ヤングケアラー・若者ケアラーの心の負担——見えにくいつらさと相談先
「同世代で、家族のケアをしている人が周りにいない」
「介護のせいにしたくなくて、誰にも話していない」
「自分の状況が『大変』にあたるのかどうかも、分からない」
若くして家族のケアを担う人は、実は少なくありません。18歳未満は「ヤングケアラー」、18歳を過ぎて進学・就職の時期にケアを担う人は「若者ケアラー」と呼ばれます。共通するのは、同世代に同じ立場の人が少なく、負担が周囲から見えにくいことです。
この記事では、若いケアラーの心にかかりやすい負担と、学業・仕事との両立で意識したいこと、そして相談できる場所を整理します。
この記事でわかることは、次のとおりです。
- ヤングケアラー・若者ケアラーとは
- 若さゆえに負担が見えにくくなる理由
- 心に出やすい影響と、気をつけたいサイン
- 公的な相談窓口と、医療に相談できること
ヤングケアラー・若者ケアラーとは?
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども・若者のことです。国の調査でも、クラスに1人程度の割合でいるとされており、めずらしい存在ではありません。18歳前後から30代にかけてケアを担う人は「若者ケアラー」と呼ばれ、進学・就職・キャリア形成という人生の転換期とケアが重なるのが特徴です。
ケアの内容は、祖父母や親の介護だけでなく、家事の中心を担う、通院に付き添う、家族の精神的な支えになるなど、さまざまです。「介護」という言葉のイメージに当てはまらなくても、家族のために自分の時間を日常的に使っているなら、それはケアです。
なぜ負担が見えにくいのか
若いケアラーの負担は、本人にも周囲にも気づかれにくい構造があります。
- 比べる相手がいない —— 物心ついたときからケアがある生活だと、それが「普通」になり、負担を負担として認識しにくくなります
- 同世代と話が合わない —— 友人の話題と自分の生活がかけ離れ、話しても伝わらない経験が重なると、しだいに話さなくなります
- 「家族思いのいい子」に見える —— 周囲からは美談として受け取られやすく、つらさの部分が見過ごされがちです
- 打ち明けるハードルが高い —— 家庭の事情を話すことへのためらいや、「親のせいにしたくない」という気持ちが、相談をさらに難しくします
負担を自覚しにくく、自覚しても話しにくい。この二重の見えにくさが、若いケアラーの孤立を深めていきます。
若い方の診察では、「自分よりも大変な人はいるので」と、ご自身の負担を小さく見積もる言葉をよく聞きます。ですが、つらさは他人との比較で決まるものではありません。あなたの生活のなかで、あなたの心と体に負担がかかっているかどうか——それだけが基準です。「これくらいで」と思う状況こそ、話してみていただきたいと思います。
心に出やすい影響と、気をつけたいサイン
ケアと学業・仕事の両立が長く続くと、心にはこんな影響が出やすくなります。
- 慢性的な疲れと睡眠不足 —— ケアの時間を確保するために、睡眠と休息が削られていきます
- 将来への不安と焦り —— 進路や転職を考えるとき、常に家族の状況が前提条件になり、自分の選択肢が狭く感じられます
- 同世代への劣等感や取り残され感 —— 自由に見える周囲と自分を比べて、焦りや孤独を感じやすくなります
- 気分の落ち込み・意欲の低下 —— がんばり続けた消耗が、学業や仕事への集中力低下、朝起きられないといった形で現れることもあります
こうした状態が2週間以上続いている、学校や仕事に影響が出はじめている——そんなときは、心が限界に近づいているサインです。がんばりでカバーする段階から、支えを増やす段階に切り替えるタイミングだと考えてください。
相談できる場所
若いケアラーの相談先は、この数年で整ってきています。
- こども家庭庁のヤングケアラー相談窓口 —— ヤングケアラー・若者ケアラー向けの情報と相談先がまとまっています。同じ経験をもつ人のコミュニティにつながる入口にもなります
- 学校・大学の相談室 —— スクールカウンセラーや学生相談室では、家庭の状況を含めて相談できます。進路や履修の調整につながることもあります
- 職場の相談窓口 —— 働いている場合、介護と仕事の両立支援制度について人事や相談窓口で確認できます
- 精神科・心療内科 —— 眠れない、気分の落ち込みが続くなど、あなた自身の心身の不調は医療で相談できる領域です。家族のケアを続けながら治療している方は多くいます
気持ちのつらさが強く、今すぐ誰かに話したいときは、厚生労働省「まもろうよ こころ」に、電話やSNSで相談できる公的窓口がまとまっています。
家族のケアを担ってきた若い方は、「相談する」より「相談される」側で生きてきた時間が長く、自分の話をすること自体に慣れていないことがあります。診察では、うまく話せなくてもまったく問題ありません。生活の様子を伺いながら、医師のほうから質問していきますので、「何から話せばいいか分からない」まま来ていただいて大丈夫です。
受診はオンラインでもできます
家族のそばを離れにくい方や、学業・仕事でまとまった時間が取りにくい方には、オンライン診療という方法があります。エニキュアでは、初診からオンラインで精神科・心療内科を受診できます。朝8時〜夜24時・土日も診療しており、予約から問診・診察までスマホで完結します。問診は選ぶだけの形式で、処方されたお薬はご自宅への配送にも対応しています。
なお、心理検査や一部のお薬など、オンラインでは対応できないものもあります。その場合は、診察のなかで医師が必要な選択肢をご案内します。
よくある質問
Q1. 自分がヤングケアラー・若者ケアラーにあたるのか分かりません。
厳密な線引きを気にする必要はありません。家族のために自分の時間を日常的に使っていて、そのことで疲れや生活への影響を感じているなら、相談する理由として十分です。「あてはまるか分からない」という状態のまま、窓口や診察で話していただいて構いません。
Q2. 家族のケアのことを、就職活動や職場で話すべきでしょうか?
話す義務はありません。伝えるかどうか、どこまで伝えるかは、あなたが決めてよいことです。両立支援の制度を使いたい場合には人事などへの相談が入口になりますが、その判断も含めて、まずは外部の相談先で状況を整理してからでも遅くありません。
Q3. 家族を支えるのは当然のことなのに、つらいと言ってはいけない気がします。
家族を大切に思うことと、つらさを感じることは、両立します。つらいと言葉にすることは、家族への裏切りではなく、ケアを続けるための整備です。支える側の心身が守られていることは、結果的に、支えられる家族のためにもなります。
まとめ
- ヤングケアラー・若者ケアラーはめずらしい存在ではないが、負担が本人にも周囲にも見えにくい
- 「普通」になったケア生活・話しても伝わらない経験・美談化が、孤立を深めやすい
- 疲れや不眠、将来への不安、気分の落ち込みが続くときは、支えを増やす段階のサイン
- 公的窓口・学校や職場・医療と、相談先は複数ある。つらさは他人との比較ではなく、自分の心身を基準に
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。体調や治療に関する判断は、必ず医師にご相談ください。
運営: エニキュア|オンライン精神科・心療内科
