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双極性障害とは?基本的な症状や治療方法について解説
皆さんは、「双極性障害」ないしは「躁うつ病」といった言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
双極性障害は、まるで心の中に異なる二つの世界が共存し、それらが交互に現れる(場合によっては片方が強く出現する)ような複雑な症状を呈します。
今までにないほど活力に満ち溢れ、自分にはなんでもできるのだと感じることもあれば、突然、無力感と絶望の淵に落ちてしまうことも多々あります。
このジェットコースターのように急激な変動を繰り返す感情の波は、患者さんだけでなく、周囲の家族や友人にも深刻な影響を与えることがあります。
しかし、正しい知識と理解があれば、この複雑な疾患と上手に付き合い、適切な治療を通じて充実した人生を送ることが可能です。
本記事では、双極性障害の基本的な症状や治療法について、順を追って解説していきます。
「現在躁うつ病と診断されて困っている」「家族が双極性障害と診断されてどうすれば良いのかわからない」といった方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害は、全世界で約4000 万人もの患者数がいる非常にメジャーな精神疾患です。
発症年齢は通常15~25 歳で、抑うつ状態が最も頻度の高い初発症状とされています。※1
なお、この双極性障害とうつ病を合わせて気分障害と称しますが、この二つの疾患は全く異なるものです。
双極性障害を端的に述べると、極端な気分の変動を伴う精神障害と表現することができます。
この疾患の特徴は、非常に活動的で高揚感を感じる「躁状態」と、沈んだ気分や意欲の低下がみられる「うつ状態」の二つの極端なフェーズを繰り返すことです。
躁状態の患者さんは睡眠欲求が減少したり、日常生活における活動量が上昇したりすることで、気分爽快感や全能感を感じることが多いです。
一方で、うつ状態の患者さんはうつ病と同じような症状を呈し、無力感に悩まされてしまいます。
これらの状態の持続期間は患者さんによって異なりますが、短い場合は数日単位で、長い場合は数ヶ月単位で症状が変動します。
双極性障害の基本的な理解
「うつ病は甘えだ」「うつになるのは心が弱いからだ」といった言葉を耳にすることがありますが、うつ病や双極性障害を始めとする気分障害は、その人の心の弱さや気質の問題ではありません。
双極性障害の原因は現状はっきりとはわかっていませんが、脳に何かしらの異常があることが原因とされています。
特に、脳の中の神経伝達物質の異常であるとする説が現在有力です。
患者さんのみならず社会の人々がこれらの精神疾患についての正しい理解をすることは、病気への不適切なスティグマを緩和し、患者さんがより過ごしやすい世界を作ることにつながります。
ぜひこの記事をきっかけに、双極性障害について知っていただければと思います。
また、双極性障害を始めとする精神疾患において自己診断は推奨されません。日常生活に支障をきたすほどの異常な気分の高揚や抑うつが繰り返し起こり、「何かがおかしいのではないか」と感じている場合は、専門医の診断を受けることが重要です。
うつ病と双極性障害の違い
うつ病と双極性障害の最も大きな違いとしては、うつ病は抑うつ期のみを発症し躁状態を発症することがないのに対し、双極性障害では躁期と抑うつ期の両方を発症することが挙げられます。
したがって、躁状態を全く経験していない患者さんの場合、うつ病の診断がなされることが多いです。
ただし、近年では双極II 型障害といった概念が注目を集めています。双極II 型障害では躁状態ではなく抑うつ状態が主として出現するため、しばしばうつ病との鑑別が難しくなってしまう場合があります。詳細な定義については次の項に譲りますが、これにより双極性障害の診断がより煩雑なものとなっています。
双極性障害の分類
双極性障害は、大きく双極I 型障害と前述の双極II 型障害、そしてその他の双極性障害に分類されており、前者の二つは以下のように定義されています。※1
・双極I 型障害:躁病エピソードが少なくとも1 回あり、その前後に軽躁病エピソードまたは大うつ病性障害があった可能性がある。
・双極II 型障害:現在または過去に少なくとも1 回の軽躁エピソードと大うつ病エピソードの基準を満たす。
簡単に説明すると、典型例では双極I 型障害は躁状態が主として出現する、いわゆる躁うつ病と呼ばれる疾患であり、双極II 型障害は躁状態ではなくうつ状態が主として出現する疾患となっています。
この双極II 型障害における軽躁エピソードは短期間で終わってしまうことが多々あり、患者さん自身もこの躁状態に気付きません。
したがって、前述したように双極 II 型障害がうつ病と誤診されてしまうことが起きてしまいます。
うつ病と双極性障害では治療薬が全く異なりますので、この二つの疾患の鑑別は精神科医の頭を度々悩ませます。
双極性障害の特徴やサポートについては下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。
「躁うつ病の人は攻撃的?双極性障害の特徴やサポートの方法を解説」の記事はこちらから→→
2.躁状態の主な症状
それでは、ここからは双極性障害の具体的な症状についてみていきましょう。
まずは、躁状態についてです。
躁状態では過剰なエネルギーや興奮状態、大きな自信、そして時に不安感を伴います。
この状態の患者さんは、しばしばリスクの高い行動に出ることがあります。実際に出現する症状について書き出してみます。
・爽快気分・気分高揚
・自尊心の肥大
・行為心迫・談話心迫(多弁)
・衝動性の亢進
・睡眠欲求の減少や不眠
・注意散漫
・観念奔逸
・誇大妄想
これらの各項目について、以下に解説します。
気分の高揚と自尊心の肥大
躁状態では、爽快気分・気分高揚感が出現します。
これらにより、通常の日常生活における活動や社会生活に対する楽観的な感情が過剰になり、しばしば無謀なほどの陽性思考に陥ります。
感情の高まりがあり、まるで何でもできると感じるような極端な高揚感を経験します。患者さん自身は、「なんだか最近すごくやる気が出て、スッキリした気分です」とポジディブに捉えることも多々ありますが、あくまで一過性のものであることを十分に認識する必要があります。
また、過剰なまでの自尊心の肥大が認められることもあります。
患者さんは強く自信過剰となり、自分の能力や重要性を過大に評価してしまうことに陥ります。
これは自己評価の著しい誇張となり、現実との乖離を生じさせ、日常生活に大きな影響を与えてしまう可能性があります。単なる気質としての自信過剰とは異なり、普段と比べて明確にポジティブで積極的になることが特徴です。
仕事やプロジェクトに多大なエネルギーを注ぐ一方で、リアリティの欠如した大きな計画を立ててしまうこともあります。
行動の変化
双極性障害の患者さんでは、行為心迫・談話心迫がみられます。
行為心拍とは活動性の亢進とも表現され、新しいことを始めてみるなど普段よりアクティブに活動することを指します。
一見すると治療の必要がないのではないかと感じますが、活動自体が長続きしなかったり、まとまりがなく中身を伴わなかったりと無意味な活動性の亢進に過ぎないことが多いのです。
談話心迫とは多弁とも表現され、普段より患者さんの口数が増えます。
場合によっては、相手に話す隙を与えずに一方的に話し続けるほどで、抑制が効かずに周囲が会話に入り込むことが難しくなります。
また衝動性の亢進に伴い、躁状態の人はしばしばリスクを軽視し、危険を顧みずに衝動的な行動をとりやすくなります。
これには例えば金銭的な無謀さによる衝動的な買い物、性的な不適切な行動、危険な運転、リスクの高いビジネス投資などが含まれます。易怒性も亢進するため、注意されると激昂することもあります。
さらに双極性障害では、注意力の散漫も併発するため集中力が続かず、この衝動的な行動がさらにリスクの大きなものとなってしまいます。
患者さん本人にとっても危険であることはもちろん、周囲の他者に害を及ぼす可能性があるため、非常に注意が必要です。
睡眠欲求の減少や不眠
不眠はうつ病にもみられますが、双極性障害の患者さんでは実際の睡眠必要量が減少し、数時間しか眠らなくても翌日に疲れを感じないと報告することが一般的です。
前述した行為心拍ないし活動性の亢進と合わせて、体に負荷のかかる生活を送ってしまうことが多々ありますので、十分管理する必要があります。
観念奔逸・誇大妄想
観念奔逸とは、思考が飛びがちで、一つの話題から次の話題へと急速に移り変わるため、他人が話を追うのが難しい状態です。
この観念奔逸とよく似た症状として、統合失調症で出現する連合弛緩や滅裂思考といったものがあります。
これらの症状の違いとしては、観念奔逸は急速に話題が切り替わるとはいえ、その話題同士の間にはなんらかの繋がりがあることが一般的ですが、連合弛緩や滅裂思考では切り替わる話題どうしに繋がりが全くないといったことが挙げられます。
誇大妄想とは、双極性障害で最もよくみられる妄想症状で、自分には特別な力がある、特別な運命を持っているといった非現実的な信念を抱くことがあります。
具体的な妄想の内容としては発明妄想や宗教妄想、恋愛妄想や血統妄想といった物があげられます。
・発明妄想:自分が誰も思いつかないような素晴らしい発明をしたのだと確信する妄想
・宗教妄想:自分は神に選ばれしものであると確信する妄想
・恋愛妄想:自分は特定の有名人と恋愛関係にあるのだと確信する妄想
・血統妄想:自分は貴族の子孫であり高貴な血統であるのだと確信する妄想
これらの妄想により、双極性障害の患者さんは自分があたかも有名人であり大切に扱われるべきであるかのように振る舞うことにも繋がり得ます。
治療の詳細関しては後述しますが、これらの躁状態を適切に管理するためには、薬物療法とともに生活習慣の改善が有効です。また、家族や友人からのサポートも大きな助けとなります。
3.うつ状態の主な症状
双極性障害におけるうつ状態は気分爽快感や高揚感を感じる躁状態とは対照的に、気分が沈み、活動レベルが低下します。
集中力が落ち、日常的な活動にも影響を与えます。うつ病とよく似た症状を呈しますから、ここではうつ病の診断基準についてみてみましょう。
以下は、DSM-V と呼ばれる国際的な診断基準の一部となっています。
以下の症状のうち5 つ(またはそれ以上)が同じ2 週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。
これらの症状のうち少なくとも1 つは(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。
(1)その人自身の言葉か他者の観察によって示される、ほとんど1 日中、ほとんど毎日の抑うつ気分
(2)ほとんど1 日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退
(3)食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加、 またはほとんど毎日の食欲の減退または増加
(4)ほとんど毎日の不眠または過眠
(5)ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止
(6)ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
(7)ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪悪感
(8)思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる。
(9)死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、 または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画
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この記事はうつ病の解説ではありませんから全ての症状を詳細に解説することはしませんが、双極性障害における抑うつ状態でも上記の症状が見られると考えて良いです。
うつ病について興味がある方は以下の記事をご覧ください。
うつ病の症状とその特徴・治療について解説
うつ状態の感情的な影響
この抑うつ状態を最も特徴づけるのが、悲しみや無価値感、絶望感が患者さんの心の大半を支配するようになってしまうことです。
発症する前までは楽しむことができていた趣味にも興味を失い、何をするにも億劫で仕方がない、そして何をしていても気持ちが明るくことがない、といった状態になってしまうのです。
疲労感を強く感じるとともに思考力や決断力も低下し、患者さんは「考えることのスピードが極端に落ちてしまった」と訴えます。
また、焦燥感や制止といった症状が出現することもあります。焦燥とは、何かに常に追われているかのように落ち着きがなく、患者さんが無駄に動き回ることを指します。制止や沈滞はその逆で、動きが鈍くなる、またはほとんど動かなくなる状態を指します。
これらの感情的な症状が累積することで悪循環に陥り、自殺念慮を抱くこともあります。
実際に行動に移してしまう患者さんも少なくありませんから、自殺しないことを患者さんに約束してもらうことが重要です。
身体的な症状と生活への影響
うつ状態の身体的な症状として、睡眠障害や植食・体重の変化、疲労感などが現れます。
睡眠障害は大きく 浅い眠りと①中途覚醒 ②早朝覚醒 ③入眠困難の三つに分類され、患者さんそれぞれによってどの症状が強く現れるのかが変わってきます。
食欲に関しては、食欲が低下して体重が減少すると言うパターンが一般的ですが、中には過食により肥満傾向をきたす患者さんもいます。
さらに、頭痛や動悸、耳鳴りといった不定愁訴が見られることもあります。
いずれにしても、このような身体的な症状は患者さんのQOL を大きく低下させ、仕事や日常生活に多大な影響を及ぼすことでさらなる症状の悪化を招きます。
うつ病との違いと治療法の選択
先ほどはうつ病と双極性障害の違いについて、症状に焦点を当てて解説しましたが、実はうつ病と双極性障害は同じ気分障害であるものの、治療方法も大きく異なります。
うつ病の治療は一般的にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、といった三環系抗うつ薬など抗うつ薬に重点を置くことが多いですが、双極性障害では気分安定薬という種類の薬剤がよく用いられます。
双極性障害でも抑うつ状態をきたすのだから抗うつ薬を使っても良いのではないかと考えてしまいがちですが、双極性障害の患者さんに抗うつ薬を使用することは症状の増悪を招いてしまうため基本的には禁忌とされています。
したがって、前述したうつ病との鑑別が難しい双極II 型障害の患者さんでは、初発時にうつ病と誤診されて抗うつ薬が投与されることで、双極性障害が悪化してしまうといったことが起きてしまいます。
うつ病と診断されたのに抗うつ薬でむしろ症状が悪化しているのではないかと感じた場合は、この双極II 型障害を想起する必要があるでしょう。
双極性障害の治療法については下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。
「双極性障害の治療法と乗り越えるためのアドバイス」の記事はこちらから→→
4.双極性障害の治療
それでは次に、双極性障害の治療についてみていきましょう。
治療は薬物療法を中心に、精神療法などを併用して多方面からアプローチされ、症状の管理と機能の向上を目的とします。
薬物療法の種類と効果
躁状態とうつ状態の両方に対して効果的な薬があり、状態に応じて適切な薬が選ばれます。
最も使用頻度の高い薬物群は気分安定薬と呼ばれます。気分安定薬の例を列挙します。
・炭酸リチウム:
双極性障害に対して1st で使用される薬剤。
治療濃度と中毒濃度が非常に近いため、血中濃度を定期的に測定する必要があります。
リチウム中毒をきたすと、急性腎不全や中枢神経症状をきたし、非常に重篤な状態となってしまう場合があります。
また、副作用として不整脈や甲状腺の機能異常にも注意する必要があります。胎児奇形の可能性もあり、妊娠の可能性のある方への使用は禁忌となっています。
・バルプロ酸:
下のラモトリギンとともにてんかんで主に使用される抗てんかん薬ですが、気分安定薬として双極性障害に対して用いられることもあります。
副作用として、催奇形性があるため妊娠の可能性のある方への使用は禁忌となっています。
・ラモトリギン:
抗てんかん薬ですが、双極性障害、特にうつ病相の場合によく用いられます。副作用として薬疹が有名です。
これらの気分安定薬を患者さんのバックグラウンドや状態に合わせて使い分けていきます。また、統合失調症で主に用いられる抗精神病薬を併用することもあります。
双極性障害の治療で最も注意する必要があるポイントとして、前述の通り、症状の増悪を招く可能性のある抗うつ薬は基本的には用いないことを決して忘れてはいけません。
精神療法・心理療法によるサポート
上記のような薬物治療の他にも、患者さんが自分の状態を理解し、それに適切に対応できるよう様々な方法でサポートします。
具体的には、心理教育(疾患教育)や家族療法・認知行動療法などが挙げられます。簡単に各治療について解説します。
・心理教育:
心理教育とは、精神疾患以外の疾患にも行われることのある治療方法です。
簡単に受容することが難しい問題を持つ患者さんに対して、その疾患の病態や症状の特徴、治療方法などの疾患についての教育を行うことで、患者さん自身や家族の理解を深め、前向きに生活することができるように手助けすることを目的としています。
時には、同じ疾患を持つ患者さんと一緒に疾患の教育を受けることで苦しみを分かち合い軽減することを図ることもあります。
・家族療法:
家族療法家の中村信一氏によると「家族療法」とは、『個人の問題ではなく「関係」の問題として問題を定義し直し、家族の変化への資源を最大限に引き出し、家族関係を変化させ、症状や問題行動を消去したり軽減したりする心理療法』であるとされています。
要するに、個人を標的とする従来の心理療法とは異なり患者とその周囲の環境を形作る家族を一つの対象として考え、家族全体にアプローチする治療法となります。
・認知行動療法:
認知行動療法は、現在の患者さんの悪循環をきたすような否定的思考や行動のパターンに焦点を当てた治療法です。
この療法の主な目的は、自動思考と呼ばれる出来事に対して瞬間的に浮かぶ考えやイメージであったり、患者が持つ否定的な思考や認知であったりの歪みを特定し、それをより現実に適応しうる建設的なものに変えることでストレスの軽減を図ることにあります。
日常生活における注意点
双極性障害に限らずどんな疾患でも共通することですが、睡眠、食事、運動の習慣を改善することで、ライフスタイルの調整をすることも非常に重要です。整った生活習慣は、体と心の両方のバランスをとることにつながります。
・規則的かつ十分な睡眠:
双極性障害は躁状態でも抑うつ状態でもいずれも睡眠障害をきたします。
したがって、十分な睡眠をとることが難しくなっている場合が多いですが、睡眠導入薬を用いたり規則的な生活習慣を心がけたりすることで少しでも睡眠の質が改善することを狙います。
・バランスの取れた食事:
特定のビタミンや微量元素が欠乏することが精神状態に悪影響をきたすことがありますから、十分にバランスの取れた食事を規則的に摂取することで精神状態を保つことを心がけます。
・定期的な運動:
体を動かすことはストレスの発散になり、病気により感じているフラストレーションの解消を促します。また、定期的な運動により睡眠の質の改善も期待することができます。
・ストレス管理技術:
運動に限らず、ストレスを減らす方法はたくさんあります。患者さん個人個人で最も適したストレス管理術は異なりますが、マインドフルネス、瞑想、リラクゼーション技術など、ストレスを減らすことができる技術を積極的に学ぶことが重要です。
まとめ
この記事は、双極性障害の症状や適切な治療方法といった基礎知識を提供し、患者さん自身やその周囲の家族、支援者がこの複雑な疾患を理解する手助けをすることを目的としています。
多くの精神疾患は、その専門家でも診断をつけることが難しい場合が多く、双極性障害もその例外ではありません。
疾患に関する正しい知識を持つことが、自己管理と回復への道を開く第一歩です。
安易な自己診断を避け、何かがおかしいと感じている場合は適切な医療専門家への相談・受診を心がけましょう。
とはいえ、精神科のクリニックに通うことに抵抗があったり、時間的制約からなかなか通院する時間を作ることが難しかったりと様々な理由で受診をすることができない方もいるでしょう。
そのような方には昨今少しずつサービスを拡大しているオンライン精神科診療で相談してみることを勧めます。
最初にも述べましたが、双極性障害は全世界で約4000 万人もの患者さんが存在する精神疾患です。
重大な病気になると、人間誰しも孤独を感じてしまうものですが、あなたは一人ではありません。この記事が、みなさんが少しでも双極性障害についての理解を深める一助となれば幸いです。
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参考文献
1.Nierenberg AA, Agustini B, Köhler-Forsberg O, Cusin C, Katz D, Sylvia LG,Peters A, Berk M. Diagnosis and Treatment of Bipolar Disorder: A Review.JAMA. 2023 Oct 10;330(14):1370-1380. doi: 10.1001/jama.2023.18588.PMID: 37815563.
2. 日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン
(https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_kango_20220705.pdf)
3. 専門家による家族介入の現在 家族を外側から 支える実践 家族療法のいくつかの――考え方 中村伸一
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoffamilysociology/29/1/29_38/_pdf)