不安と動悸が続くときは何科へ?心臓の問題か、精神・自律神経の問題かの見分け方と受診先

監修者紹介
反町佳穂子
都立病院精神科、精神科病院、心療内科クリニック、企業産業医、大学校医などで精神科医師として従事。日本精神神経学会 精神科専門医。
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反町佳穂子
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「急に胸がドキドキして、強い不安が押し寄せてくる」——そんな経験をした方がまず迷うのが、心臓の病院に行くべきか、精神科に行くべきかという問題です。

不安と動悸は、心疾患でも精神疾患でも起こります。どちらかを見極めるには、症状のパターンと受診の順番が重要です。この記事では、何科をどう受診すればよいかを詳しく解説します。


不安・動悸で受診すべき状態とは

動悸や不安症状の背景には、心血管系の疾患、内分泌系の疾患からストレス性の不安障害まで多様な原因が存在します。

ここでは、速やかな処置が必要な身体症状のチェックリストと、精神科・心療内科が適応となる症状の特徴をまとめました。受診先を判断する際のガイドラインとして参照してください。


救急・循環器科を受診すべき症状

以下の症状は心疾患の可能性が高い状態です。速やかに救急または循環器科を受診してください。


・胸痛・胸の圧迫感を伴う動悸

・失神・意識を失いかけた

・安静時にも強い動悸が続く

・脈が極端に速い(1分間に150回以上)または飛ぶ感じが頻繁にある

・息切れ・足のむくみを伴う


精神科・心療内科への受診を考えるべき症状

・心電図や採血などの身体疾患に関する検査をしても異常が見つからなかった

・突然の強い恐怖・不安とともに動悸・息苦しさ・めまいが起きる(数分〜30分以内に収まる)

・「また起きるのでは」という予期不安が強く、特定の場所・状況を避けるようになった

・慢性的な不安感・緊張と動悸がセットで続いている


心臓の問題か、精神・自律神経の問題か——症状で見分けるポイント

心臓由来の動悸と精神・自律神経由来の動悸では、症状の現れ方や発生タイミングに異なる特徴が存在します。

ここでは、両者の違いを比較・確認するための主要なチェックポイントをまとめました。不安・動悸の原因が心臓か、精神・自律神経由来かを自分で完全に判断することは難しいですが、以下のパターンが参考になります。


心疾患が疑われる動悸の特徴

・安静にしていても突然始まる

・脈が規則的に速い、または不規則に飛ぶ

・胸痛・圧迫感・失神を伴う

・高齢者・喫煙歴・高血圧・糖尿病などのリスク因子がある

・運動時に出やすい


精神・自律神経由来の動悸の特徴

・不安・緊張・恐怖感と同時に始まる

・数分〜30分以内に自然と治まる

・特定の場面(人混み・電車・会議など)で出やすい

・検査では異常が見つからない

・強い恐怖感を伴う


甲状腺・貧血由来の動悸の特徴

・動悸が持続的で、安静時にも続く

・体重減少・手の震え・暑がり(甲状腺機能亢進症)

・疲れやすさ・顔色の悪さ・息切れ(貧血)


検査で「異常なし」と言われたのに動悸・不安が続く場合は、精神科・心療内科への受診を検討しましょう。器質的疾患の除外が確認できた状態での受診は、診断をスムーズに進められます。


動悸のパターン




何科を受診すればいい?循環器科・内科・精神科・心療内科の使い分け

動悸や不安症状に対応する診療科は複数存在しますが、科ごとに得意とする検査・治療領域は異なります。

身体的な危険性の有無、主となる症状(胸痛・動悸・精神的不安など)、および受診のしやすさを軸とした4つの診療科の役割分担をまとめました。どの医療機関を受診すべきか迷った際のスクリーニング指標として活用してください。


循環器科(内科)——まず心疾患を除外する

動悸の症状がある場合、最初に心疾患を除外することが重要です。循環器科または内科で心電図・ホルター心電図・血液検査を受け、不整脈・心房細動・甲状腺疾患・貧血などを確認します。

「異常なし」という結果が出れば、精神・自律神経由来の可能性が高まります。


精神科——パニック障害・不安障害が疑われる場合

突然の強い恐怖・不安とともに動悸・息苦しさが起きるパニック発作、または慢性的な不安と動悸が続く全般性不安障害(GAD)が疑われる場合は、精神科への受診が適しています。

精神科では、薬物療法(SSRI・SNRI)と生活指導を組み合わせた治療がおこなわれます。


心療内科——ストレス・自律神経の乱れが背景にある場合

仕事のストレス・過労・睡眠不足による自律神経の乱れから動悸・不安が生じている場合は、心療内科が適しています。「心臓でも精神科でもないかも」という場合の最初の窓口としても機能します。


受診の順番の目安

Step 1:動悸・呼吸困難などの症状が続く場合 → 内科・循環器科・救急を優先

Step 2:検査で異常なしと言われた → 精神科・心療内科へ


不安・動悸の背景にある主な疾患

不安や動悸といった症状の背景には、いくつかの疾患が隠れている場合があります。ここでは、代表的な4つの疾患について、それぞれの特徴を解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら確認してみてください。


パニック障害

パニック障害は、突然の激しい動悸・息苦しさ・めまい・強い恐怖感が数分〜30分続くパニック発作を繰り返す疾患です。有病率は約1〜2%で、発作が起きた場所・状況を避けるようになる、広場恐怖を伴うこともあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が第一選択薬として有効です。


全般性不安障害(GAD)

全般性不安障害(GAD)は、特定の原因がなく、さまざまなことに対して慢性的な過度の不安・心配が続く状態です。動悸・筋緊張・疲れやすさ・集中困難を伴います。パニック発作のような急激な症状ではなく、じわじわと続く不安が特徴です。


社交不安障害(SAD)

社交不安障害(SAD)は、人前での発表・会議・対人場面に対する強い不安と動悸・発汗・声の震えが生じる状態です。「恥をかくのでは」という恐怖から特定の場面を回避するようになることもあります。


自律神経失調症

自律神経失調症は、ストレス・過労・睡眠不足・生活リズムの乱れなどによる自律神経の乱れから、動悸・息苦しさ・めまい・胃腸の不調などが慢性的に続く状態です。

医学的な病名ではなく、器質的疾患が除外された後に用いられる説明的な概念です。


不安・動悸の原因となる疾患




受診後の治療——薬と生活改善のアプローチ

医療機関における不眠や不安、動悸などの治療は、患者さまの症状や原因疾患、全身の状態に応じて、薬物療法(薬によるアプローチ)と生活指導・非薬物療法(生活習慣や環境の見直し)を組み合わせておこなわれます。

治療方針は医師の診断のもとで個別に決定されるため、「特定の薬を飲めば治る」「薬を使わずに治せる」と一括りにすることはできません。ここでは、受診後に提示される一般的な治療アプローチの概要と、各アプローチの役割・留意点について客観的に解説します。


薬物療法

・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):パニック障害・不安障害の第一選択薬。効果が出るまで2週間〜4週間かかる

・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):不安・意欲低下・倦怠感の両面に効果的

・抗不安薬:発作時の頓服として短期使用が望ましい。

・β遮断薬:動悸・震えなど身体症状の軽減に使われることがある(社交不安障害の場面限定など)


生活改善

・カフェイン・アルコールの過剰摂取を控える(どちらも動悸・不安を悪化させる)

・睡眠を規則的にとる

・過呼吸が起きたときの腹式呼吸の練習

・段階的に回避していた場面に慣らしていく(医師の指示のもとで)


オンライン診療という選択肢

動悸があるのに心臓の検査で「異常なし」と言われた方は、精神科・心療内科への受診が次のステップです。しかし、パニック障害や不安障害では「電車・人混みに乗れない」「外出が怖い」という状態になりやすく、通院自体が困難なケースがあります。

オンライン診療を使えば自宅から受診・処方が可能で、症状が重い時期でも治療を継続しやすくなります。パニック障害・不安障害は適切な治療で改善する疾患であり、放置するほど回避行動が広がるリスクがあります。


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「動悸と不安が続いている」「検査で異常なしと言われたが改善しない」という方のご相談を受け付けています。スマートフォンから予約・受診が完結し、処方・診断書の発行にも対応しています。

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よくある質問(FAQ)

動悸や不安に関して、多くの方が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式でまとめました。


Q1:動悸があるとき、最初に循環器科と精神科どちらに行くべきですか?

A.持続的な動悸がある場合は、基本的には循環器科内科や一般内科を先に受診してください。


Q2:パニック発作が起きたとき、どう対処すればいいですか?

A.安全な場所に座り、ゆっくりと腹式呼吸を繰り返してください。パニック発作は数分〜30分で自然に治まります。「必ず治まる」と自分に言い聞かせることも有効です。発作が繰り返す場合は受診が必要です。


Q3:抗不安薬は依存性がありますか?

A.ベンゾジアゼピン系の抗不安薬には依存性があるため、長期使用は推奨されません。現在はSSRI・SNRIが第一選択薬として使われており、発作時の頓服として抗不安薬を使う方法が一般的です。医師の指示に従って使用してください。


Q4:動悸・不安がオンライン診療で相談できますか?

A.できます。精神科のオンライン診療では、パニック障害・不安障害の相談・診断・処方が初診から可能です。外出が困難な状態でも自宅から受診でき、継続的なフォローアップにも対応しています。


Q5:何科に行っても「異常なし」と言われます。どうすればいいですか?

A.内科・循環器科で器質的疾患が除外されているなら、精神科・心療内科を受診しましょう。

「異常なし」はパニック障害・不安障害・自律神経失調症の診断に近づくための重要な情報です。「異常がないのに症状がある」こと自体を精神科医に伝えてください。


まとめ:動悸・不安への正しいアプローチ、最初の窓口から治療の選択肢まで

まとめ:動悸・不安への正しいアプローチ、最初の窓口から治療の選択肢まで

胸痛・失神・安静時の持続的な動悸がある場合は循環器科内科や救急を優先しましょう。突然の恐怖や不安を伴う発作的な動悸や、慢性的な不安や動悸には精神科や心療内科が適しています。

動悸・不安の治療は、SSRI(SSRI・SNRIが第一選択)などの薬物療法と、生活指導・非薬物療法(生活習慣や環境の見直し)を組み合わせて行われます。通院が困難な場合のオンライン診療を含めた適切な対応をとることが大切です。



本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状が気になる場合は、必ず医師にご相談ください。

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