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大学生のメンタルヘルス:大学生がなりやすい病気と原因
1.大学生とメンタルヘルス:大学生を取り巻く環境

大学は、初めて家族と離れ一人暮らしを始めたり、初めてのバイトや、キャリアについて真剣に考え始めたりするなど、様々な変化が現れる4年間です。
年齢で考えると大人の枠に入るものの、まだ精神面は成熟していない時期です。
このストレス社会を生きる大学生は、どのような悩みを抱えているのでしょうか。
メンタルヘルスに影響する大学生の悩みや原因や大学生に多いメンタルの病気について解説します。
大学生のストレスの原因
①人間関係(友人関係・恋愛関係)
大学生活は、これまで以上に様々なコミュニティーに属するようになるので、幅広い価値観をもった人と接することになります。
中高時代の人間関係と異なる点としては、学生同士の集団意識が薄れ、直接的なコミュニケーションを避ける傾向にあることです。
「友人は多くいるが、深い関係性を築けている友人がいない」と孤独感を感じ始める学生も多いです。
②授業
大学の授業は規定の単位を全て取得しなければ卒業ができません。
また、どの授業を選択するのかも、本人がカリキュラムを決めなければいけないため、「自己責任」が強くのしかかります。
また、希望していない大学・学部に進学した場合、「本当にこの学校でよかったのか」「自分が勉強したいことはこれだったのか」など入学後も勉強にいまいち身が入らないこともあるでしょう。
③就職活動の大変さ
大学生活で一番ストレスを感じる時期はやはり「就職活動」かもしれません。
NPO法人「POSSE」が行った調査では、就活生の7人に1人が「就活うつ」になっていたことが分かりました。*1)
就活活動は長期間行うため、慢性的にストレスがのしかかります。
また「私は社会から必要とされていない」など社会からの拒絶を感じやすい場面が多くあるため、うつ病になりやすい時期です。
就職活動でのお悩み対策についてはこちらでも詳しく掲載されておりますので、ぜひご覧ください。
④経済的な不安
学生になると初めて一人暮らしをしたり、バイトを始めたりする人も多いと思います。
大学生活は、学費だけではなく、生活費、交際費、サークル代など様々な費用が重なります。
バイトに負担を感じている場合は、金銭面の不安自体が大きなストレスになっているかもしれません。
また、お金についての知識が乏しく正しい金銭感覚が身についていなかったり、金銭面のストレスから「楽して稼ぎたい」という安易な考えが生まれたりして、マルチ商法など金銭トラブルに陥る学生も多くいます。
⑤卒業後への漠然とした不安
大学を卒業後、どのような道を歩んでいくのか不確かな大学生にとって、将来への漠然とした不安はつきものです。
どのような仕事をしたいのか、自分に合っている仕事は何か分からず、そもそも働くこと自体にポジティブな感情を持てない学生も少なくはないでしょう。
大学卒業の進路に関する調査によると、「社会人になる自信がない」が約49.5%、「社会での人間関係が難しそう」と答えた人の割合が48.0%と、約半数の学生が将来に漠然とした不安を抱いています。*2)
大学生活のストレス、抱え込んでいませんか?まずは気軽にセルフ診断
「症状チェッカー」はこちら

関連記事:学生とメンタルヘルスの病気:学生に発症しやすいメンタルの病気は?
参考:
1)NPO法人POSSE|調査活動
2)大学等におけるキャリア教育実践講習|第3章学生との面談スキル
2. 大学生がなりやすい心の病気

大学生は年齢は大人でもまだ心は未熟であり、心の病気が生じやすい時期です。
心の病気を治療しながらも、卒業するためには授業に出て単位を取り、バイトで生活費を稼ぎ、サークル等で人間関係を築かなければいけないなど、かなり心の負担が生じます。
ここでは、大学生がなりやすい心の病気について紹介します。
うつ・躁うつ病
うつ病
近年では、20代が40代のうつ病率をわずかに上回るほど、増加傾向にあります。 *3)
また、大学生のうつ病の12ヶ月にうつ病を経験した割合は、18.5%であると言われています。
特に大学1年生の20.7%が1年以内にうつ病を患ったという結果も出ており、新入大学生の4分の1がうつ症状を経験したことがあるということが分かっています。 *4)
よく起こる例としては、
・「高校までは成績優秀で優等生で、大学に入ったらやっと色んなことで遊べると楽しみにしていた。しかし、大学に入り授業が急に難しくなり、ついていけなくなり、単位を取るのに毎日必死だった。次第に大学に通うのが億劫になり、心も塞ぎ込みがちになった。」
・「大学3年生までは、勉強にサークルなど楽しく順調に生活していたものの、大学3年生から就職活動が上手くいかなくなり、自信を失い始める。そして内定をもらったとしても、4年生の卒論もなかなか進まず、塞ぎ込みがちになる」などのケースがあります。
躁うつ病
また、うつ病とは逆の症状(興奮状態、イライラしやすい、寝なくても元気に活動できる、話し続ける、根拠のない自信を持つなど)を発症する「躁うつ病」も、大学生に多い病気の1つです。
地元を離れて初めて一人暮らしを始めた学生が、ストレスで心が苦しくなっても、相談できる人が周りにいないなど、孤独を感じ始め、躁状態になるケースもあります。
躁状態の大学生によくある行動の特徴としては、「毎日大量に買い物する」「寝ずに毎日夜まで遊びに行く」が挙げられます。
下記の記事でも、うつ病や躁うつ病、双極性障害について詳しく解説しています。
ぜひ併せてお読みください。
「躁うつ病の人は攻撃的?双極性障害の特徴やサポートの方法を解説」
社交不安症
社交不安症とは、「人に見られている場面で過度に恐怖心を感じる」病気です。
例えば、人前で喋ったり、字を書いたり、食事をする際に、「自分がもしかしたら恥ずかしい思いをするのではないか」と恐怖心を持つことがあります。
ゼミで大勢の前で発表する機会があったり、人と話すと緊張してしまうので友達や恋人ができなかったり、また周りで人が食べていると緊張して食事ができないなど、社交不安症で苦しむ大学生も少なくありません。
不安障害・パニック症
不安障害も大学生に多い病気の1つです。
社会人を目前として、社会で働くことができるのか、自分にあった職業は何か、自立して生きていくことへの不安などが膨らむ時期です。
パニック症は、強い不安感に襲われ、動悸、息切れなどが数分間強まり、「このままで死んでしまうのではないか」という考えで苦しむ病気です。
突然のパニック発作がまた急に起きるのではないかと常に心配とストレスを感じることがあります。
睡眠障害
睡眠障害が原因で、メンタルヘルスの不調を相談しに来る大学生は増加しています。
大学生を対象とした研究結果によると、約8割の学生が睡眠に関して問題を抱えていると言われています。
また、睡眠障害の中でも、「入眠困難症状」が大学生に特に問題視されています。
なかなか寝付けない入眠困難な状態は、日中の集中力を低下させ、全体の睡眠の質を低下させます。 *5)
サークルで夜遅くまで活動したり、飲み会続きが原因の睡眠不足で授業に行けず、単位を落としてしまう、授業中寝てしまい授業を全く聞いていなかった、など睡眠不足が原因で単位が取得できない、卒業できないというのは非常にもったいないことです。
毎日最低7時間は睡眠時間を確保することが望ましいです。
下記の記事でも、睡眠障害や治し方について詳しく解説しています。
併せてお読みください。
関連記事:睡眠障害とは?原因と症状を解説
関連記事:【自分でできる睡眠障害の治し方】心地よい睡眠を手に入れるには?
統合失調症
統合失調症は100人に1人はかかると言われています。 *6)
統合失調症は、大人として自立しようとする時期、10代から20代くらいまでに発症しやすく、決して珍しい病気ではありません。*7)
主な症状としては意欲の低下、幻聴・妄想、異常な思考や行動など、「誰もいないはずなのに、悪口を言われている気がする」と人間関係を築くのに恐怖心を抱いてしまうことがあります。
大学生活で統合失調症が起きた場合の例として、
「サークルの人間関係に疲れ始め、サークル内で自分は馬鹿にされているのではと妄想が生まれ、幻聴で悪口が聞こえ始めた。最終的にはサークルメンバーを敵と思い始め暴言を吐くようになった」など、大学のコミュニティーでの幻覚・幻聴に苦しみ、人間関係を築くことが難しくなるケースもあります。
下記の記事でも、統合失調症について詳しく解説しています。
併せてお読みください。
関連記事:統合失調症とは:症状や治療について解説
摂食障害
摂食障害は、食事摂取、体重、体型に対する異常な関心と行動によって特徴づけられ、極度の食事制限、過食、そして場合によってはその両方が含まれることがあります。
摂食障害患者の約9割が女性ですが、社会の認識の変化により、男性の摂食障害への注意も高まりつつあります。
症状としては、栄養不足により月経が止まったり、嘔吐、「痩せないといけない」という強いこだわりなどがあり、他にもうつ病や不安障害などさまざまな合併症も起きる可能性があります。
「痩せていることが美しい」という価値観が根強い現代で、特に20代の若者はダイエットに関して強い関心があります。
極度の食事制限や間違ったダイエット方法により、摂食障害に繋がることがあります。
その症状、大丈夫?30秒で心の健康度をチェック
下記の記事でも、摂食障害や治し方について詳しく解説しています。
併せてお読みください。
関連記事:摂食障害の種類と治し方

参考文献
3)公益財団法人 日本生産性本部|「心の病」多い世代20代が初めて3割を超える
4)総合保健科学|カウンセリングを受けていない大学生の ストレッサーと抑うつ症状
5)大学生の生活上のストレス,神経症傾向,不眠へのこだわりが 睡眠の質に及ぼす影響およびそれらの精神的な健康への影響度
6)山本隆 一郎,野村 忍| PittsburghSleepQualityIndex を用いた大学生の睡眠問題調査
7)厚生労働省|統合失調症
8)藤田長太郎|学生にみられる精神障害-統合失調症、気分障害を中心に
3. 大学生でメンタルの病気になったらどうする?

大学生で心の病気になった場合、どのような対処法があるでしょうか。
ここでは、4つの対処法をご紹介します。
大学の学生相談室や健康管理センターを利用する
会社に産業医が在籍しているように、大学にも学生相談室や健康管理センターが存在します。
精神科医が在籍している場合もありますし、心理カウンセラーが常勤でいることもあります。
大学生活におけるメンタルの病気に詳しかったり、若者のうつ病等をよく理解している場合が多いので、いきなり心療内科を受診することに抵抗を感じる場合は、まず学校の相談室や健康管理センターを受診してみてください。
大学の窓口に「休学」の相談をする
休学も1つの選択肢です。
メンタルの病気を持ちながら勉強するのは心も体も休まりませんし、心が壊れたまま就活をしてもどんどん症状が悪化するかもしれません。
一度休学し、心身を休ませて改善してから、ゼミや授業、就活にもう一度挑戦することも重要です。
しかしながら、心が壊れて大学を休学したり、バイトを休みたいと思っていても、大学生にとってなかなか難しいのも事実です。
バイトをしなければ、収入は入りませんし、単位を取らなければ卒業もできないので、大学生は休みずらいというのも現状です。
休学中の費用は大学によって異なりますが、多くの金額はかかりません。
休学を検討する中で、どれくらいの期間で治療を行い、どの時期を目安に復帰するのか、休学する場合の卒業までのスケジュール等、大学にまずは相談してみることをおすすめします。
大学と連携している心療内科を受診する
大学近辺には、大学と連携していて、連携先の学校に通う学生であれば、安い治療費で受診できる場合があります。
また、学生が多く受診しているクリニックですので、学生のメンタルヘルスに詳しかったり、よく理解したりしてくれるかもしれません。
友人にバレたくない...そのような時は「オンライン心療内科」
大学の近くの心療内科や、大学付属の健康センターなどは、友人にバレるのが不安で行きづらいと思う方もいるかもしれません。
そのような時におすすめなのが、オンライン診療です。
オンライン診療は、直接クリニックに行く必要はなく、自宅や外出先など好きな場所で診察を受けることができ、スマホやパソコン1つで診察が完了します。
自宅で受けることができるため、通院しているところを見られたり、待ち合わせ室でばったり知り合いと会ったりすることもないので、プライバシーが守られます。
もちろん、オンライン診療もよい点ばかりではなく、処方制限があったり、対面でないため温度感を感じにくかったり、重度の精神疾患に対応が難しかったりとデメリットもありますが、オンライン診療は精神科をはじめて受診したり、医療につながったりする点で重要な選択肢といえるでしょう。
下記の記事でも、オンライン診療のメリットとその効果について詳しく解説しています。
併せてお読みください。
関連記事:精神科・心療内科におけるオンライン診療のメリットとその効果
心の不調、早めに気づくことが大切です。簡単チェックはこちら

まとめ:大学生のメンタルヘルス

初めての一人暮らしやバイト、ゼミや授業、サークルなど大学生活は大きな変化とコミュニティーの幅が広がる時期です。
年齢が大人であっても、まだ精神面では成長途中です。
社会人になる手前の大学生の時期は、将来のことを考えて不安になり過ぎてしまったり、就活時期に自分に価値を感じられなくなってしまったり、ネガティブな感情に振り回されそうになることが多いかもしれません。
心が苦しくなったら、無理して大学に通う必要はなく、周りと同じペースで急ぐ必要はありません。
大学生にとって単位の取得や収入面が理由で休むことに抵抗があるかと思いますが、まずは大学や心療内科の先生と相談し、できるだけ心と体を休める環境を作ることをおすすめします。
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