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依存症の原因や治療法について解説
依存症は、アルコールや薬物などの物質依存から、ギャンブルやインターネットなどの行動依存まで、様々な種類に分けられる深刻な問題です。現在日本では、アルコール依存症が約10万人、薬物依存症が約1万人いるといわれています。しかし、本人が依存症であることに気づいていない場合も多く、適切な治療を受けられていない人も少なくありません。
本記事では、依存症について以下の点を詳しく解説します。
・依存症の症状
・依存症の原因
・依存症の種類
ぜひ、最後まで読んでみてください。
依存症とは?症状と原因について解説
依存症は単なる習慣や癖ではなく、れっきとした病気です。ここでは、依存症の特徴や原因について詳しく見ていきましょう。
依存症の特徴
依存症とは、特定のものや行動に対して、やめたくてもやめられない状態になる病気です。アルコール、薬物、ギャンブル、人間関係などに依存することが多く見られます。依存症の大きな特徴として、本人が病気であることを認めない傾向があり、そのため家族や周囲の人々に大きな影響を及ぼすことが少なくありません。
依存症の主な症状には以下のようなものがあります:
・やめたくてもやめられない: 依存の対象を控えようと思っても、実際にはコントロールできない状態です。
・進行性がある: 時間とともに症状が悪化し、依存の程度が深まっていきます。
・とらわれる・のめり込む: 依存の対象に関する考えが頭から離れず、それ以外のことに集中できなくなります。
・事実を認めない: 自分が依存症であることを否定し、問題を過小評価する傾向があります。
・家族や恋人を巻き込む: 依存症の影響は本人だけでなく、周囲の人々の生活にも大きな支障をきたします。
これらの症状は、依存症の種類や個人によって現れ方が異なる場合がありますが、基本的な特徴は共通しています。
依存症になる原因
依存症の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方が関与することが知られています。
・遺伝的要因:
特定の遺伝子が依存症のリスクを高める可能性があることが研究で示されています。例えば、アルコール代謝に関わる遺伝子の違いが、アルコール依存症のリスクに影響を与える可能性です。
・環境要因:
家庭環境:依存症の家族がいる場合、子どもが依存症を発症するリスクが高くなります。
社会経済的状況:貧困や失業などのストレスが依存症のリスクを高める可能性があります。
ストレスフルな生活環境:過度のストレスや心理的トラウマが依存行動のきっかけとなることがあります。
ピアプレッシャー:特に若者の場合、周囲の影響で依存行動を始めてしまうことがあります。
両親が依存症の場合、子どもが依存症を発症するリスクは高くなりますが、これは遺伝的要因だけでなく、環境要因も大きく影響しています。たとえば、親の依存行動を日常的に目にすることで、それが「正常」だと認識してしまう可能性があるのです。
また、依存症は他の精神疾患と併存することも多く、うつ病や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状を和らげるために依存行動を取ることがあります。このような場合、根本的な精神疾患の治療が依存症の改善にも繋がる可能性があります。
依存症の種類
依存症は、依存の対象によって大きく3つのカテゴリーに分けることができます。ここでは、それぞれの種類と特徴について詳しく解説します。
物質依存
物質依存は、特定の物質を摂取することで快楽を感じ、その物質に依存してしまう状態を指します。主な物質依存には以下のようなものがあります。
・アルコール依存症: 最も一般的な物質依存の一つで、飲酒をコントロールできなくなる状態です。
・薬物依存症: 違法薬物だけでなく、処方薬への依存も含まれます。覚醒剤、大麻、オピオイドなどが代表的です。
・ニコチン依存症: タバコやニコチン含有製品への依存で、禁煙の困難さにつながります。
物質依存の特徴として、耐性の形成(同じ効果を得るために必要な量が増える)や離脱症状(物質を断った際の身体的・精神的な不快症状)が挙げられます。
行為・プロセスの依存
行為・プロセスの依存は、特定の行動やプロセスに執着し、それを繰り返さずにいられない状態を指します。主な例には以下のようなものがあります。
・ギャンブル依存症: パチンコ、スロット、競馬などのギャンブルにのめり込み、経済的・社会的問題を引き起こします。
・買い物依存症: 必要以上の買い物を繰り返し、経済的困難に陥る可能性があります。
・インターネット・ゲーム依存症: オンラインゲームやSNSなどに過度にのめり込み、日常生活に支障をきたす状態です。
・性依存症: 性行為や性的刺激を求める衝動が制御できなくなる状態です。
これらの依存症は、物質依存と同様に脳の報酬系が関与していると考えられています。行動を繰り返すことで快感を得るため、その行動をやめられなくなります。
人・関係の依存
人・関係の依存は、特定の人間関係に過度に執着し、健全な関係を築けなくなる状態を指します。主な例には以下のようなものがあります:
・恋愛依存症: 特定の相手との関係に執着し、相手の言動に過剰に反応したり、関係を失うことへの極度の不安を感じたりします。
・共依存: 他者の問題に過度に関与し、自分の人生や幸福を犠牲にしてしまう関係性のパターンです。
・人間関係依存: 常に誰かとつながっていないと不安を感じ、健全な境界線を設けることができない状態です。
これらの依存症は、時にDVやストーカー行為などの問題行動につながる可能性があり、適切な介入と治療が必要です。
依存症の治療法
依存症の治療は、主に精神科や専門的な依存症治療施設で行われます。ここでは、主な治療法について解説します。
心理療法・カウンセリング
依存症の主な治療法は心理療法です。特に認知行動療法(CBT)が効果的とされています。知行動療法の特徴は以下の4つです。
・依存行動と報酬の関係を理解し、新しい対処法の学習
・自分の考え方の癖や、依存にはまるプロセスを自覚
・依存を引き起こす引き金(トリガー)を特定し、対処法の学習
・ストレス管理技術や問題解決スキルの習得
また、グループセラピーも有効な治療法の一つです。グループセラピーのポイントは以下の3つです。
・同じ悩みを持つ人々と経験を共有することで、孤独感を軽減できる
・他者の回復過程から学び、自身の回復への動機づけを高めることができる
・社会的スキルの練習の場としても機能する
ぜひ、カウンセリングと合わせて心理療法を効率よく取り入れていきましょう。
薬物治療
日本では依存症の治療に心理療法がメインですが、併存する精神疾患に対して薬物治療を行うことがあります。主な併存疾患と使用される薬物との関係は以下のとおりです。
・うつ病:抗うつ薬(SSRI, SNRIなど)
・双極性障害:気分安定薬
・不安障害:抗不安薬(ただし、依存性に注意が必要)
・注意欠陥多動性障害(ADHD):中枢神経刺激薬(ただし、依存リスクに注意が必要)
これらの併存疾患を適切に治療することで、依存症の症状改善にもつながる可能性があります。
また、アルコール依存症の場合、以下のような薬物療法も行われることがあります。
・抗酒薬:飲酒時に不快な症状を引き起こし、飲酒を抑制します。
・アカンプロサート:飲酒欲求を軽減する効果があります。
ただし、薬物療法単独での治療は困難で、心理療法や自助グループへの参加など、総合的なアプローチが重要です。
まとめ
「自分は依存症かもしれない」と感じている方の中には、病院やクリニックに行くことに抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。
依存症は決して珍しい病気ではなく、誰もがなる可能性のある病気です。自分や身近な人に依存症の兆候が見られる場合は、恥ずかしがらずに早めに専門家に相談しましょう。適切な治療と支援により、依存症からの回復は十分に可能です。
依存症は、オンライン診療で治療できる範囲はごく限定的です。しかし、早い段階で相談すれば依存症が進行するのを防げる可能性があります。少し相談してみたいという方は、エニキュアも活用してください。