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引きこもりの原因や病気との関連について解説
はじめに:引きこもりとは
引きこもりとは、様々な要因から、社会に参加しづらく、長期にわたって自宅から外出せずに家にこもり続ける状態を指します。
引きこもりになると、長い間学校や会社などの社会生活から離れたり、家族以外の人との交流が極端に乏し口なったり、趣味や娯楽のための外出もほとんどなくなります。
さらに基本的な生活リズム(睡眠、食事、入浴など)が乱れていることが多いです。
どのくらいの人がなる?
引きこもりについては、社会的自立に至っているかどうかに着目し、「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニ等には出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」のいずれかを選択した人のうち、現在の状態となって6か月以上かつ病気等を理由としない人を「広義のひきこもり」と定義しています。
この定義に基づいた、内閣府による2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果によると、引きこもり状態にある人は、15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%いて、全国の数字にあてはめて約146万人存在すると推計されています。1)
年代別にみると、20代男性が最も多く、次いで30代男性、10代男性の順となっており、男性の若年層に顕著に見られる問題となっています。
ただし上述の調査は世帯を対象としているため、実際には無回答や隠れ引きこもりなども多数存在すると考えられ、実数はより多いと見られています。
引きこもりの原因とは
引きこもりの原因には様々な要因が複雑に関係していますが、対人関係における苦手意識や、挫折感、喪失感などが大きく関わっています。具体的な要因は以下のようなものがあります。
精神疾患
引きこもりの大きな要因となるのが、うつ病や社交不安障害(対人恐怖症)、発達障害などの精神疾患です。
抑うつ気分や対人関係の苦手さから、外出するモチベーションが低下し、引きこもりに至ります。このような場合は専門的な治療介入が必要不可欠です。こういった要因に関しては、詳しく後述していきます。
対人関係のトラブル
いじめを受けた経験や、学校での人間関係のトラブルが引きこもりにつながるケースが多くみられます。精神的なダメージから、人と接することが苦手になり、誰とも会いたくない、関わりたくない思いから次第に学校に行けなくなり、欠席が長期化していくのです。
また入学や就職など、環境が変わる際は大きなストレスとなり、新しい場になじめない孤独感や仕事上のコミュニケーションが上手く行かないことがひきこもりに発展するきっかけとなります。
仕事や就職活動の失敗
就職活動で継続的に失敗を重ねると、自信を失い、挫折感に悩まされることがあります。
30~40代の人の引きこもりの理由としてこのケースが多くあります。自分に価値がないと深く感じてしまいまい、自尊心が大きく傷つき、自己否定的な考え方に陥りやすくなります。
また就職や仕事を通じて目標を立てていた人にとって、それらの失敗は将来の夢や目的を失うことを意味します。生きがいや希望を失った状態では、行動する気力が湧かなくなり、次第に閉じこもりがちになっていきます。
ゲーム・ネット依存
ゲームやインターネットに没頭し、仮想の空間に閉じこもるあまり、現実世界から離れてしまうケースも少なくありません。昼夜逆転することが多く、夜更かしをしてゲームやネットに熱中すると、生活リズムが徐々に乱れていきます。
そうなると外出するタイミングを失い、ますます家から出られなくなる負のサイクルに陥ります。依存が強くなればなるほど、引きこもりの傾向も強くなります。
経済的な理由
上記のような理由以外にも、生活保護を受給していたり、親から経済的に援助されていたりすると、外に出て働く必要性を感じなくなり、ひきこもりを選択、継続する要因になってしまいます。
引きこもりを起こしてしまう可能性のある精神疾患
うつ病
うつ病は、持続的な落ち込んだ気分や喜びを感じられない状態が続く病気です。日本人のうち約15人に1人がうつ病にかかった経験があるとも言われている、非常にありふれた精神疾患です。
脳内の化学物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスの異常が関連していると考えられていますが、長期的なストレスなど、外的な要因からうつ病を発症してしまうケースも少なくありません。
日常生活に対する興味や活力が失われてしまうため、外に出ようという気力が生まれず、引きこもりになってしまいます。また、睡眠障害を合併することも多く、生活リズムが昼夜逆転してしまうことも引きこもりに繋がってしまいます。
発達障害
発達障害は、生まれつき脳の機能の一部分に偏りがあることで周りの人と比べて生きづらさやズレを感じやすい障害の総称です。その中でも自閉症スペクトラム障害(ASD) は、他人との距離感を掴むのが難しく、社会的コミュニケーションや対人関係の障害、興味や行動に対するこだわりの強さ、反復性などを特徴とします。
対人関係をうまく作ることが難しいため、人と接することに苦手意識や過度なストレスを感じてしまい、徐々に人付き合いを避けるようになり、引きこもりにつながります。
発達障害であるASDとADHDについてはこちらの記事でも発信しています。
自閉スペクトラム症(ASD)の行動や生活面での特徴を解説
ADHD(注意欠如・多動症)の特徴について
統合失調症
統合失調症は、幻覚や妄想、支離滅裂な発言を主な特徴とする精神疾患です。日本における患者数はおよそ80万人と言われています。
原因は完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の異常や、遺伝的要因、環境的要因などが複合的に関係していると考えられています。通常は思春期から20代の間に発症し、男性の方が多い傾向にあります。
幻覚や妄想といった、現実世界とかけ離れた想像をしてしまう結果、外出できないようになってしまうこともあります。統合失調症の合併する症状(陰性症状)として、無気力や興味関心の低下といったうつ傾向も見られることがあります。こうした状態が引きこもりに繋がることもあるでしょう。
強迫性障害
強迫性障害とは、頭にこびりついて自分でもコントロールがきかない不快な考えが浮かび、それを振り払おうとして様々な行為を繰り返し行い、日常生活に支障をきたしてしまう不安障害の一つです。
具体例を挙げると、鍵を閉め忘れていないか過度に心配し、何度も何度も玄関を確認したり、自分の体や衣服、部屋を何度綺麗にしてもまだ汚いと感じ洗浄をくり返すといった、いわば過度な「完璧主義」「潔癖」「心配性」といった状態を表します。「手洗いしないととか不潔だから外に出られない」といった過度な潔癖によって外出ができない結果、引きこもりになってしまいます。
以上にあげた精神疾患の他にも、知的障害や精神発達遅滞といった発達障害、回避性パーソナリティ障害という性格の偏り、過去にあったトラウマにより外に出られないなど、さまざまな要因が考えられます。
【関連記事】強迫性障害の症状と治療法
引きこもりの人に対する接し方とは
家族が引きこもりになってしまった場合、その人に対する接し方は本人のタイプ・性格・状況などを総合的に考慮して決める必要がありますが、その中でも共通する重要なポイントについて見ていきましょう。
見守る期間
引きこもり状態の家族に対して、見守ってみる時期を設けるのは重要なことです。心に傷を負った子どもに対して、その傷がまだ回復していないにもかかわらずこちらから行動を起こして強制力をかけることは、更なる負担を強いるものに他ありません。
一方で、ただずっと見守っているだけでは改善しない可能性があります。ある程度見守る期間に区切りをつけないと、引きこもり生活が長期化するリスクがあります。
そして、引きこもりが長引くほど、抜け出すためのハードルが高くなる点にも注意をしましょう。目安として、数ヶ月ほど子供が自分で立ち直るのを待ってみて、それ以上引きこもり生活が続きそうだと考えられそうなら、その時点で親・第三者が積極的に介入するのが適切だと考えられます。
引きこもり状態を否定しない
「何もしないで怠けているだけ」など、非難の言葉をしてしまうと、本人の自存心が損なわれてしまい、より大きなストレスとなってしまいます。前述のように、引きこもりとなる原因は多くのものがあり、単純に引きこもり状態を否定するのではなくその原因を探りつつ、共感的な言葉がけをかけてあげることが大切です。「外に出ろ」と無理強いすれば、かえって本人を追い詰めてしまう恐れがあります。
また何とかして家族を引きこもり状態から脱出させてあげたいという強い熱意が、そのまま本人へのプレッシャーとなり、よりストレスが強くなってしまうこともあります。
自分自身が外出を積極的にする
家族が引きこもりに苦しんでいるから自分も無闇に外出するわけにはいかないという考え方はNGです。引きこもりの本人を支えるためには、家族自身がストレスをためずに、家庭の内外で日常を楽しく過ごすことが大切です。
自分自身が家族・家庭に加えて別の居場所を持ち、「今日は楽しかった」と思える日々増えれば、家庭での笑顔も少しずつ増え、家族・家庭は温かい場所になります。
また引きこもりの本人も、家族が社会とつながりを持ち楽しく過ごしている様子をみることで、外の世界に対してポジティブなイメージを持つことができるでしょう。

「引きこもり」に関するまとめ
これまでの記事の特に重要なポイントをまとめて見ていきましょう。
●引きこもりとは、様々な要因から、社会に参加しづらく、長期にわたって自宅から外出せずに家にこもり続ける状態を指す。日本におよそ約146万人存在すると推計されており、その中でも男性の若年層が最も多い分布である。
●引きこもりの原因として、精神疾患、対人関係のトラブル、仕事での失敗、ゲームやネットへの依存、経済的な理由など様々な理由が挙げられる。対人関係における苦手意識や、挫折感、喪失感などが大きく関わっていることが共通している
●引きこもりを起こす可能性がある精神疾患は、うつ病や発達障害、強迫性障害、統合失調症など様々である。精神疾患が関わっている可能性は高く、専門家に早めに相談することが大事
●引きこもりの家族に対する接し方は、引きこもり状態を否定しないこと、自分自身が積極的に外出すること、見守っておく時間が一定期間を超えたら行動を起こすことがポイント
何より大切なのは、引きこもりという状況の解決ではなく、引きこもりの原因となった根本的な問題の解決です。
引きこもりの状態自体を変えようとするのではなく、その先に解決するべき問題があるという意識を持つようにしましょう。
引きこもりは病気じゃない!と思いたくなる気持ちもありますが、多くの精神疾患の特徴として引きこもりがちになるというものがあることも事実です。
社会福祉によるサポートを受けるためにも、何かしらの病気の診断をつけてもらうことも有効です。適切な診断を受けて、その病気を薬やカウンセリングを通して治療を行なっていけば、引きこもり自体も改善していくと考えられます。
引きこもりは一朝一夕には解決しない問題です。家族の思いやりと寄り添いの姿勢、そして専門家との連携が不可欠となります。焦らず、地道に取り組むことが何より大切です。
精神疾患との関連も考えられるので、まずは専門家に相談するのが良いでしょう。
参考文献
1.厚生労働省_ひきこもり状態の人(年齢別)
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