害の説明





3.治療が必要な疾患のサインかも?どこの診療科を受診すべき?

治療が必要な疾患のサインかも?どこの診療科を受診すべき?

健康診断ではわからない病気の可能性も

メンタル疾患だけではなく、以下のような体の病気が隠れている可能性もあります。*4)健康診断で特に目立った異常はないと診断された場合、内科で精密検査を受けてみることも重要です。

・過敏性腸症候群
・慢性疲労症候群
・鉄欠乏性貧血
・甲状腺機能亢進症・低下症
・線維筋痛症 *5)
・心臓、血圧の異常、顎関節症などの病気



女性特有の可能性も

不定愁訴で悩む人の割合として、男性よりも女性の方が多いことが分かっています。*6)理由として、女性特有のホルモンの分泌といった生物学的要因・女性の方がストレスを感じやすいといった社会的要因などが挙げられます。


不定愁訴で考えられる女性特有の原因は以下のようなものが挙げられます。

・PMS(月経前症候群)
月経前3〜10 日間続く精神的・身体的症状のことです。具体的には、情緒不安定・イライラ・抑うつ・不安・眠気・集中力の低下・食欲不振・むくみ・頭痛・腰痛など、心と体に様々な症状が表れます。

上記のような症状は、月経開始とともに和らぐことが一般的です。



・更年期症状
50 歳前後で閉経を迎え、この閉経の時期の10 年前後の期間を更年期といいます。卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、心身に不調が出始めます。

頭痛・めまい・不眠・不安感・イライラ感・むくみ・動悸・喉の渇き・ドライアイ・吐き気・胃もたれ・肩こり・痺れ・関節痛・腰痛など様々な症状が表れます。近年、更年期障害は男性にも起こりえることが言われており、テストステロンの低下などが原因のひとつと言われ注目されています。


・甲状腺機能の異常
甲状腺は、喉仏の下にある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホルモンは、体全体の新陳代謝を促進する働きがあり、それ以外にも妊娠にも影響がある重要なホルモンです。

甲状腺機能の異常は男性にも起こりえますが、女性に多くみられることが分かっています。甲状腺機能の病気には、30 代〜40 代に多くみられる甲状腺機能低下症や、20 代〜30 代に多くみられる甲状腺機能亢進症があります。*7)どちらも更年期にあらわれる症状と非常に似ているため、更年期症状と間違えられやすい傾向があります。



・栄養不足
女性は生理の影響で鉄分が不足気味になることが多いです。鉄分不足になると、酸素や栄養が体全体・脳に運ばれなくなるため、体全体が酸欠・栄養不足状態になってしまいます。疲労感・めまい・動悸・集中力の低下・肩こり・抑うつなどの症状以外にも、肌荒れ・抜毛・肌のくすみなどの変化が現れることがあります。

また、貧血の原因にもなる可能性があります。生理がある年齢で不定愁訴の場合は、鉄分不足や睡眠不足が原因の場合も考えられます。



PMS/更年期症状/甲状腺機能の以上/栄養不足




疑われる疾患の原因と受診するべき診療科

体のどこに原因があるのか分からないと、どこの診療科を受診すべきか迷いと思います。不定愁訴で病院を受診したい場合、以下のような受診先に相談してみることをおすすめします。


1.内科
体のあちこちに症状を感じている場合、原因も病名も分からず、どこの診療科を受診するべきなのか迷うと思います。そのような場合は、一番辛い症状に合わせて病院を受診することをおすすめします。

例えば、息切れや動悸が一番重い症状だと感じる場合は循環器内科、下痢や腹痛などは消化器内科など、症状に合わせて受診します。一番体を苦しめている病気の改善から行い、1つ1つ症状の原因をはっきりさせていきます。

内科で検査に特に異常がないと診断された場合は、ストレスなどが原因のメンタル疾患の可能性があります。その場合は、心療内科・精神科に相談してください。医師から心療内科・精神科を紹介される場合もあります。



2.心療内科・精神科
イライラ・落ち込み・不安・憂鬱・涙が止まらない・感情の起伏など、精神面の症状が強く現れている場合や、ストレスが原因で症状が強く現れる場合は、心療内科・精神科に相談してみましょう。

他にも、進学・転職・引越しなど環境の変化・人間関係など、思い当たるストレスの原因があり、そのストレスに触れていたり考えたりすると身体に症状が強く現れる、などという場合も、心療内科・精神科に相談することがおすすめです。

メンタル疾患は、我慢してしまうことが多いです。早めに治療を行えば、重症化・慢性化を防ぐことができるので、少しでも心に異常を感じる場合は心療内科・精神科に相談することをおすすめします。

【関連記事】精神科・心療内科へ行くべき症状とサインとは?受診するべき基準を解説!



3.婦人科
女性の場合は、婦人科も検討してみてください。特に40 代になると更年期症状が原因で不定愁訴を相談する人が増えます。月経の悩みや体のむくみ・冷え等の体の症状以外にも、イライラ・すぐ落ち込む・倦怠感などの精神面の不調も相談できます。

婦人科では子宮がん検診などの女性特有の病気の検査も定期的に受けることができます。検査の際に不定愁訴について相談してみるのも良いでしょう。

内科、心療内科・精神科、婦人科のそれぞれ受診内容






4.原因がわからない体調不良と付き合うために

原因がわからない体調不良と付き合うために

体調不良を改善するためのポイント

1.食生活や睡眠環境を見直す
夜更かしが多かったり、食事を抜いたり、睡眠が十分に取れていないと自律神経の乱れに影響を及ぼします。特に女性は食事に関して、月経の影響から鉄分が不足しがちです。

加えて、ダイエットや不規則な食生活を送っていると、深刻な鉄分不足に陥ります。あさり・さんま・レバー・もも肉などの動物性食品や、大豆製品・野菜・海藻類・そば・さつまいもなどの植物性食品に鉄分は含まれています。*8)これらの食品を積極的に取り入れ、一日三食、なるべく同じ時間に食事を取れるよう、食生活を改善してみましょう。



2.適度な運動
不定愁訴の改善に効果的な方法として、適度な運動習慣が挙げられます。軽度の更年期症状に苦しむ女性を対象にした研究によると、適度な運動習慣を身につけると、不定愁訴に改善が見られることが分かっています。*9)

軽いジョギングやストレッチ・ヨガなどの軽度の運動でも、睡眠の質が向上しストレス発散にも繋がります。



なんとなく体調が悪い...そんな時はオンライン診療がおすすめ

原因はよく分からないけど体調が悪い、そんな時におすすめなのが「オンライン診療」です。自己判断で我慢せずに、まずは医師の診察を受けましょう。

オンライン診療なら、自宅からスマホやパソコンで受診することができ、24 時間いつでも予約を取ることができます。薬も自宅まで郵送で届けてくれるため、人と直接会う必要もなく通院の手間も省けます。

生活に支障はきたさないけれど、心身に軽い症状が出ていて、病院に行くべきか迷っている方もいると思います。オンライン診療は、そのような軽度の症状でも気軽に相談できるため、症状の重症化を防ぐための早期発見・早期治療に繋がります。

原因がよく分からない体調不良で悩んでいる方は、軽症の時ほどぜひオンライン診療で相談してみてください。
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体調不良を改善するためのポイント




原因が不明の体調不良:まとめ

原因が不明の体調不良:まとめ


病院で検査に異常がないと診断されたり、原因が不明の症状が続くと、もしかしたら大きな病気にかかっているのではないかと、とても不安になると思います。逆に、検査に異常もないし我慢すれば良いと思っていると、実はメンタル疾患が進行している、という場合もあります。

原因がよく分からないからといって放置するのではなく、内科だけではなく心療内科・精神科などを受診するなどして、様々な原因を探ってみることが大事です。







参考文献
*1)”Management of medically unexplained symptoms”,Marianne Rosendal, Frede
Olesen, Per Fink,(参照2024-4-30)

*2)”不定愁訴患者を病気と未病とに分類する試み”,喜多敏明,(参照2024-4-30)
*3)”4 心身症や不定愁訴への対応と薬物療法”, (参照2024-4-30)
4)”不定愁訴患者を病気と未病とに分類する試み”,喜多敏明, (参照2024-4-30)
*5)”線維筋痛症とは” , JFSA (参照2024-4-30)
*6)”第4章 男女の健康意識に関する調査の結果”,(参照2024-4-30)
*7)”甲状腺機能低下症
” , (参照2024-4-30)甲状腺機能亢進症, (参照2024-4-30)

*8)栄養部,JA とりで総合センター, (参照2024-4-30)
*9)”更年期不定愁訴に対する運動処方の検討”, (参照2024-4-30)

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