40代・50代で仕事のしんどさが増え、ADHDかもと思った人へ
「若い頃はがむしゃらに乗り切れていたのに、最近は同じ仕事がやけにしんどい」
「役職がついてから、抜けや段取りの崩れが目立つようになった気がする」
「これは歳のせいなのか、それとも、もともと何かあったのか——ふとADHDという言葉が頭をよぎる」
40代・50代になって、仕事のしんどさが以前より増した。そのしんどさの理由を考えているうちに、大人のADHDのことを知り、「もしかして自分も」と思い当たった——。この年代でそう感じるのは、決して珍しいことではありません。
この記事では、なぜこの年代でしんどさが増えるのか、その構造を整理したうえで、「歳のせい」と片付ける前に相談を考えてよいサイン、そしてこの年代から相談することの意味をお伝えします。
この記事でわかることは、次のとおりです。
- 40代・50代で仕事のしんどさが増える、2つの変化
- 若い頃に乗り切れていたことと、特性があることは矛盾しないこと
- 「歳のせい」で片付ける前に、相談を考えてよいサイン
- この年代から相談することの意味と、オンラインという選択肢
40代・50代で、仕事のしんどさが増えていませんか
この年代の仕事は、若い頃とは中身が違います。自分の担当業務をこなすだけでなく、複数の案件の進み具合を同時に把握し、部下やメンバーの状況に気を配り、会議と調整ごとの合間で判断を重ねる——プレーヤーとして手を動かすことより、全体を管理し、段取りし、優先順位をつける仕事の比重が増えていきます。
一日が終わると、何をしたのか自分でもうまく言えないのに、疲れだけが濃く残っている。抜けや漏れを指摘される場面が増え、「自分はこんなにできない人間だったか」と落ち込む夜がある。周囲は同じ働き方をこなしているように見えるから、なおさら自分だけが取り残されたように感じる——。
もしそんな状態が続いているなら、それは単なる気力の衰えではなく、仕事の中身の変化と、あなたの特性の噛み合わせが変わってきたサインかもしれません。
「昔はできていたのに」——しんどさが増える2つの変化
「本当にADHDなら、若い頃から困っていたはずでは」という疑問は自然なものです。しかし、この年代でしんどさが急に増えることには、2つの変化が関わっています。
ひとつめは、仕事の種類の変化です。若い頃の実務中心の仕事は、興味のあることへの集中力や行動力が武器になり、特性の苦手な面が目立ちにくい環境だったかもしれません。一方、管理や調整が中心になると、複数のことの並行把握、細かな抜けのない確認、割り込みへの対応といった、特性の苦手が出やすい種類の作業が仕事の中核になります。
ふたつめは、カバーに使える余力の変化です。若い頃は、多少の抜けは残業と体力と気合いで埋め合わせることができました。しかし年齢を重ねると、無理のきき方も、疲労からの回復も、若い頃と同じにはいきません。特性を覆い隠してきた「力技のカバー」が、少しずつ効かなくなっていきます。
つまり、若い頃に乗り切れていたことと、特性があることは矛盾しません。特性はずっとそこにあり、仕事の種類と余力という2つの条件が変わったことで、いま表面に現れてきた——そう考えると、「昔はできていたのに」は不思議なことではなくなります。
40代・50代で初めて受診される方は、外来でも決して珍しくありません。この年代の方に共通してうかがうのは、「管理職になってから」「担当の幅が広がってから」しんどさが急に増えた、というお話です。実務では高い力を発揮されてきた方ほど、管理・調整型の業務に移った際のギャップに苦しまれる傾向があります。ご本人の能力が落ちたのではなく、求められる力の種類が変わったという視点で、一緒に経過を整理していきます。
「歳のせい」で片付ける前に——相談を考えるサイン
この年代のしんどさは、「歳のせいだから仕方ない」という言葉で片付けられがちです。しかし、次のような状態に心当たりがあるなら、一度相談を考えてよいサインです。
- 若い頃は乗り切れていた種類の仕事で、消耗が明らかに大きくなっている
- 役職や担当範囲が変わってから、抜け・漏れ・段取りの崩れが目立つようになった
- 複数の案件やメンバーの状況を、頭の中で同時に把握しておくことが難しくなってきた
- 「歳のせい」なのか「もともとの苦手」なのか、自分では区別がつかなくなっている
最後の点は特に大切です。この年代では、もの忘れや処理の遅さを感じたとき、加齢や、場合によっては認知症への不安が頭をよぎることもあるでしょう。もともとの特性によるものか、加齢によるものか、疲労やストレスなど別の要因によるものかは、外から区別がつきにくく、自己判断で結論を出せるものではありません。だからこそ、不安を抱えたまま一人で考え続けるより、診察で経過を確認しながら切り分けていくことに意味があります。
受診はオンラインでもできます
エニキュアでは、初診からオンラインで精神科・心療内科に相談できます。朝8時〜夜24時まで、土日も診療しているため、責任ある立場で平日に時間を取りにくい方でも、勤務の前後や休日に相談しやすい体制です。
受診前には事前の問診票があります。診察では医師が必要なことを質問しながら確認していくため、準備が完璧でなくても大丈夫です。
診察では、ADHDかもしれないという不安だけでなく、仕事の困りごと、不眠、不安、気分の落ち込み、必要に応じた診断書についても相談できます。医師が処方した薬は、配送に対応できる場合があります。
なお、心理検査や一部のお薬など、オンラインでは対応できないものもあります。その場合は、診察のなかで医師が必要な選択肢をご案内します。
この年代から相談する意味——これからの働き方の設計材料になります
「今さら分かったところで」と感じるかもしれません。しかし、この年代からの相談には、この年代ならではの意味があります。
40代・50代は、働く年数がまだ10年、20年と残っている時期です。自分がどんな種類の作業でつまずきやすく、どんな条件なら力を発揮できるのかが分かれば、それは残りの職業人生をどう設計するかの、具体的な材料になります。すべてを力技のカバーで支え続ける働き方から、特性を踏まえて力の配分を変える働き方へ——その切り替えは、早いほど楽になります。
また、状況に応じて、診断書の相談や、職場にどう伝えるかという相談も診察のなかでできます。職場に伝えるかどうか、伝えるなら何をどこまで伝えるかは、あなた自身が決められることです。迷いがある場合は、その迷いごと医師に相談して構いません。
長年「自分の頑張りが足りない」と引き受けてきたしんどさに、別の説明がつくかもしれない——その可能性を確かめることは、これまでの年月を否定することではなく、これからの年月を楽にするための一歩です。
この年代の方の診察では、診断の有無だけでなく、「これからどう働いていくか」というご相談を重視しています。ご自身の得意と苦手の輪郭が見えると、引き受け方や任せ方、仕事の組み立てを考え直す材料になり、それだけで消耗が軽くなる方もいらっしゃいます。長く働いてこられた経験そのものが診察の大切な情報になりますので、これまでの職歴のお話を、ぜひそのまま聞かせてください。
よくある質問
Q1. この歳になって発達特性の相談をするのは、恥ずかしいことではありませんか?
恥ずかしいことではありません。40代・50代で初めて受診する方は実際に多く、医療機関にとってごく普通のことです。大人のADHDが広く知られるようになったのは比較的最近のことで、この年代の方が子どもの頃には気づかれる機会がほとんどなかった、という背景もあります。気づいた時が、その方にとっての相談の適齢期です。
Q2. もの忘れが増えたのは、ADHDなのか、加齢なのか、認知症なのか不安です。
その切り分けを、自己判断で行う必要はありません。もともとの特性か、加齢によるものか、疲労・ストレス・睡眠不足など別の要因かは、これまでの経過や現れ方を診察で確認しながら整理していきます。不安を抱えたまま様子を見続けるより、「区別がつかなくて不安」という状態のまま早めに相談するほうが、どの場合でも対応しやすくなります。
Q3. 受診したら、診断書や職場への報告が必要になりますか?
自動的に必要になることはありません。診断書は、あなたが必要とする場合に医師へ相談するものですし、職場に伝えるかどうか、何をどこまで伝えるかも、あなた自身が決めることです。「職場には知られたくない」という希望のまま、通院を続けることもできます。伝え方に迷いがあれば、診察のなかで相談してください。
Q4. 若い頃に受診していれば、と後悔しています。今からでも意味はありますか?
あります。受診の目的は過去をやり直すことではなく、いまの消耗を軽くし、これからの働き方を考えることです。むしろ、長年の職歴があるからこそ、どんな場面でつまずき、どんな場面で力を発揮してきたかという材料が豊富にあり、それが診察の助けになります。これまでの年月は、無駄ではなく手がかりです。
まとめ
40代・50代で仕事のしんどさが増えるのは、仕事の種類が「苦手の出やすい土俵」に移ったことと、力技のカバーに使える余力が変わったこと——2つの変化の重なりで説明できる場合があります。若い頃に乗り切れていたことは、特性がないことの証明にはなりません。
「歳のせい」か「もともとの苦手」か、その区別を一人でつける必要はありません。診断名がはっきりしないまま、不安が整理できていないままの相談で大丈夫です。残りの職業人生を楽に設計するための材料集めとして、一度専門家と一緒にこれまでの経過を眺めてみてください。
なお、いま気持ちのつらさが強く、一人で抱えるのが難しいときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で電話やSNSの相談窓口が案内されています。緊急のときは、こうした窓口も頼ってください。
参考URL
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。体調や治療に関する判断は、必ず医師にご相談ください。
運営: エニキュア|オンライン精神科・心療内科