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不眠症について効果的な治療法と職場での向き合い方
1.はじめに
「ベッドに入ったけどなかなか寝付けない」
「仕事中も眠気がひどく仕事に集中できない」
このような不眠症の症状に困っている方も多いのではないでしょうか。
「ただの寝不足で会社を休むなんて甘えなのでは」と思っている方もいるかと思います。
しかし、実際に不眠症と向き合うため、休職を選択する人も多くいます。
厚生労働省の調査によると、メンタルヘルスの問題で休職した人のうち、30%が不眠症が原因であるということが分かっています。
不眠症は「ただの寝不足」という問題ではなく、薬での治療が必要な場合もあります。
本記事では、寝れない原因ごとのおすすめの受診科先、不眠症の治療方法などについて解説します。
2.不眠症の治療はどこの科を受診するべき?

なかなか寝れない症状が続く場合は、何科を受診すれば良いのでしょうか。
寝れない原因別に受診するべき科が異なります。
ここでは、不眠の原因別に受診するべき科をご紹介します。
原因別の受診先
①体に症状が出ていて、なかなか寝れない場合
・内科
「息苦しさを感じてなかなか寝付けない」というような場合は、もしかしたら疾患が原因かもしれません。
高血圧や心臓病など「息苦しさ」や「胸の痛み」を伴う病気かもしれないので、そのような場合はまず循環器内科など内科で検査してもらう必要があります。
「ヒューヒュー」と呼吸するたびに音がなる場合や、動悸・冷や汗が出る場合なども、肺の病気である可能性があります。呼吸器内科を専門とするクリニックで検査してもらうこともおすすめします。
②ストレスが原因で寝れない場合
・心療内科・精神科
ストレスの多い生活をしていると、なかなか寝付けないことがあります。
また、内科で検査してもらっても、「特に体に異常はなく健康的な体です」と言われることもあります。
そのような場合は、ストレスが原因かもしれません。
また、ベッドに入っても頭の中でぐるぐると考え事をしてしまい寝付けなかったり、気分が落ち込んで寝付けないこともあります。
このように、ストレスが原因で寝れない場合は、「心療内科・精神科」の受診をおすすめします。
③睡眠リズムが乱れている
・心療内科・精神科
不規則に夜勤している人や、時差ぼけ、長時間寝込んでしまう、といった場合は、体内リズムが乱れているかもしれません。
昼夜のリズムと体内時計がずれてしまい、自分が睡眠をとりたい時に寝付けないことがあります。
心療内科・精神内科を受診することで、適正な睡眠リズムの調整をするために、治療を行ってくれます。
④妊娠、産後、月経等による不眠症
・婦人科
月経前には日中眠気に襲われたり、妊娠中も眠気、睡眠不足、そして更年期になると不眠になりやすくなります。
女性ホルモンの変化とともに、不眠の症状は女性のライフステージ全体を通じて良く経験する症状です。
日中の眠気、睡眠障害の症状が悪化し生活に支障を来すような場合には、婦人科の受診をおすすめします。
自分の症状がどんな病気に関連するか気になる方は、症状チェッカーで確認してみましょう。

4.不眠症の治療方法

ここでは、不眠症と診断された場合、どのような治療法を行っていくのかご紹介します。
治療方法
①薬物療法
睡眠薬を処方し、体内時計を整え、睡眠を促し睡眠の質を高めます。
近年では、依存性の強い薬は処方せず、いきなり効果の強い薬を処方することはありません。
薬物療法のゴールとしては、「薬に頼らず適切な時間、質の高い睡眠を取ることができる」という状態です。
ですので、睡眠薬は最小限に抑え、徐々に量を減らしていくスケジュールを立てる必要があります。
②認知行動療法
薬物療法以外に、睡眠を妨げる悩み事等に焦点を当て、本人が意識していない考え方、思考の癖を見直す「認知行動療法」というものがあります。
休職中は、とにかく体と心を休ませる時間です。
薬物療法のように即効性はありませんが、不眠症が改善された復職後にも効果は続きます。
この休職期間を使い、薬物治療の他にも、自身の睡眠に対する考え方の癖や、睡眠について振り返る時間を作ることをおすすめします。
・眠くなるまでベッドに入らない
不眠症の原因の1つとして、「寝ること自体が苦しい」という考え方が癖になり、睡眠に対して緊張を感じてしまいます。
そのため、眠気が全くなくてもとりあえずベッドに横になり、「早く眠らなければいけない」と緊張状態のまま長時間目が覚めてしまうのです。
そういった癖をなくすために、「眠くなるまでベッドに入らない」ことを意識しましょう。
眠くない状態でベッドの上で過ごすのではなく、「ベッドの上では眠れる」という意識を体に染み込ませましょう。
・睡眠日誌
「睡眠日誌」というものを知っていますか?
自分の睡眠状態を振り返り、睡眠時間をグラフで可視化し、自覚していなかった睡眠の特徴を発見することができます。
睡眠日誌に取り組んだ不眠症の患者のうち、70〜80%が症状が軽減されたと言われています。*2)
仕事で忙しい生活をしていると、睡眠について振り返るということはなかなか行わないと思います。
時間がある休職期間を使い、ご自身の睡眠の特徴について振り返ってみましょう。
睡眠障害に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてお読みください。
・睡眠障害とは?原因と症状を解説
・【自分でできる睡眠障害の治し方】心地よい睡眠を手に入れるには?

睡眠日誌って何?
睡眠日誌は、睡眠効率をあげることを目標とします。
睡眠効率とは、以下の式で計算できます。*3)
睡眠効率(%)= 実際に寝た時間 ÷ ベッドにいた時間 ×100
理想の睡眠効率は85%以上と言われています。
①記載方法
自分がどれだけ睡眠を効率良く取ることができているのか把握するためには、睡眠日誌に7つの時間を記載する必要があります。*4)
毎日継続し1〜2週間記録します。
・寝床に入った時間
・実際に眠りについた時間
・目が覚めた時間
・寝床から出た時間
・途中で起きていた時間や昼寝の時間
・睡眠薬を処方した時間
2週間分のグラフを見ることで、「自分は全体的に寝床に入る時間が早すぎる」「昼寝の時間が長すぎる」というように、自分の睡眠の仕方の「癖」を発見することができます。
②注意点
・処方された薬を服用して、一定の時間に眠りに着くことができるように調整しましょう。眠気を作ることで、ベッドに入ってから実際に眠りに落ちるまでの時間を安定させることができます。
・毎朝、起きた時に夜の睡眠を思い出しながら記載するといいでしょう。
・3日分を一気にまとめて1日で記載しようとすると、正確な時間を記録できないので、毎日継続して記録を取りましょう。
ベッドに入る時間、実際に眠りにつく時間、起床時間を一定させながら、1ヶ月ほど継続すると、自身が必要な睡眠時間を知ることができます。
また、薬の量もだんだんと減らすことができ、自然と眠気が生まれ、適切な睡眠を取ることができるでしょう。

*2)岡島義,”CBT‒I の理論と実践”,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/58/7/58_616/_pdf,(参照2024-1-19)
*3)”睡眠障害・睡眠問題に対する 支援マニュアル -保健師・対人援助職向け-”,国立精神・
神経医療研究センター,https://www.ncnp.go.jp/nimh/behavior/phn/sleep_handout.pdf ,(参照2024-1-19)
*4)”より健康的な睡眠を確保するための生活術”,厚生労働省,https://www.mhlw.go.jp/file/05-
Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000036721.pdf ,(参照2024-1-19)
5.職場での不眠症の向き合い方

不眠症を持っていると、集中力が低下し、仕事のパフォーマンスが低下します。ミスも増えたり、日中眠気に襲われたりすることもあります。
職場の環境が原因で不眠症が発症した場合、復職したけれどまた発症することも考えられます。
ここでは、仕事と治療の両立について説明します。
職場のサポート
職場が取るべき対応として、以下のようなものが挙げられます。
①業務量を調整
②仕事内容の変更
③勤務時間の調整
上司や人事と面談を行い、治療内容について、業務量の調整、仕事内容の調整、勤務時間の調整等について相談しましょう。
職場環境が原因である場合、働き方に変化がなければ再発リスクは高まります。
不眠症の治療を行っていることを伝え、働き方について職場と話し合ってみることをおすすめします。
不眠症で休職するケースもあります。以下の記事で休職制度について詳しく解説しています。併せてお読みください。
うつ病で休職するためには?申請方法、復帰の目安から休職中の過ごし方、経済的支援についても詳しく解説!
不眠症とうつ病の悪循環
不眠症とうつ病は深い関連性があります。
うつ病は睡眠障害の症状が伴い、日中倦怠感を感じたり、やる気がなくなったり、体が動かなくなったりすることがあります。
また、不眠症はうつ病になりやすいと言われています。
近年の研究によると、不眠症を持っている人は、その後3年以内にうつ病になる可能性が4倍高まるという結果が出ています。
また、過去に不眠症を患った人は、うつ病になる可能性が2倍も高まるとも言われています。*5)
入眠前に明日の不安やネガティブな思考が頭の中でぐるぐるしてしまい、質の高い睡眠を取ることができず、結果的に疲労が残り心身ともに活気がなくなり、抗うつ状態が発症する可能性が高まります。
このような悪循環に陥らないためにも、不眠症状の適切な治療、ストレス管理が大変重要になります。
不眠症に関しては以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。

*5)駒出陽子/井上雄一,”睡眠障害の社会生活に及ぼす影響”,https://www.jstage.jst.go.jp/articl
e/jjpm/47/9/47_KJ00004675970/_pdf,(参照2024-1-19)
6.不眠症の効果的な治療方法:まとめ

不眠症について解説してきました。
不眠症の要点についてのまとめは以下の通りです。
・寝れない場合は病院を受診する
・不眠症治療には、薬物療法と行動認知療法等による非薬物療法の治療がある
・認知行動療法は、眠くなるまで寝床に入らないようにし、「寝床は眠れる場所」という認識をする
・「睡眠日誌」とは、自分の睡眠状態を振り返り、睡眠時間をグラフで可視化し、自分の睡眠の特徴を振り返ること
・業務量の調整や勤務時間の変更等を職場に相談し不眠症の改善、ストレスの管理を行う
・不眠症とうつ病は深い関連性があり、悪循環に陥る場合がある
不眠症で悩まれている方に少しでもお役に立てば幸いです。
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